先日の外来で「右第5中足骨基部骨折」の小学生の患者さんが再診しました。数日前に他の整形外科医師が診断したようで、足関節フリーの足部のみのシーネ固定をされていました。


第5中足骨基部骨折なのに、足関節フリーのシーネ固定とは妙だな???と思いながら診察すると、第5中足骨に腫脹・圧痛がありませんでした。確認したら下記の画像でした。



AP - コピー

斜位 - コピー



確かに右第5中足骨基部の骨端は、左側と比べて大きいです。そして、骨端離開である可能性も否定はできません。しかし、腫脹や圧痛が全くないので、同部位の骨折は否定的です。


丹念に調べると、足部外側痛ではなく、足関節外側靭帯部の腫脹・圧痛が著明でした。どうやら今回は第5中足骨基部骨折ではなく、足関節外側靭帯損傷だったようです。


いずれにせよ、足関節がフリーの固定では意味がないので、U字スプリントを作製しました。数日前に処置料を算定しているので、今回はもちろん無料でということになります。


看護師さんに訊くと、そこそこベテランの医師だそうですが、そんな医師でも今回のようなピットフォールに陥ってしまいました。やはり身体所見を丹念に取ることが大切だと思いました。





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