整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

骨折放置例も意外と成績良好

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日の外来で興味深い症例を経験しました。
受傷から 4週間経過した骨折の放置例です。


いずれも GW中の受傷だったようで、医療機関を受診する機会を逸したままズルズルと引きずっていたようです。1症例目は下記の橈骨遠位端骨折です。


11 - コピー

12 - コピー



受傷から 4週間経過していることもあって、既に仮骨形成を認めます。幸い、転位はさほど大きくありません。これならこのまま経過観察しても問題なさそうです。


そして、驚くべきは手関節機能です。手関節腫脹は軽度残存するものの、健側比でほとんど可動域制限を認めませんでした! 外固定での保存治療よりも良好な経過です...。





2症例目は下記の腓骨遠位端骨折です。こちらはまだまだかなりの足関節周囲の腫脹を残していました。可動域制限はさほど無いものの、先ほどの手関節と比較してイマイチです。


33 - コピー



それでも、日常生活で困ることはさほど無いようです。受傷早期に初診で診ていたら、ある程度の外固定を施行したはずです。


現状では外固定をしたのと変わらない状況です。結果オーライとは言え、無駄な(?)出費と外固定を継続する苦労を省略化できたのは大きいのではないかと感じました。


この2症例を続けざまに診たため、整形外科の保存治療(外固定)の適応をもう少し緩めに考えた方が良いのはないか? と感じました。


外固定せずに転位してしまうと、最悪のケースでは医療訴訟に至る可能性もあります。これを危惧して外固定を推奨しますが、実は外固定不要な骨折は多いのかもしれません。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








抗精神病薬は術中低血圧が問題!

このエントリーをはてなブックマークに追加


ときどき、精神疾患で治療中の患者さんの手術を担当することがあります。予定手術であれば、精神科や心療内科医師が常勤でいる病院での対応が望ましいでしょう。


しかし、骨折に対する手術の場合には、期日的・物理的に転院が難しいことが多いです。このような場合には自院で対処するしかありません。


抗精神病薬の多くは、血圧上昇に作用するアドレナリンα1受容体の遮断作用を持っており、長期にわたり内服を継続している症例では、α受容体の感受性が低下しています。


このため、α刺激作用を持つ昇圧剤を投与した際に反応が乏しいことが問題となります。特に手術中に血圧を維持することが難しいそうです。


抗精神病薬をこってり服用している精神疾患治療中の患者さんは、術中の血圧維持が難しいことを念頭に置いた上で、術前に麻酔科医師と協議することを忘れてはいけません。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。










三果骨折は外果ファーストが理想?

このエントリーをはてなブックマークに追加


足関節脱臼骨折の SE stage 4 などの
三果骨折の手術治療について考えてみました。一般的に三果骨折の場合は手術が難しくなります。


基本的にはワン・ターニケットで手術を終了する必要があるので、時間との戦いになります。 しかし時間ばかり気にして関節面整復が不十分であると本末転倒です。


このような前提条件で、最も望ましい手術手技はどのようなものでしょうか。私は最初の師匠から、まず後果を整復固定してから内外果骨折の手術を行うように指導されました。


その理由は、最初に外果骨折をプレートで固定すると、後果骨折の関節面整復状況の正確な判断ができなくなるからです。


しかし、一般的に後果骨片は外果や内果骨片とつながっていることが多いです。このため、内外果骨折の整復固定を先にした方が、後果骨折の整復固定が容易になることが多いです。


更に、外果や内果骨折を整復することで、後果骨折も自然に解剖学的整復位を獲得していることまで、しばしば見受けられます。


このため、手術の容易さという観点では、外果や内果骨折の手術をしてから、最後に後果骨折の手術をするのが理想的です。


しかし、外果や内果骨折を最初に整復固定してしまうと、後果骨折がしっかり整復できているか否かを正確に判断することができないです。


どの骨折を最初に整復固定するかは症例によってある程度違うと思いますが 、やはり一般的には、 外果 → 内果 → 後果 の順番で手術をするのが一番簡単に思えます。


先生方は、どのような順番で手術をされているのでしょうか?







★★ 医学知見探求サービス ★★


医学知見を医師ユーザー同士で発信・共有するコミュ二ティに参加しませんか? 

quotomy - コピー


「医師と医学知見との出会いを再定義する」 Quotomy(クオトミー)は、臨床現場で働いていると個人で医学知見をキャッチアップすることが難しい、という臨床医の切実な痛みから誕生しました。


忙しい日常の中で、医学知見を得たり、発信したりすることが難しくなっています。 時間的・地理的制約のために、学会や勉強会への参加もできない環境で働く医師もいます。


知への探求を諦めていませんか?


抄読会をする感覚で、Quotomyで論文を読んだ感想や気づきをシェアしましょう! お気に入りのユーザー同士はフォローでき、お互いのアクションを確認できます。


Quotomyは現在ユーザー登録受付中です!
登録は こちら からお願いします。



大腿骨頭のウマイ摘出法

このエントリーをはてなブックマークに追加


最近、大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がたくさんありました。いよいよ、大腿骨近位部骨折シーズンの到来ですね。


人工骨頭置換術と言うと研修医の先生の手術のようなイメージがありますが、大腿骨の骨質が悪い症例が多く、意外なピットフォールが多いと感じています。


あまり雑な手術をしていると、術中骨折を併発することがあるので、私的には人工骨頭置換術はあまり好きな手術ではありません。


正直に言うと、 THA の方が簡単な手術であるとまで考えています。さて人工骨頭置換術の際に、骨折した大腿骨頭を摘出するステップに意外と手間取ることがあります。


大腿骨頭を摘出する工夫を2つご紹介したいと思います。ひとつは他の医師から教えていただいたのですが、Garden stage 2~3 では THA のように大腿骨頭を脱臼させる方法です。


この方法のメリットは、うまくいくとあっという間に脱臼して大腿骨頭を摘出することが可能なことです。


もちろん、骨折しているのでうまく脱臼できずに骨折部が開大してしまって大腿骨頭が寛骨臼以内に取り残されることはままあります。


100%うまく脱臼させる方法はないのですが、寛骨臼と大腿骨頭の間にエレバトリウムを挿入して、これで介助しながら脱臼操作するとうまくいくことが多いイメージです。


もう一つの方法は、骨折部が開大している Garden stage 4 の場合に行います。まず大腿骨頚部の骨切りを行います。


そして寛骨臼内に残っている大腿骨頭を摘出するのですが、骨頭抜去器を2本準備します。一つは骨折部から、もう一つは90°角度をつけて大腿骨頭の関節軟骨面から挿入します。


そして、90°の角度がついている 2本の骨頭抜去器をそのまま上に持ち上げることによって、簡単に大腿骨頭を摘出することができます。


今回ご紹介した2つの方法のいずれかで、寛骨臼から大腿骨頭をあっさり摘出することができます。もし大腿骨頭の摘出で苦労している先生がいたら、一度試してみてください。







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








安全策を採るのもほどほどに!

このエントリーをはてなブックマークに追加


骨折治療中の患者さんには単純X線像等の画像で外来フォローします。ただ周知のように、仮骨はそんなすぐには見えてきません。


骨折の治療では、特に最初の 2~3 週間が転院しやすい時期という認識なので、この期間に関しては骨折型によって 1 週間もしくは 2 週間毎に診察をしています。


受傷後 2~3 週間は骨癒合をみているのではなく転位しないかどうかを確認しているのですが、このことは患者さんにはなかなか理解してもらえないです。


患者さんから聞かれることの圧倒的一番は「良くなってきていますか?」という言葉です。このフレーズは受傷早期の診察から頻回に発せられます。


しかし、残念ながら私たちが画像で確認したいのは、良くなってきている(=骨癒合の所見)ではなく、悪くなっていないこと(=転位していない)です。


後になって順調だったハズなのに!と誹謗されることを恐れて安全策(?)を採って「まだ骨はできていないですね。。。」と言ってしまい、患者さんをがっかりさせてしまいます。


少し罪悪感を持っていたのですが、最近は受傷後 2~3 週間であっても「良くなってきています」と言うようになりました。要らぬところで身の保全を図る必要は無いなと。。。


画像で骨癒合所見が現れるまで数週間かかりますが、よく考えると骨癒合所見が現れていない初期の段階であっても、どんどん骨癒合が進んでいるはずです。


受傷後 2~3 週間は骨折が転位しないことを確認しているのですが、転位していないということは骨癒合が正常に進んでいる可能性が高いということにもなります。


そこで、私は仮骨が見えていなくても、転位していなければあえて「良くなってきていますね!」と言うようにしています。


そのように言って患者さんを安心させてあげると気持ちよく帰っていただけるので、外来もスムーズに流れていくと思います。


※ もちろん、安心させると無茶苦茶するキャラクターのときはこのかぎりではありません






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。