今日の午前は、下腿筋間膿瘍に対する掻破洗浄術でした。
感染してから比較的時間が経っていることもあり、筋間に巨大な膿瘍を形成していました。


下腿の全長にわたって筋膜上に膿瘍の被膜が癒着しており、
正常組織から感染性組織のみを掻破することはかなり骨が折れました。


このような感染性組織の掻破の際に絶大な力を発揮するのはガーゼです。本日の手術でも筋膜上の感染性組織をガーゼで擦り取ることで手術時間の大幅な短縮が可能となりました。


正攻法は鋭匙を用いての掻破ですが、かなり大きな鋭匙を利用しても
感染性組織を掻破する面積が広い症例では、かなりの手間と時間がかかってしまいます。


鋭匙でなければ掻破できない部位や高度の癒着では仕方無いですが、通常程度の癒着の感染性組織であれば、ガーゼで擦り取ることで広範囲の感染性組織を一網打尽に掻破できます。


私は、切断術などで骨膜を剥離するときにはガーゼを愛用していますが、今日のような広範囲の感染性組織を掻破する手術でも強力なツールになりうると思います。



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