整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨折

忙しくても健側撮影しておこう!

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最近、他院の症例で症状が残存しているとのことで、セカンドオピニオン目的で受診する患者さんを診察する機会が多くなりました。


主に外傷による骨折症例が多いのですが、そのようなトラブルを抱えている症例の多くに共通することに最近気付きました。それは健側の評価をしていないことです。


例えば、橈骨遠位端骨折で健側を全く撮影していない症例が目立ちます。もちろん、初診は救急医が診ることも多いので、健側を撮影していないことは責められません。


しかし、整形外科初診時にそのまま患側画像で治療を開始するのはいかがなものかと思います。このような症例は当然ですが保存治療例に多いです。


健側を撮影していないと思わぬ落とし穴にはまることが多いです。徐々に骨折部が圧壊してulnar plus varianceになっても気付かないことがあります。


さらに、手関節部痛が続くのでおかしいな~と言って受傷後1年で健側を撮影すると、外傷性変形性関節症に移行していた等の症例が本当に多い印象を受けます。


後医は名医とよく言いますが、それを割り引いても健側撮影しない整形外科医が多いことに驚かされます。救急病院で忙しくても、1回ぐらいは健側撮影しておきましょう!







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いつもの手術で大汗をかいた...

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先日の大腿骨転子部骨折で冷や汗をかきました...。なんてことのない症例だと思っていたのですが完全に落とし穴にはまってしまったのです。


この患者さんは他院からの転院症例でした。転院翌日の手術だったので画像資料は前医のものを使用しました。今にして思えば、コレが事の始まりでした。


他院の画像は拡大率が自院のものと比べて大きかったのです。拡大率が 120%だったのですが、このことに術中まで気付きませんでした。


拡大率120%なので、必然的に大腿骨は大きめです。このため、本来よりも大きいネイルを選択してしまいました(といってもサイズ10mmです)。


小転子下まで骨折線があったので、できるだけネイル長を稼ぐため頚体角を130度にしました。コレが第二の判断ミスです。


本来なら 9mm×125度を選択するべきところを、10mm×130度を選択したため、見事なまでに jammingしてしまいました。


14mmまでリーミングしましたが、大腿骨にbowingがあるためネイルがなかなか至適位置まで挿入できません。大汗をかきながら、やっとの思いでlag screwまで挿入しました。


やれやれ、やっと遠位スクリューだとドリリングしたところ、ネイルに干渉してしまうではないですか...。透視で確認すると、明らかにドリルの方向がおかしいです。


このデバイスは不良品だ! という訳はなく、どうやら jammingしているネイルを無理やり挿入したため、ネイルがわずかに変形してしまったようです。


3.0 K-wireで対側皮質をドリリングできましたが、どうしても4.5mmではドリリングできません。この状態で遠位スクリューを挿入すると大腿骨骨折を併発するリスクがあります。


思い悩んだ末、フリーハンドでドリリングすることにしました。2Dのフリーハンドなので、なかなかスリリングでした...。


最終的には何とか事無きを得て手術を終了しましたが、薄氷を踏む思いの手術でした。まさか大腿骨転子部骨折でここまで苦戦するとは思いもしませんでした。


今回の教訓は、時間の無い転院症例であっても可能なかぎり慣れ親しんだステップを踏んで「いつもの」状態で手術を行うべきだというこでした。







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骨折放置例も意外と成績良好

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先日の外来で興味深い症例を経験しました。
受傷から 4週間経過した骨折の放置例です。


いずれも GW中の受傷だったようで、医療機関を受診する機会を逸したままズルズルと引きずっていたようです。1症例目は下記の橈骨遠位端骨折です。


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受傷から 4週間経過していることもあって、既に仮骨形成を認めます。幸い、転位はさほど大きくありません。これならこのまま経過観察しても問題なさそうです。


そして、驚くべきは手関節機能です。手関節腫脹は軽度残存するものの、健側比でほとんど可動域制限を認めませんでした! 外固定での保存治療よりも良好な経過です...。





2症例目は下記の腓骨遠位端骨折です。こちらはまだまだかなりの足関節周囲の腫脹を残していました。可動域制限はさほど無いものの、先ほどの手関節と比較してイマイチです。


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それでも、日常生活で困ることはさほど無いようです。受傷早期に初診で診ていたら、ある程度の外固定を施行したはずです。


現状では外固定をしたのと変わらない状況です。結果オーライとは言え、無駄な(?)出費と外固定を継続する苦労を省略化できたのは大きいのではないかと感じました。


この2症例を続けざまに診たため、整形外科の保存治療(外固定)の適応をもう少し緩めに考えた方が良いのはないか? と感じました。


外固定せずに転位してしまうと、最悪のケースでは医療訴訟に至る可能性もあります。これを危惧して外固定を推奨しますが、実は外固定不要な骨折は多いのかもしれません。







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抗精神病薬は術中低血圧が問題!

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ときどき、精神疾患で治療中の患者さんの手術を担当することがあります。予定手術であれば、精神科や心療内科医師が常勤でいる病院での対応が望ましいでしょう。


しかし、骨折に対する手術の場合には、期日的・物理的に転院が難しいことが多いです。このような場合には自院で対処するしかありません。


抗精神病薬の多くは、血圧上昇に作用するアドレナリンα1受容体の遮断作用を持っており、長期にわたり内服を継続している症例では、α受容体の感受性が低下しています。


このため、α刺激作用を持つ昇圧剤を投与した際に反応が乏しいことが問題となります。特に手術中に血圧を維持することが難しいそうです。


抗精神病薬をこってり服用している精神疾患治療中の患者さんは、術中の血圧維持が難しいことを念頭に置いた上で、術前に麻酔科医師と協議することを忘れてはいけません。






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三果骨折は外果ファーストが理想?

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足関節脱臼骨折の SE stage 4 などの
三果骨折の手術治療について考えてみました。一般的に三果骨折の場合は手術が難しくなります。


基本的にはワン・ターニケットで手術を終了する必要があるので、時間との戦いになります。 しかし時間ばかり気にして関節面整復が不十分であると本末転倒です。


このような前提条件で、最も望ましい手術手技はどのようなものでしょうか。私は最初の師匠から、まず後果を整復固定してから内外果骨折の手術を行うように指導されました。


その理由は、最初に外果骨折をプレートで固定すると、後果骨折の関節面整復状況の正確な判断ができなくなるからです。


しかし、一般的に後果骨片は外果や内果骨片とつながっていることが多いです。このため、内外果骨折の整復固定を先にした方が、後果骨折の整復固定が容易になることが多いです。


更に、外果や内果骨折を整復することで、後果骨折も自然に解剖学的整復位を獲得していることまで、しばしば見受けられます。


このため、手術の容易さという観点では、外果や内果骨折の手術をしてから、最後に後果骨折の手術をするのが理想的です。


しかし、外果や内果骨折を最初に整復固定してしまうと、後果骨折がしっかり整復できているか否かを正確に判断することができないです。


どの骨折を最初に整復固定するかは症例によってある程度違うと思いますが 、やはり一般的には、 外果 → 内果 → 後果 の順番で手術をするのが一番簡単に思えます。


先生方は、どのような順番で手術をされているのでしょうか?







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