整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

頚椎カラー

環軸椎回旋位固定の頚椎カラー

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日から5歳児の環軸椎回旋位固定の治療を行っています。
もちろん、治療と言っても頚椎カラーを処方して経過観察しているだけです。


環軸椎回旋位固定は、1年前に
自分の子供が環軸椎回旋位固定になったこともあり何となく親近感のある(?)疾患です。


環軸椎回旋位固定は一般的には小児に発症することが多く、上気道炎や軽微な外傷が原因となることがありますが原因不明なことも多いです。私の子供も原因不明でした。


さて、治療は頚椎カラーの処方となりますが、5歳児に合うような頚椎カラーは残念ながら存在しません。カラーの高さがありすぎて斜頚の5歳児には装着できないのです。


このような場合、新聞を折って輪状にして包帯を巻いた手製の頚椎カラーでも良いのですが、忙しい外来診療の合間に作成することは現実的ではありません。


そこで、私は一番小さいサイズのポリネックカラーの上半分だけを装着してもらうようにしています。ご存知のようにポリネックカラーは2ピースで構成されており高さ調整ができます。

                        

キャプチャ - コピー




この2ピースのポリネックカラーの上半分だけなら高さはさほど高くないので、5歳児であっても充分に装着可能であることが多いのです。


注意点は、下半分のポリネックカラーを捨てないように親に言っておくことです。環軸椎回旋固定の再発予防のために、発症後3~4週程度は頚椎カラーを装着することが推奨されています。


しかし、斜頚が軽快するとポリネックカラーの上半分だけではブカブカになってしまいます。このため、再発防止のための装着期間にポリネックカラーの下半分も使用する必要があるのです。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科



                        

首下がりの治療は難しい・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、外来をしていると「背中が出っ張ってきた」という60歳台後半の女性が受診されました。
特に脊椎圧迫骨折の既往は無いようですが、確かに円背になってきています。


単純X線像で全脊椎立位2方向を施行したところ、脊椎アライメントの著明な後弯を認めました。特に椎体の変形は無いようですが、かなりインパクトのある脊椎後弯でした。


患者さんにも画像を見ていただいたのですが、「これが私の背骨ですか・・・」とかなりショックを受けた様子で非常に気の毒でした。今回はいわゆる”首下がり症候群”の初期像だと思います。


”首下がり”とは、座位や立位時に首が下がってしまう症状です。1986 年にLangeらが首下がりを呈した 12 例の症例を報告したのが最初です。


首下がり症候群では随意的に頚椎を伸展して首下がりを修正できることが多いですが、その姿勢を長続きすることができずに首が下ってしまいます。


この慢性的な首下がりのために視界が障害されて歩行し辛くなります。今回の患者さんの主訴は円背でしたが、歩行状態をみると軽度の首下がりがありました。


首下がりの生じる機序として、①前頚筋の過剰緊張 ②後屈筋の筋力低下 が考えられています。それぞれ下記の疾患が原因として挙げられます。これ以外にも変形性頚椎症があります。

① パーキンソン病、多系統萎縮症
② 重症筋無力症、多発性筋炎



首下がり症候群の治療について、一般的に次のように報告されています。

① 薬剤惹起を疑う場合には原因薬剤の中止(ドパミンアゴニストなど)
② ボツリヌス毒素注射やアルコールや局所麻酔薬によるモーターポイントブロック治療
③ 脳深部刺激法



しかし実際には①が問題なければ中下位頚椎から傾斜しているタイプには頚椎カラーを、頚胸椎移行部から傾斜しているタイプには鎖骨バンド固定を処方するケースが多いと思います。


頚椎カラーや鎖骨バンドの装着で歩行状態が改善するため、患者さんの満足度が上がります。しかし、今回は装具を装着するほど困っていないとのことだったので処方しませんでした。


根治的治療が難しい”首下がり”症候群ですが、頚椎カラーや鎖骨バンドの処方以外で何か良い治療法は無いものでしょうか?



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科



                        

環軸椎回旋位固定で救急受診!?

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日に外来をしていると、5歳児が前日の午前から首の痛みを訴えるとのことで初診されました。斜頚になっていたので環軸椎回旋位固定という診断をほぼ一瞬で下せました。


半年前に自分の子供が環軸椎回旋位固定になったこともあり、何となく親近感のある疾患です。環軸椎回旋位固定は、環軸関節が亜脱臼の回旋変形した位置で固定されることが病態です。


外見上は斜頚位(cock robin position)を呈しています。一般的には小児に発症することが多く、上気道炎や軽微な外傷が原因となることがありますが、原因不明なことも多いです。


単純X線は開口位と側面像が重要です。開口位では環軸関節と歯突起の位置関係に左右差があります。私はCTまでは施行しないですが、回旋の状態がより分かりやすいかもしれません。


治療は介達牽引が推奨されていますが実際に外来で毎日行うことは難しい場合が多いので、私は一番小さなサイズの頚椎カラーを処方しています。


数日後に再診してもらい、十分な整復を獲得していなければ発症して1週間程度をメドにして入院での持続牽引を勧めています。親御さんにこのような説明すると安心して帰宅されました。


一連の診察を眺めていた外来看護師さんが、先日同じような児が休日診療所を受診した話しをしてくれました。何でも、患者さん家族が午前4時ごろに救急受診したそうです。


何故、そのような非常識な時間帯に受診したのか不明ですが、当直していた休日診療所の小児科医師は環軸椎回旋位固定を知らなかったようで、近くの3次救急の病院に紹介したそうです。


今回のケースがコンビニ受診なのかは不明です。しかし、わざわざ非常識な時間帯に休日診療所を受診するよりも、普通に整形外科を受診した方がスムーズに治療されたはずなのですが・・・



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
  初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です


                   
    

          
          整形外科研修ノート (研修ノートシリーズ)


自分の子供が環軸椎回旋位固定に・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加


2日前の朝のことですが、子供が「首が痛い」と言ってなかなか起きませんでした。
「コイツ、学校に行くのが嫌なんだなぁ」と思って無理矢理起こすと痛がって首を傾けています。


???と思ってよく見ると、本当に痛そうです。まっすぐに立たすと、斜頚になっているではありませんか!そう、なんと自分の子供が「 環軸椎回旋位固定 」になってしまったのです。


時間があったので、丹念に触診すると環軸関節に圧痛があります。子供なので頚部の軟部組織が薄いため、環軸関節をしっかり触診できるのです。


今回は、特に上気道炎や軽微な外傷は無かったので原因不明です。念のため体温を測りましたが平熱でした。明らかに環軸椎回旋位固定なのですが、心配になるぐらい痛がります。


病院で診察する環軸椎回旋位固定の患児は、発症からある程度時間が経過しているケースが多いからなのでしょうが、触っただけで痛がるケースは稀だと思います。


しかし、発症したての環軸椎回旋位固定はかなり痛そうです。治療は介達牽引が推奨されていますが実際に外来で毎日行うことは難しい場合が多いので、今回も頚椎カラーを処方しました。


今日は発症から3日目ですが、幸いやや斜頚や疼痛はやや軽快傾向です。子供にとっては頚椎カラーを装着するのは結構嬉しいようで、昨日は喜んで装着したまま登校したようです。


環軸椎回旋位固定は20%弱ぐらいの頻度で再発するようなので、斜頚が治っても3~4週間ほどの期間は頚椎カラーを装着させようと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科



                        

首下がり症候群ってどうしてますか?

このエントリーをはてなブックマークに追加


今日の午前中は外来でした。
他科からの”首下がり症候群”の対診依頼がありました。


”首下がり”とは、座位や立位時に首が下がってしまう症状です。1986 年にLangeらが首下がりを呈した 12 例の症例を報告したのが最初です。


首下がり症候群では随意的に頚椎を伸展して首下がりを修正できることが多いですが、その姿勢を長続きすることができずに首が下ってしまいます。


この慢性的な首下がりのために視界が障害されて歩行し辛くなります。今回の対診依頼の患者さんの主訴は、まさしく首下がりによる歩行困難でした。


また、首下がりのために嚥下困難などをきたすこともあるようです。首下がりは見た目の悪さだけではなく、日常生活動作が制限されてしまうことが問題です。


首下がりの生じる機序として、①前頚筋の過剰緊張 ②後屈筋の筋力低下 が考えられています。それぞれ下記の疾患が原因として挙げられます。これ以外にも変形性頚椎症があります。

① パーキンソン病、多系統萎縮症
② 重症筋無力症、多発性筋炎



首下がり症候群の治療について、一般的に次のように報告されています。

① 薬剤惹起を疑う場合には原因薬剤の中止(ドパミンアゴニストなど)
② ボツリヌス毒素注射やアルコールや局所麻酔薬によるモーターポイントブロック治療
③ 脳深部刺激法



しかし実際には①が問題なければ中下位頚椎から傾斜しているタイプには頚椎カラーを、頚胸椎移行部から傾斜しているタイプには鎖骨バンド固定を処方するケースが多いと思います。


頚椎カラーや鎖骨バンドの装着で歩行状態が改善するため、患者さんの満足度が上がります。このため私の場合は、それ以上の外来治療やフォローを行わないことが多いです。


手術適応はほぼ無いが、原因特定や根治的治療が難しい”首下がり”症候群・・・。
本当に、頚椎カラーや鎖骨バンドの処方でよいのでしょうか?



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科



                        

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。