慢性鎮痛に対するトラムセットの投与方法 のつづきです。
副作用対策ですが、悪心・嘔吐は数日で軽快していくケースが多いように感じます。そこで投与開始時の悪心・嘔吐を回避するために、屯用としてプリンペランを3錠×7日分処方しています。トラムセットは増量する毎に悪心・嘔吐を併発することが多いので、2週目以降も初回に投与したプリンペランを流用してもらいます。
次に便秘ですが、これはマグミットやプルゼニドなどの緩下剤で対応可能なことが多いです。副作用としてはこの2つ(悪心・嘔吐と便秘)が主な症状なので、処方をルーチン化することである程度回避可能だと思います。
最後になりますが、トラムセットはほとんどの症例で鎮痛効果を得られるので、器質的な痛みの原因を見落としてしまう可能性があると感じています。痛みが軽快すれば、喉もと過ぎれば・・・的な状態になってしまい、癌の脊椎転移などの発見が遅れてしまうことがありそうで怖いです。
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鎮痛効果
外来をしていると、なかなか疼痛コントロールをできない症例を経験します。私の場合、消炎鎮痛剤は、セレコックス ⇒ ロキソニン ⇒ モービックという順番で投与することが多いです。
私にとってモービックは最後の砦に近い存在で、この薬剤が無効のケースではなかなか妙案がありませんでした。しかし最近ではトラムセット等の慢性疼痛に効果のある薬剤があるので、以前よりは疼痛コントロールが容易になってきています。
ただ、トラムセットはオピオイドなのでNSAIDsには無い副作用があります。代表的な副作用は、悪心・嘔吐と便秘です。当初は添付文書どおりにトラムセットを投与していたので、副作用が強すぎて継続できない症例が多発しました・・・。
そこで、眠前1錠投与から開始して鎮痛効果をみながら1週毎に1錠ずつ増量していく方法に切り替えました。ほとんどの症例は、2錠(朝後、眠前)までの増量で鎮痛効果を得ることができています。尚、トラムセット投与前から処方していたNSAIDsは、トラムセットと1週間程度併用しています。
慢性疼痛に対するトラムセットの副作用対策 につづく
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