先日、化膿性関節炎の経口抗生剤の投与法についてブログに書込みましたが、
大学の感染制御部の医師にお伺いした抗生剤チョイスをご紹介したいと思います。


既述のように骨関節系感染症では、教科書的にはCRP、WBC、ESRが正常化するまで2週間程度は第一世代もしくは第二世代セフェムなどの抗生剤の経静脈投与行います。


その後の経口抗菌剤の投与期間に関しては諸説ありますが、第一世代セフェムもしくはペニシリンを感染鎮静化後も3ヵ月程度服用させるという報告が有力です。


第一世代セフェムの経口抗生剤を採用していない医療機関が多いことが問題なのですが、細菌の感受性でペニシリン系も有効なら、経口ペニシリン製剤の投与を検討するべきです。


そして、経口ペニシリン製剤の組み合わせとして、下記のようなパターンが推奨されるそうです。


アモキシシリンカプセル(250mg) 3C
オーグメンチン配合錠 (250RS)  3錠
分3後 × 3ヶ月


オーグメンチン配合錠とは、クラブラン酸カリウム 125mg  と  アモキシシリン水和物 250mg の配合錠です。つまり上記の飲み合わせは、アモキシシリンの倍量投与になります。


当初、ペニシリン製剤の倍量投与のために、この2剤を併用するものと思っていました。しかしお伺いすると、アモキシシリンとクラブラン酸カリウムの服用量のバランスが重要とのことでした。


つまり、アモキシシリンに少量のクラブラン酸カリウムをカクテルすることで、アモキシシリン単剤よりも更なる相乗効果が期待できるそうです。


そして、この量の経口ペニシリン製剤を、3ヶ月間服用し続けることがポイントだそうです。骨関節系感染症は治癒しにくいので、3ヶ月の長期投与もやむを得ずといったところでしょうか。




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