整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

関節リウマチ

ブシャール結節の治療法

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先日、ブシャール結節の患者さんを診察しました。
ブシャール結節は、ご存知のようにPIP関節の変形性関節症です。


ヘバーデン結節や関節リウマチほどメジャーではありませんが、ブシャール結節はときどき診察する疾患です。先日の患者さんは、かなり炎症が強い印象でした。



このような指の変性性関節症には、意外と有効な治療法が無いです。関節リウマチの場合にはMTX~生物学的製剤まで、たくさんの治療の選択肢があります。


しかし、指の変形性関節症では、NSAIDsのラインを突破されると、手術以外では有効な保存治療が無いのが現状です。私の経験では、外用剤はほとんど効果がありません。


幸い、先日の方はNSAIDsがそこそこ効いたのですが、いつまでも服用し続けるわけにもいきません。どうしたものかな???


場末病院でブシャール結節に対して人工関節を希望する人は少ないので、NSAIDsを突破されると手詰まり感が滲み出ます。


昔はファルネゾンゲル等のステロイド含有外用剤がありましたが、2017年末には製造中止となるようです。そこそこ効果があった印象なので少し残念です。


現状では、疼痛が強い時には①NSAIDs服用 ②PIP関節のテーピング を併用して急場を凌いでいますが、決め手となる治療を見つけなければならないと感じています。





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医師の暴走を止めるには・・・

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先日、40歳台女性が両膝関節水腫で初診しました。
受診目的は「両膝の水を抜いてほしい」です。


診察すると両膝ともパンパンに張っていて、やや白濁した関節液を60mlずつ穿刺しました。問診では関節リウマチに対して某クリニックで「漢方」の治療を受けているそうです。


普段は、近くの病院で1~2週に一度の頻度で関節穿刺を受けているそうですが、その日はたまたま休診だったので、私が勤めている医療機関を受診したようです。 


関節リウマチは、明らかにコントロールされていません。その「漢方」の治療を行う某クリニックには3年ほど通院しているのですが、この1年ほどは同じ状況だそうです。。。


そんなクリニックが本当に存在するのかと思って、外来終了後にネットで調べてみると、確かにありました。全国的に有名なクリニックのようで、唯我独尊な治療(?)を展開しています。


ステロイド剤やDMARDsは全否定で、漢方だけで「完治」 できると謳っています。関節リウマチで「完治」ですか・・・。経歴をみると、さすがにリウマチ専門医ではなさそうです。


かなり遠方にあるクリニックなのですが、交通費も惜しまず定期的に通院しているようです。 う~ん、アナザーワールドが広がっていることを垣間見ました。


ここまでの事実を勘案すると、このクリニックが悪いと思う方が多いでしょう。しかし、私はそうは思いません。何故なら、その患者さんは既存医療に高度の不信感を抱いていたからです。


このような既存医療に不信感を抱く一部の患者さんの熱烈な需要があるために、このクリニックには全国から患者さんが集まってくるのでしょう。 


そして、その一因を作っているのは、営利目的のためには手段を選ばないマスコミの姿勢だと思います。過度の偏向報道や近藤理論礼賛も、売れれば何でもOKだからです。


つまり「エビデンス無視の医療機関」「既存医療に不信感を抱く患者さん」「利益のためには手段を選ばないマスコミ」が三位一体となって、この不幸な状況を作り出しているのです。


もちろん、医療機関は免責ではありません。自由診療はもちろん、保険医療においても、 極端な行動に走る医師のチェック機構が存在しないことは、由々しき問題ではないでしょうか。。。






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脳梗塞は気象前線通過日に好発?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
気象前線通過、脳梗塞に注意を です。




 脳血管障害は気象変化の影響を受ける代表的な疾患である。発症頻度と気象条件の関わりについてはさまざまな研究が行われているが、これまで気象前線の通過と脳血管障害発症との関連性を見た報告はなかった。広島大学大学院脳神経内科学の下村怜氏らは、急性期病院に入院した脳血管障害患者約4,000例を対象に検討を行い、脳梗塞の発症頻度が前線通過で増加したことを第42回日本脳卒中学会(STROKE 2017、3月16日〜19日)で報告した。



寒冷前線、温暖前線の通過は脳梗塞の発症に影響

 今回の検討はHiroshima 'Emergency and Weather' Study(HEWS)の一環として行われたもので、2012年1月〜13年12月に広島県内の急性期病院7施設に発症後7日以内に入院した脳血管障害症例3,935例を対象とした。平均年齢は73.5±12.4歳、病型は脳出血が18.8%、脳梗塞が81.2%であった。

 気象前線(寒冷/温暖)の通過日は、気象庁発表の湿度補正気温(THI)と天気図から同定。脳血管障害発症頻度と発症当日のTHI五分位(7.9℃以下、8.0〜12.7℃、12.8〜18.6℃、18.7〜23.7℃、23.8℃以上)および発症当日から6日前までの前線通過の有無との関連を多変量解析で検討した。なお、観察期間中の広島エリアにおける寒冷前線通過は111回、温暖前線通過は24回であった。

 解析の結果、発症当日のTHIが高いと脳出血の発症リスクが高かったが、発症当日のTHIと脳梗塞との関連は見られなかった。発症当日のTHIを調整し、気象前線通過と脳血管障害発症との関連を脳出血と脳梗塞に分けて検討したところ、脳出血では寒冷前線通過と温暖前線通過のいずれも発症頻度に影響していなかった。一方、脳梗塞では発症6日前の寒冷前線通過、および発症前日の温暖前線通過で発症頻度が有意に増加していた(それぞれP=0.039、P<0.005、多変量非線形ポアソン回帰分析)。

 気象前線通過が循環器疾患の関連死を増加させるとの報告もあることから(Int J Biometeorol 2015)、下村氏は「脳梗塞の発症は気象前線の通過に影響を受ける可能性がある。今後は脳梗塞の病型と気象条件との関連について、さらに詳細に検討していきたい」と述べた。






う~ん、非常に興味深い記事ですね。整形外科領域でも、関節リウマチと気象変化の関係が指摘されています。天気が悪くなると症状が悪化することが多いのです。


もちろん、個体差が大きいので一概に言えることではないのですが、関節リウマチ患者の臨床データと気象データを用いて、両者の間に相関がみられることを示した研究もあります。


しかし、今回は関節リウマチの疼痛などの症状ではなく、生命にかかわる脳梗塞であるところが怖いですね。特に寒冷前線の通過時には要注意のようです。


ちなみに寒冷前線が通過すると、気温や湿度が急激に下降して低止まりします。一方、寒冷前線の接近に伴って気圧は低下し、通過後は急激に上昇してその後高いまま推移します。


このような気温や気圧の急激な変化が、脳血管に対してあまり良くない影響を及ぼすのかもしれません。温度はコントロール可能ですが、気圧の変化はどうしようもありません。


脳梗塞を発症しないようにしたくても、具体的には注意のしようもないですが、マメ知識として知っておいて損はないと思いました。






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血液透析症例に生物学的製剤投与は?

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先日、学会出張がありました。
外来を休診にするわけにはいかないので、他の病院から応援医師を招聘しました。


次の週の外来に、前週の患者さんが受診しました。この方は血液透析中の関節リウマチ患者さんです。RAのコントロールが難しいので、生物学的製剤(ABT)を導入しています。


4週に1度の点滴なのに何故受診したのか訊いてみると、前週の外来で「血液透析しているので、透析前ではなくて透析後に投与日を変更してもらうべき」と言われたそうです。。。


う~ん、これはいただけないですね。血液透析症例ではMTXが禁忌です。しかし、生物学的製剤に関しては、ほぼ通常通りの使用方法で投与可能です。


具体的には埼玉医科大学リウマチ膠原病内科の秋山雄次先生の下記論文に詳述されています。 血液透析施行例での治療を行う際には、この論文を一読することをお勧めします。 







要約すると下記の如くとなります。
  • DMARDsではSASP、TACを中心に治療を進める
  • 生物学的製剤では①TCZ ②ETN、ADA、ABT の順番で推奨される
  • 生物学的製剤の導入に際しては、通常例以上に感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底する 
  • AAアミロイドーシス合併RAは予後が悪いので、積極的に生物学的製剤導入を検討する


関節リウマチで血液透析施行例の方は、AAアミロイドーシスのために腎不全に移行した症例も多いようです。


したがって、感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底しながら、コントロール不良の症例では、生物学的製剤の導入が推奨されています。







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脊椎関節炎の治療で難渋中・・・

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先日、脊椎関節炎(spondyloarthritis:axial SpA)についてご報告しましたが、COX-2阻害剤(セレコックス)だけでは、なかなか疼痛コントロールが難しい状況が続いています。


う~ん、どうしたものか。。。現時点では脊椎関節炎を完全に治す治療法は確立されていません。そして、疾患活動性は約10年持続するといわれています。


このため治療目的は、疾患活動性が高い時期の症状緩和となります。このあたりはMTX登場前の関節リウマチの治療方針と似ています。つまり、現時点では決定打が無いのです。


治療ではリハビリテーションが大切であり、スポーツや体操を通じて体の柔軟性を維持します。そして、疼痛やこわばりの緩和を目的として、薬物治療を行います。


薬物治療では、骨化抑制作用も期待してCOX-2阻害剤を投与します。特にCRPが上昇している症例では、COX-2阻害剤の継続投与が骨化進行抑制に特に有用であるとされています。


一方、CRP陰性症例では、COX-2阻害剤投与による骨化進行抑制効果をあまり見込めません。COX-2阻害剤といえども、長期投与は腎障害や消化管障害を併発する危険性を高めます。


この観点から、COX-2阻害剤投与は痛みに応じて使用して、痛みが無ければ自己調節で減量、休薬することが望ましいのではないでしょうか。



今回のようにCOX-2阻害剤で制御が難しい症例では、サラゾスルファピリジンなどの内服薬が有効といわれています。ただ、私の少ない経験では著効例はほぼ無かったような・・・


こうなってくると、生物学的製剤の使用を検討することになります。しかし、場末病院で脊椎関節炎に対して生物学的製剤を開始するのは、ちょっと荷が重い気がします。。。






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