昨日の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
特に問題のある症例ではないため、手術はスムーズに終了しました。
この方も内閉鎖筋温存の後外側アプローチで手術を施行しています。今回は比較的若年者で骨質が良好なため、カップの設置の際にやや苦労しました。
若年者の特発性大腿骨頭壊死症(ION)では骨質が良好なため、ほぼが全例に近いほど同サイズまでリーミングを行う必要があります。
ワンサイズアンダーのリーミングではカップをインパクションしても寛骨臼縁が固過ぎて臼底に着底しないのです。これはリーミングが偏心することで固定できないパターンとは異なります。
慣れるとカップが固定されない原因が分かるのですが、慣れていないもしくは寛骨臼の骨質が良好過ぎてカップが入らないことがあることを知らないケースではパニックになります。
リーミングが偏心することで固定できないパターンでは上方に向かってリーミングを追加しますが、寛骨臼の骨質が良好過ぎる場合には同サイズリーミングしか解決方法がありません。
ポイントは、寛骨臼の骨質が良好な場合にはカップをインパクションできない可能性があることをあらかじめ知っておくことだと思います。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
骨質
今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
スリムな60歳台の女性だったので、非常に容易な手術でした。
閉経後の女性の場合、骨質が意外と不良なことが多いです。大腿骨骨幹部の皮質骨はしっかりしているのですが、転子部などの骨幹端や寛骨臼の骨質には注意が必要です。
案の定、今日の方も寛骨臼の骨質が脆かったので、リーミングは30秒ほどで完了しました。最初から全力でリーミングしてしまうと、前後壁をとばしたり内板を穿孔することがあるので要注意です。
このあたりのポイントさえ押さえれば、脆弱な骨質はむしろ手術時間の短縮につながります。リーミングとラスピングでほとんど時間を取られないので、あっという間に手術が終了してしまうのです。
このような骨質が不良の患者さんは、術後しばらくしてから骨粗鬆症の治療を開始することが望ましいでしょう。私の場合、術後3ヶ月目からビスフォスホネート製剤投与を開始します。
なんと言っても実際に患者さんの骨を触ったり掘削して大腿骨や寛骨臼の骨質を充分に評価しているわけですから、どんな検査よりも正確に骨質を判断できているのです。
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人工股関節全置換術
今日の午前の手術は人工股関節全置換術(THA)でした。
普通のOAですが、男性だったので骨質が硬くてリーミングが大変でした。
若年者や男性では骨質が良好なため、リーミングの際になかなか掘削できないことがあります。
特に48mm前後の最もリーマーの使用頻度が高いと思われるサイズでは、刃が鈍っているのかリーミングできないことが多いです。
このような場合、昔はフ~フ~言いながら汗だくで渾身の力を込めてリーミングしていました。
もちろん、今でも汗だくでリーミングする場合がありますが、ある工夫により少しスマートになってきました。
その工夫とは、下記の2点です。
① 軸方向にのみ掘削するのではなく、リーマーの柄をぐるぐる回しながら寛骨臼内をいろいろな角度から掘削する
② 8mm丸ノミを用いて寛骨臼の硬化した表面に、7~8ヵ所の切り込みを入れる
これらの工夫により硬化した表面の骨にリーマーの刃が引っかかりやすくなり、スムーズに掘削できるようになります。ただし、リーミングの技術が充分でない時期に、激しく①を行うことはお勧めしません。あらぬ方向にリーミングしてしまう危険性があるので、慣れないうちは注意が必要です。
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