一昨日の長母指伸筋腱(EPL)の腱縫合術ですが、実は少し苦戦しました。これは損傷部位がIP関節に極めて近い部分だったからです。
周知のようにEPLの停止部は末節骨です。今回の伸筋腱損傷は末節骨停止部から10mm以内のところであったため、腱縫合をしようとしても縫い代が少なかったのです。
おまけに受傷後2日経過しており、伸筋腱断端も少し傷んでいました。少し悩みましたが、何とか津下法で対応できそうだったので、そのまま縫合することにしました。
しかし、末梢側の腱の状態はイマイチだったので、再断裂するようならpull-out wireを用いて伸筋腱を末節骨に逢着する必要があります。
伸筋腱損傷はオーソドックスな外傷のため油断しがちですが、末節骨停止部に近いところで損傷している場合には足元をすくわれる可能性があることに気付きました。
もちろん、pull-out wireセットがあれば問題無いのですが、病院によっては在庫が無い場合もあるので、停止部に近いところの腱損傷ではあらかじめの在庫確認が必須だと思いました。
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