整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

関節注射

THAも関節注射後3ヵ月は待機しよう!

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先日ご紹介したのは、術後感染率が有意に上昇するので TKA の術前3ヶ月以内に関節注射を施行するべきではないという論文でした。


それでは THA に関してはどのような状況なのでしょうか? 実は、人工股関節全置換術(THA )にも似たような研究があります。


またまた出身大学の講師の先生に教えていただたのですが、下記のような2つの論文があります。




The Timing of Total Hip Arthroplasty After Intraarticular Hip InjectionAffects Postoperative Infection Risk



Preoperative Hip Injections Increase the Rate of PeriprostheticInfection After Total Hip Arthroplasty




いずれも TKA と同様に、術前 3ヶ月以内の関節注射は有意に術後感染率を高めるという結果です。THA においても、術前3ヶ月以内の関節注射は避けるべきのようです。


股関節に関しては、日本ではヒアルロン酸の関節注射が
保険適用ではないため、膝関節のように定期的に関節注射をすることはないです。


しかし腰椎由来の痛みとの鑑別のためにキシロカインテストをすることはあります。もちろん、キシロカインテストも関節注射です。


このため、キシロカインテスト陽性だったので手術をしましょう! ではなく、手術はキシロカインテストを施行してから3ヵ月以上待機することが望ましいでしょう。





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TKA: 術前3カ月以内の関注は危険!

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変形性膝関節症の治療において、人工膝関節全置換術(TKA)は最後の手段です。膝関節注射の効果がいよいよ見込めなくなった段階で手術を考えるという流れが多いと思います。


このようなケースでは、最後の関節注射をした後に患者さんが音を上げて人工膝関節全置換術を希望して手術治療へシフトすることになります。


しかし、主治医が「はい、わかりました。それでは手術をしましょう
」と言うと少しマズいことになります。どういうことかと言うと、JBJSから下記の論文が出ているからです。



Comparison of Infection Risk with Corticosteroid or Hyaluronic Acid Injection Prior to Total Knee Arthroplasty



上記論文は大学の先生に教えていただきました。この論文によると、TKA の術前 3ヶ月以内に
関節注射を施行した症例では、有意に術後感染が増えるという結果になっています。


このため外来で関節注射を施行していて、いよいよ手術しかないということになっても、最後の関節注射から手術までの機関は、少なくとも3ヶ月以上空けた方が良さそうです。






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関節注射の消毒は同心円状に!

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外来で膝関節や肩関節の関節注射を施行する際、刺入部位を間違わないように爪先で患者さんの皮膚にバッテンを付けています。


これは、多くの先生方が無意識にしている行動でしょうが、結構強めに爪跡を残さないと、消毒中に分からなくなることがあります。


しかし、むやみやたらと患者さんの肌に爪跡を残すことはできません。爪跡が消えてしまったら、記憶を辿って注射するのですが、いつもハラハラしています。


何か上手い方法が無いかな? と思っていましたが、よく考えたら単純な方法で問題をクリアできることに気付きました。


それは、イソジン消毒の際に、爪跡を中心に同心円状に消毒することです。こうすることで、仮に肌の爪跡が消えても、同心円の中央に刺入すれば大外れすることはありません。


もちろん、足関節や肘関節の場合、これでは的が大き過ぎてダメです。しかし、膝関節や肩関節では、少々的が大きくなってもOKです。この気付きいかがでしょうか?




2018.1.12 追記

いくつかコメントをいただきました。下記のような方法でマーキングされている先生方が多いようです。

  •  ボールペンの芯を出さない状態でペン先を押し付けてマーキングする
  •  インクがつかないし、しっかり消毒しても跡は消えない


更に、患者さんが『ああ、ここに刺されるんだ』という自覚を持つことで、針を刺しても比較的痛みを感じにくい、という魔法のような効果も付いてくるとのことでした。 



なるほど、ですね。次の外来で試してみたいと思います。それにしても、いろいろな工夫があるものです。御教示いただきありがとうございました!





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関節注射後の圧迫止血法

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外来で関節注射を施行する際、刺入部から出血することがあります。こればかりは避けようがないのですが、勢いよく出血すると圧迫止血しなければなりません。


出血は予測不能なので、事前に十分な準備をできないことが多いです。このような際、とっさにガーゼを押さえると、自分の指先に血液が付着してしまいます。


外来では感染症の検査をしていない患者さんがほとんどなので、自分の指先に患者さんの血液が付着することは、あまり気持ちの良いものではありません。


このような場合、私は鑷子を逆さまにして、鑷子基部の接合部で出血点を圧迫します。鑷子先端で圧迫してもよいのですが、鋭すぎるので私はやや鈍な接合部で圧迫止血しています。



555 - コピー



上図でいうと、赤丸の部分です。鑷子基部で関節注射の刺入部を圧迫することで、自分の指を汚さずとも簡単に圧迫止血することが可能となります。 





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抜くか止めるか、どちらを選ぶ?

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以前、私は外来のスピードアップのために、両側の膝関節注射では基本的に座位で施行していることをお話ししました。この方が圧倒的に処置スピードが速いからです。


この肢位のデメリットは、血管を刺す頻度が高いことです。血管を刺してしまうリスクは技術の習熟度と関係ありません。このデメリットを緩和する手段として私は下記の対策を行っています。

 

  1. ヒアルロン酸注入後は一気に針を抜かずに、針先が関節外に来た時点で一旦止める
  2. もし血管を刺していれば、何もしなくても針の基部に血液のバックフローを認める
  3. 血液のバックフローがある場合には針を全て抜く前にガーゼを準備する
  4. 針を抜いた瞬間にガーゼで圧迫止血する


ありがちなパターンは針をいきなり全部抜いてしまい、血液が針穴から噴出するケースです。こうなると、事後の処置に時間がかかってしまいます。


抜針途中で針基部に血液のバックフローがあった時点で対応すると、このような惨事(?)を回避できるので時間の節約に有効だと思います。
 



一方、膝関節注射が関節内に入った証拠として、勢い良く注射針を引き抜く際の「プスッ」という小さな音を確認します。この音を聴取できると、関節腔内に入ったことが確認できて安心です。


しかし、この2つは相反する手技です。針を勢いよく引き抜くか、途中で一旦止めて血液のバックフローの無いことを確認するかの2者選択です。


う~ん、悩ましい(笑)。最近では、ヒアルロン酸注入後は一気に針を抜かずに、針先が関節外に来た時点で一旦止めて血液のバックフローの無いことを確認する方法を行うようになりました。


関節内に入ったという満足感を得るよりも、血液が針穴から噴出するデメリットの方を防ぎたい気持ちが勝ったからです。せっかく発見した「小さな音」を封印するのは少しもったいないです。


しかし、日々の外来業務の効率化・スピードアップを最優先すると、今回の選択もやむを得ないのかなと思いました。




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