私は外来のスピードアップのため、両側の膝関節注射では基本的に座位で施行しています。この方が圧倒的に速いのですが、デメリットがいくつかあります。
最大のデメリットは、外側膝蓋上嚢に比べて関節腔内に針先が入りにくいことです。もうひとつのデメリットは血管を刺す頻度が外側膝蓋上嚢に比べて高いことです。
関節腔内に針先が入りにくいデメリットは膝関節屈曲位での関節注射に習熟するとある程度クリアできますが、血管を刺してしまうリスクは習熟度と関係ありません。
このデメリットを緩和する手段として私は下記のような対策を行っています。
- ヒアルロン酸注入後は一気に針を抜かずに、針先が関節外に来た時点で一旦止める
- もし血管を刺していれば、何もしなくても針の基部に血液のバックフローを認める
- 血液のバックフローがある場合には針を全て抜く前にガーゼを準備する
- 針を抜いた瞬間にガーゼで圧迫止血する
ありがちなパターンは針をいきなり全部抜いてしまい、血液が針穴から噴出するケースです。こうなると、事後の処置に時間がかかってしまいます。
抜針途中で針基部に血液のバックフローがあった時点で対応すると、このような惨事(?)を回避できるので時間の節約に有効だと思います。