整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

骨盤後傾

カップと寛骨臼の前方開角が不一致?!

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先日、人工股関節全置換術(THA)がありました。今回の症例は、高齢者の急速破壊型股関節症(RDC)でした。RDCにありがちなのですが、立位で強烈な骨盤後傾を認めました。



臥位 - コピー



上図は、術後の単純X線像(臥位)です。臥位ではなんの変哲も無い股関節です。カップの外方傾斜角は40度ですが、前方開角はほぼゼロとなっています。





立位 - コピー



次は、術後の単純X線像(立位)です。見ての通り、強烈な骨盤後傾を認めます。ここまで極端な症例は、さすがに珍しいですね。小骨盤腔が潰れて完全に無くなっています。


そして、肝心のカップなのですが、外方傾斜角は40度で、前方開角もいい感じでついています。目測で前方開角20度ぐらいでしょうか?


かなり自分に都合の良い希望的バイアスが入っていますね(笑)。では、実際には何度ぐらいなのでしょう。下図は術後CT(臥位)です。臥位なので、カップの前方開角は0度です。



CT - コピー



カップの前方開角と寛骨臼の前方開角は、全く合っていないことが分かります。寛骨臼の前方被覆がほとんどありません。解剖学的な寛骨臼の形態に対して反抗的なカップ設置角度です。


このような臥位と立位で極端に骨盤の角度が変わる症例では、どちらに合わせてカップを設置するのかは難しい問題です。


日常生活で脱臼する可能性が高いのは就寝中(臥位)ではなく日中(立位)なので、私は、できるだけ立位の状態に合わせてカップの前方開角を設置するようにしています。


術中から寛骨臼の解剖学的前方開角に全く合っていないのは分かっているので結構コワいですが、術前計画を信じてカップを設置しています。








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THA: 骨盤後傾症例は難しい

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先日、急速破壊型股関節症(RDC)に対して人工股関節全置換術を施行しました。今回の患者さんは80歳を超える高齢者で、著明な腰椎後弯と骨盤後傾を認めました。


臥位 - コピー


上記は、臥位での単純X線像正面像です。カップの前方開角が小さく、0~5度ぐらいです。一方、この患者さんの立位での単純X線像正面像は下記です。




立位 - コピー


この画像では、骨盤が極端に後傾しているものの、カップの前方開角は20度ぐらいにみえます。私は臥位よりも立位の状態の方をより重視しています。


このため、カップの前方開角は、どちらかと言えば立位に合わせにいきます。仮にこの患者さんに対して臥位に合わせてカップを設置すると立位時に前方脱臼するリスクが高まります。


このため、術中のカップ設置の際には少し勇気が要りますが、できるだけ前方開角を減じてインパクションするようにしています。骨盤後傾症例は難しいですね。 






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THA: カップの固定性不足は焦ります

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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
いわゆる急速破壊型股関節症(RDC)で、高度の骨盤後傾の方でした。


このような方は骨質が悪い方が多く、慎重な手術操作を求められます。寛骨臼の骨質も不良なことが多く、リーミングでは細心の注意が必要です。


リーミングのファーストコンタクトでリーミングの力を7割ぐらいに抑えておかないと、あっという間に内板まで到達することがあるのです。昨日の方もこれに該当する骨質の悪さでした。


もちろん慎重にリーミングしたので、肉眼的に骨質が不良なこと以外は寛骨臼内の掘削状況は良好でした。しかしカップのインパクションを行っても充分な固定性が得られなかったのです。


THAにおいて、カップの充分な固定性を得られないことは術者にとって結構なプレッシャーになります。このような場合、私なら下記のような対応を採ります。


 ① その場所でリーミングしなおす
 ② 上方に向かって新たにリーミングする
 ③ スクリューのみで固定する。


今回の方は寛骨臼の破壊のため骨量が乏しく、①と②を選択しづらかったので③を選択しました。 カップの固定性が悪くても3本のスクリューがしっかり利けば術直後から全荷重可能です。


ただしスクリューのみで固定する場合、1本目のスクリュー挿入時にカップ外側傾斜角が大きくなることがあります。これを避けるため1本目挿入後にホルダーを装着して角度を確認します。


実際、本日の方も1本目のスクリューを挿入した段階でカップの外方傾斜角が大きくなったので、一度スクリューを抜去してからカップを至適角度に設定してインパクションし直しています。


THAは術者に要求される技術がTKAと比べて高いです。ラーニングカーブの立ち上がりが遅いので、100例近い症例を経験するまでは慣れた股関節外科医と手術を行う方が無難だと思います。



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                                    人工股関節全置換術



大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折にご注意!

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今日の午前は出張先での外来でした。
先週に80歳台前半の女性が1週間前からの突然の右股関節部痛で受診されました。


単純X線像で少しだけ右股関節関節裂隙の狭小化を認めました。立位の骨盤はかなり後傾していました。念のため週末にMRIを予約して、本日はその結果説明に受診されたのです。


T1WIで大腿骨頭軟骨下に低輝度領域、fat suppressionで大腿骨頭~転子部の高輝度領域を認めました。T1WIでの低輝度領域は骨頭軟骨下に沿うような(つまり中枢凸の)帯状領域でした。


診断は、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(subchondral insufficiency fracture of femoral head: SIF)です。この骨折は骨粗鬆症などに起因する骨脆弱性がベースとなって、骨盤後傾例などで荷重が大腿骨頭の一部分に集中することで発生します。


初期の変化はMRIを施行しないとなかなか捉えられないので注意が必要です。単純X線像で何も所見が無いのでしばらく経過観察していると、2ヶ月ほどで大腿骨頭が無くなっていた!という例も散見します。


SIFは一度発症すると関節適合性が破壊されるので、そのまま放置すると変形性股関節症もしくは急速破壊型股関節症(RDC)に移行することが多いのです。


SIFは高齢者に多く発症するので、痛みが高度の場合には早期にTHAを施行することが望ましいと思います。少しだけですが、手術時の注意点はこちらに記載しております。



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