先日、鎖骨遠位端骨折の女子高生を診察する機会がありました。
骨端は完全に閉鎖しており、単純X線像上では成人です。
鎖骨遠位端骨折(鎖骨外側端骨折)は、なかなか厄介な骨折だと思います。保存治療では骨癒合を得にくく、比較的高頻度に偽関節や遷延治癒となってしまう印象です。
特に活動性の低い高齢者の鎖骨遠位端骨折の治療において、手術治療と保存治療を迷った挙句に保存治療を選択するケースでは、かなりの頻度で偽関節化した苦い経験があります。
手術中に骨折部の転位状況を多数目撃した経験上では、単純X線正面像であまり転位が無いように見えても、実際には前後に大きく転位しているケースが多いためだと考えています。
このため、単純X線正面像ではあまり転位が無いように見えても、骨癒合をなかなか得られないことが多いのです。しかし、今回のケースは女子高生です。
低侵襲手術を心掛けても露出部に手術創を残してしまいます。かなり悩みましたが、仮に偽関節化しても大きな機能障害は残らないであろうという説明を行い、保存治療を選択しました。
偽関節化して痛みが残った場合には偽関節手術となりますが、自分の子供なら悩みながらも保存治療を選択するだろうなと思うので、三角巾+バストバンドで患肢固定を行うつもりです。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断
鎖骨外側端骨折
昨日は鎖骨外側端骨折後の抜釘術でした。
抜釘した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。
形状がアナトミカルでシンセスのクラビクルフックプレートよりも薄いのがメリットです。鎖骨プレートは皮膚直下に設置するのでプレートの厚みは重要なポイントです。
クラビクルフックプレートを用いた骨接合術は簡便で、鎖骨外側端骨折の治療は非常に容易になりました。しかし、やはりフックを肩峰下に挿入することは術後の肩関節痛の原因となります。
今回の方も肩関節を挙上すると、かなり肩関節の痛みがありました。しかし、抜釘後に病室で家族に術後の説明をした際、少し肩を挙上してもらうと痛みは随分軽減したとおっしゃられました。
まだ手術直後にも関わらず、肩関節可動域も若干改善しているように見えました。そして本日に術後回診した際には、明らかに肩の痛みは軽快して関節可動域も広がっていました。
やはり、フックによる肩関節痛がかなりあったようです。術式が簡単で成績も安定しているのでフックプレートを選択してしまいますが、抜釘時期を少し早めた方がよいのかもしれません。
※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。
AO法骨折治療
昨日の午後は鎖骨外側端骨折の手術でした。
使用した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。
患者さんは40歳台の若年者でしたが遠位骨片は粉砕しており、ロッキングスクリューや鋼線締結法での骨接合術では難しそうな印象でした。
そして、骨幹部側の鎖骨は後上方に大きく転位しており、これだけ骨片間のギャップが大きいと保存的には骨癒合が難しいのではないかと思いました。
高齢者の鎖骨遠位端骨折では保存治療を行うことが多いですが、私の経験ではほとんどの症例で骨癒合を獲得できずに偽関節化しています。私が思う手術のポイントは下記です。
・ 頭部はやや回旋するが、やりすぎると術後にradiculopathyを併発するので注意が必要
・ 消毒前に透視下に骨折部、肩鎖関節部をマーキングする
・ 肩鎖関節および鎖骨後縁を確認し、鎖骨後縁からフックを肩峰下に挿入する。
この部位を指先で確認すると骨性のU字状になっている。
・ 鎖骨の整復は、プレート中枢端と中枢骨片の間に鉗子を挿入して整復する
・ 遠位端骨片は後上方へ転位している。
・ プレートで上下方向の転位を整復した後に、整復鉗子で前後方向の転位を整復する
・ フック高が足りないとプレートが遠位骨片を押して転位が広がる。フック高15mmがベストか?
鎖骨遠位端骨片は粉砕しているケースが多いので、やはりクラビクルフックプレートが最も確実な固定性を期待できるのではないかと個人的には思っています。
※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。
AO法骨折治療
昨日は勤務先の病院で日当直をしていました。
ゴールデンウィークで痛めつけてしまった肝臓を休ませるにはもってこいの休肝日でした(笑)。
昨日はどういう訳か、何件か続いて肩関節周囲の骨折の方が来院されました。4人目ぐらいになると、「またか」という感じで身体所見のみで軽々しく診断の予想を話してしまいました。
「おそらく肩鎖関節脱臼なので心配ないでしょう」と言ってしまったものの、単純X線像を確認すると鎖骨遠位端骨折(Craig type 2a)でした・・・。若年者なので一般的には手術適応です。
最初に、「おそらく心配ないでしょう」という軽はずみな事を口走ってしまったため、微妙に患者さんからの信頼感が無くなってしまったことを感じました。
一応、手術をお勧めしたものの、私の勤務する病院では手術を受けないかもしれません。延々と外来や救急をこなしていると、だんだん惰性が頭をもたげてきます。
しかし、いくら疲れてきても、患者さんに向かって軽々しく予想だけで話をしてはいけないと改めて思いました。患者さんとの会話は常に緊張感が必要ですね。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断
昨日の午後は鎖骨外側端骨折の手術でした。
使用した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。
形状がアナトミカルでシンセスのクラビクルフックプレートよりも薄いのがメリットです。鎖骨プレートは皮膚直下に設置するのでプレートの厚みは重要なポイントです。
デメリットはロッキングスクリューを使用できないことです。しかし鎖骨外側端骨片は粉砕していて固定できないケースが多いので、ロッキングスクリューでなくてもほとんど問題ありません。
プレートデザインはシンセスと変わりませんが、通常よりも短いドライバーが用意されています。鎖骨のプレート固定術では、顎が邪魔でスクリューの刺入方向が制限されるので便利です。
クラビクルフックプレートを用いた骨接合術は簡便であり、鎖骨外側端骨折の治療を非常に容易にしてくれました。手術のポイントはフック高の選択であり、やや低めのフックをお勧めします。
ついついフックが高くなりがちですが、日本人の場合は12mm~15mmがほとんどです。18mmを選択すると整復位が充分でないことがあるので注意が必要です。
※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。
AO法骨折治療
- 今日:
- 昨日:
- 累計: