先日、住友病院の小田剛紀先生の講演を拝聴する機会がありました。講演内容は頚椎症性脊髄症の関するもので、Myelopathy handの話題がおもしろかったです。


Myelopathy handの診断には、10秒テストやfinger escape sign が知られています。頚髄疾患の診察の際には必ず実施する検査ですが、今回の講演で何を診ているのかを初めて知りました。


まず、これらは頚髄の錐体路障害の有無を確認するための検査です。頚髄の障害高位によらず、頚髄での錐体路障害があるとこれらの検査は陽性となります。


まず10秒テストに関してですが、頚髄における錐体路障害の固有の現象としての屈筋と伸筋の協調性(synergy)の支障と捉えられています。


一方、finger escape sign は錐体路における支配繊維数の少ない尺側指から選択的に随意コントロールが利かなくなるために発生すると考えられています。


頚椎症性脊髄症は頚椎手術の中では最も頻度が高くてメジャーな疾患ですが、意外と理解していないポイントがあることに気付いた一日でした。




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Critical thinking脊椎外科