先日、学校における運動器検診についての講演を拝聴しました。
まず、「健診」と「検診」の違いを説明していただきました。


健診とは健康診断もしくは健康診査の略称です。学校保健安全法・労働安全衛生法・母子保健法・老人保健法などの法律で規定されており、健康の状態や程度を知るために行います。


一方、検診は疾患の早期発見・早期治療を目的に行われ、具体的には胃がん検診・乳がん検診などです。今回の運動器検診はこちらに該当し、運動器疾患の早期発見・治療が目的です。


2015.12.10時点では正式採用ではなく、検診内容は決まっていません。日本整形外科学会の学校保健委員会が作成した保健調査票の案は下記のごとくです。


・ 背中が曲がっている
・ 腰を曲げたり、反らしたりすると痛みがある
・ 腕、脚を動かすと痛みがある
・ 腕、脚に動きの悪いところがある
・ 片足立ちが5秒以上できない
・ しゃがみこみができない


極めて広範な内容の項目が並んでいますが、運動器に関しては全く素人である学校医(内科医)にでも分かるように苦心していることが良く分かります。


一方、これらに該当する児童は、かなりの割合に上ることが予想されます。そして、最も問題だと感じたのは、「検診がどのような運動器疾患を念頭にしているのか分からない」ことです。


そもそも、学童期の児童で見逃すと重大な機能障害を残す運動器疾患は側弯症ぐらいしか思い浮かびません。もちろん大腿骨頭すべり症などもありますが、極めて稀な疾患です。


これでは、学校医の先生方の「単なる整形外科の集患活動に過ぎない」という批判ももっともだと感じます。今後は、運動器検診の具体的な目的疾患を明示することが必要ではないでしょうか。



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