先日、住友病院の小田剛紀先生の講演を拝聴する機会がありました。講演内容は頚椎症性脊髄症の関するもので、Myelopathy handの話題がおもしろかったです。
Myelopathy handの診断には、10秒テストやfinger escape sign が知られています。頚髄疾患の診察の際には必ず実施する検査ですが、今回の講演で何を診ているのかを初めて知りました。
まず、これらは頚髄の錐体路障害の有無を確認するための検査です。頚髄の障害高位によらず、頚髄での錐体路障害があるとこれらの検査は陽性となります。
まず10秒テストに関してですが、頚髄における錐体路障害の固有の現象としての屈筋と伸筋の協調性(synergy)の支障と捉えられています。
一方、finger escape sign は錐体路における支配繊維数の少ない尺側指から選択的に随意コントロールが利かなくなるために発生すると考えられています。
頚椎症性脊髄症は頚椎手術の中では最も頻度が高くてメジャーな疾患ですが、意外と理解していないポイントがあることに気付いた一日でした。
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Critical thinking脊椎外科
頚椎症性脊髄症
今日は午後から脊髄造影(ミエログラフィ)を施行しました。下肢の痙性と上肢の巧緻障害が主訴なのですが、心臓ペースメーカーが留置されているためにMRIを施行できない方でした。
所見はやはりC5/6>4/5で脊柱管の高度の狭窄を認め、頚椎症性脊髄症でした。
この方はL4にすべりをみとめ、またL4/5以外の椎間は、骨性に閉じていました。
しかも棘間靭帯が骨化しており正中アプローチが不可能なため、傍正中アプローチをせざる得ませんでした。なかなか難症例でした・・・。
最近はMRIの性能が向上しているので、1.5テスラ以上のMRIであれば手術症例であっても脊髄造影は不要と考えています。少なくなったとはいえ、検査後頭痛や造影剤のアレルギー発生のリスクもありますので、脊髄造影はできるだけ避けたいのが本音です。
ただ、心臓のペースメーカーが留置されていたり、刺青(特に青色系)のある方には、脊髄造影を施行せざるを得ないのがつらいですね。
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