整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

精神疾患は骨癒合促進因子?!

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先日、上腕骨近位端骨折(4 part骨折)の患者さんの治療を行いました。この患者さんは統合失調症の既往があり、現在も寛解状態とは言えません。


私の勤務する病院は心療内科医師が居ないため、統合失調症の患者さんの入院治療は難しいです。しかし、近隣にも心療内科医師の居る医療機関はありません。


まさか、精神科医師を求めて大学病院に送るわけにも行かず・・・。考えた末に、外来で保存治療を行うことにしました。通常なら手術を施行してもおかしくない症例です。


ちょっと無謀ではないのか? と思われるかもしれませんが、実は私には勝算がありました。それは、精神疾患の患者さんは、骨癒合しやすい傾向にあると考えているからです。


精神疾患の患者さんは骨癒合しやすい上に、関節拘縮もきたしにくい印象です。おそらく痛みに強くてどんどん患肢を動かすため、骨癒合が促進されて関節拘縮もきたしにくいのでしょう。


以前、尺骨骨髄炎で尺骨の中央1/2を完全に切除した患者さんが、期せずしてどんどん仮骨形成して、術後3ヵ月で尺骨が再生したことを目の当たりにして確信に変わりました。。。


今回の患者さんは受傷後8週で、4 part骨折が完全に骨癒合しました。手術しなくて良かった。精神疾患の患者さん=骨癒合しやすい、は迷信ではないような気がします。






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骨粗鬆症性椎体骨折のVacuum cleft

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私は、高齢者の胸腰椎圧迫骨折では、ほぼ全例に近いほどロングフレームコルセットを3ヵ月間装着する治療法を選択しています。


入浴時と就寝時以外のロングフレームコルセット常用以外を課しており、就寝時には仰臥位となることを禁止しています。


これだけやっても比較的高率に、椎体の Vacuum cleft をきたしてしまいます。。。やはり就寝時も常用するべきなのかと感じていますが、実際はどうなのでしょう?


さて、Vacuum cleftは、骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合不全の指標とされています。椎体内にcleft(裂け目)が形成される部分は、椎体組織が壊死しているからです。


壊死を併発した椎体が圧壊すると、局所的には後弯を形成します。この状態で腰椎を伸展すると、椎体内壊死部分が上下に開大してcleft(裂け目)が形成されます。 



腰椎を伸展したときに椎体にできる間隙は陰圧となるため、その空間には空気中の窒素や水分が貯留します。これがvacuum cleftの正体です。


vacuum cleftは腰椎伸展位の方が隙間が大きくなるので、XpやMRIを撮像する際には、臥位で施行するとはっきりします。


vacuum cleftを放置すると、最終的には偽関節となります。偽関節化するとアリゲーターサイン(Alligator sign)をきたします。


こうなると経皮的椎体形成術単独では不安定性を取り除くことは難しいです。 椎体形成術に加えて、胸腰椎後方固定術も併用する必要があります。


しかし、もともと骨粗鬆症が高度な患者さんが多いので、早期にスクリューが緩む危険性が高いです。こうならないためにも、vacuum cleftを発見したら早めの対応が必要となります。






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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

駄ネタ:あなたの1/3 PWBはいくら?

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先日、足関節脱臼骨折(SE stage 4)の術後患者さんの部分荷重開始を決定しました。私は、SE stage 4の症例において、術後3週間はタッチダウンまでの免荷にしています。


通常、術後4週目からは1/3 PWBから荷重歩行を開始します。そして、今回の方も深く考えずに「1/3 PWBから開始しましょう」と患者さんに告げました。


患者さんに告げた場所は、偶然にもリハビリテーション室でした。ちょうどリハビリテーションの回診中だったのです。


それまでは、病床や車椅子で座っている状態でしか話をしたことが無かったので気が付かなかったのですが、1/3 PWBを告げた後に立ち上がってもらうとかなりの巨漢でした。。。


他院からのリハビリテーション目的での入院だったので、身長・体重を知らなかったのです。体重を確認すると98kgとのことでした。0.1トンもあるじゃないですか!!!


これで1/3 PWBかけると、30kgオーバーとなります。う~ん、これはマズいですね。急遽、20kgのPWBに変更しました。ルーチン・ワークには、時々落とし穴があるようです。






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整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








偽関節手術の雑感

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先日、鎖骨の偽関節手術がありました。
単なる鎖骨骨折の手術と異なり、偽関節手術は気を遣います。


まず基本にしたがって、偽関節周囲は骨膜に皮質骨をつけながら、ノミで鎖骨本体を展開します。よく切れるノミでないと、皮質骨付きで骨膜をきれいに剥離できません。


偽関節部には、ある程度の仮骨形成を認めるため、新鮮骨折のように骨折部(偽関節部)がぴったり合うことはありません。できるだけ接触面積を広くするように断端を形成します。



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今回もかなり偽関節部の骨を切除して断端を形成しましたが、それでも少し間隙があるように見えます。この骨端の形成作業が難しいです。





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次に、偽関節周囲に大量の自家骨移植を行います。これでもか! というほどてんこ盛りのすることがポイントです。





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術後の単純X線像でも、偽関節部の全周性に移植骨が存在することを確認できます。ちょっとやり過ぎではと思うぐらいで充分だと思います。


毎回思うのですが、偽関節手術は気を遣うし手技も煩雑です。ちょっとオーバーインディケーション気味ですが、新鮮鎖骨骨幹部骨折も手術をする方向に趣旨変えしようかな・・・






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医療ブログは備忘録に最適

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先日、久しぶりに膝蓋骨脱臼の新鮮症例を診察しました。単純X線像を確認すると、大腿骨膝蓋骨溝の低形成は認めませんが、膝蓋骨内側部に圧痛もあります。


身体所見から膝蓋骨脱臼と診断し、いざ外固定を施行しようとして止まってしまいました。膝蓋骨脱臼の場合、膝軽度屈曲位か伸展位のどちらにするべきかをド忘れしたのです。


こういう場合、考えても確証を得られませんので、調べるに限ります。私の場合、調べる対象は当ブログです(笑)。何といっても「日々の診療の備忘録」としてスタートしたのですから。



ネットで「膝蓋骨脱臼」「固定」検索すると、膝蓋骨脱臼についての一般人向けHPやブログが大半です。全て一般人向けなので、固定肢位の記載は皆無です。


そこで、「膝蓋骨脱臼」「固定」に「整形外科医のブログ」を追加すると、下記のエントリーがヒットしました。泡沫ブログなので、キーワードを羅列しないとヒットしないのです。






自分で書いたブログですが、すっかり忘れていました(笑)。これを読むと、膝関節伸展位で2~3週間固定することが多いと書かれています。


膝関節を伸展位で固定する理由は、Q angle(通常20度未満で平均14度ぐらい)の影響で、膝関節を屈曲するにつれて膝関節外方への合力がかかるからです。


膝関節の屈曲角度が大きくなるほど、膝蓋骨が脱臼する方向(膝関節の外側)への力が加わります。 このため、膝関節の固定角度は伸展位が推奨されます。


また、膝蓋骨脱臼のために損傷した内側関節包や内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の修復を促す意味でも、膝関節外側への力があまりかからない膝関節伸展位での初期固定が有効なのです。


なるほど、そういうことですか。。。すっかり忘れていました。しかし、(未来の)自分向けに書かれているので、我ながら非常に分かりやすいです(笑)


このように、備忘録としてもブログは非常に有用だと思います。言わば、世間に公開されている自分だけの備忘録なのです。


クラウドで自分の診療の備忘録を持ちたい方は、ブログを立ち上げることを強くお勧めします。そして、立ち上げた際には、このブログへのリンクを張ってくださいね(笑)。








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