平成28年4月14 日からの熊本地震に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 今回の地震でも、あらためてエコノミークラス症候群が注目されました。


熊本地震では大きな余震が多発しているため、自家用車に避難して寝泊まりされた方も少なくありません。このような車中泊の被災者は、肺血栓塞栓症を併発する危険性が高まります。



肺血栓塞栓症を予防するために最も重要なことは積極的な運動や歩行ですが、避難している状況では現実的には難しいケースが多いです。


医師にとって肺血栓塞栓症はなじみ深い疾患ですが、病院内の予防措置と災害現場の予防措置は異なります。大震災にあたっては、多数の方が避難所生活や車中泊を余儀なくされます。


日本循環器学会を始めとする7学会(※)は、止むを得ず車中泊する場合や避難所の中で運動がままならない場合の予防法を広報したので、以下に要約してみました。



  • 弾性ストッキングを適切な指導の下、使用する
  • 長時間自動車のシートに座った姿勢で眠らない
  • 時々足首の運動を行う
  • ふくらはぎのマッサージを行う
  • 十分な水分を補給する
  • 可能であれば避難所で簡易ベッドを使用する


重要なのは、寝る際に足をできるだけ心臓と同じ高さに保つことだと思います。自動車のシートで寝る場合には、足元に台を置いてシートとの高さをそろえると良いそうです。


また、最も予防効果の高いグッズである弾性ストッキングは、非常用バッグ(災害用バッグ)の中に常備しておくことが望ましいでしょう。病院勤務であれば容易に購入できると思います。


災害現場では水の確保が難しいですが、弾性ストッキング+足を心臓と同じ高さに保つ+足の運動+下腿マッサージを心掛けることで肺血栓塞栓症をある程度予防することができます。




※ 日本循環器学会 日本静脈学会 日本心臓血管外科学会 日本血管外科学会 日本脈管学会 日本胸部外科学会 肺塞栓症研究会 の7学会





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