昨日の午後からは円板状半月に対する鏡視下半月切除術でした。
この方は、4年前にも反対側の円板状半月で、私が手術を施行しています。
円板状半月の場合、半月の切除量自体が多いので、
正常半月の切除術と比べて、やや手術時間が長くなる印象があります。
しかし、鏡視下手術で手術時間が長くなると、皮下への潅流液の漏れが多くなってきます。私の感覚では、手術時間が1時間を超えたあたりから潅流液がどんどん皮下へ漏れ出す印象です。
したがって、可能な限り早く鏡視下手術を終わらせる必要があります。昨日の方は30分程度で手術を終了しましたが、この程度の手術時間であれば皮下への漏出はほとんどありません。
皮下に潅流液が漏れ出すと関節内の圧が低下するので、視野が急激に悪くなります。
そうなると、手術時間が一層長くなるという悪循環に陥ります。
したがって私の中の目安では、ACL再建術を除く鏡視下手術では手術時間30分以内を目標として、最低でも1時間以内に終了するように心掛ければ良いのではと考えています。
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鏡視下手術
今日の午前は、円板状半月に起因した外側半月損傷に対する鏡視下半月切除術でした。
円板状半月といえば比較的若年者を想像しますが、今日の方は70歳台後半でした。
症状は、5月ごろから出現した2週に一度程度のロッキングです。MRIで外側の円板状半月の断裂所見をみとめ、McMurray testが陽性だったので手術に踏み切りました。
術中所見ですが、不完全型の円板状半月(incomplete discoid)で、バケツ柄断裂ではなく中節での横断裂でした。内側と比べて外側の関節軟骨はかなり傷んでいました。
鏡視下手術のプロフェッショナルならシザースとパンチでスマートに半月を切除するのでしょうが、私はシェーバーを用いて泥臭い手術を行います。
周知のように円板状半月(discoid)の切除前は、視野が狭いです。更に関節鏡の前に滑膜や脂肪組織が垂れ下がるので、ますます鏡視しにくくなります。
このような状況では、最初にカメラの前に垂れ下がる軟部組織をシェービングしています。30度斜視鏡を損傷しないように注意しながら、垂れ下がりを切除すると視野が良好になります。
数十秒の作業で視野が良好になるので、鏡視下手術の際にはお勧めの方法です。良好な視野で手術を行うと時間の短縮にもなります。これぞまさしく、急がば回れですね。
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