多発骨折でリハビリテーション入院中の患者さんがいます。受傷から1ヵ月経過しているのですが、母指末節骨は開放骨折でした。前医で洗浄後にセフェム系抗生剤を5日間投与されています。


数日前から母指の腫脹・発赤が出現しました。単純X線像では骨融解像を認めず、WBC/CRP 5500/0.44と微妙な数値です。まずは黄色ブドウ球菌をターゲットにしてセフェム系抗生剤の点滴を開始しました。


母指末節骨先端の骨髄炎疑いなので抗生剤点滴まで施行するかどうか迷いましたが、中途半端に内服投与で慢性化するのが嫌なので思い切って点滴投与としました。


どうしても炎症が鎮静化しない場合は切開して骨折部の掻爬をする必要がありそうですが、末節骨に対してそこまで施行した経験はありません。長管骨骨髄炎であれば治療方針で悩むことはないのですが、中途半端な部位なのでどこまで「攻め」の治療を行うか判断に迷うところです。


臨床は終わってみないと正解が分からないので、卒後17年経ってもいつも悩みながらもその時点で最善と思われる方法を選択せざる得ません。少し不謹慎かもしれもせんが、未来を見通せる水晶玉があればいいなといつも思っています。