整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

髄内釘

骨幹部横骨折ではK-wire髄内釘も考慮!

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先日、ガレアッチ(Galeazzi)脱臼骨折の患者さんが受診しました。ご存知のようにガレアッチ骨折は不安定性の強い骨折です。


徒手整復を試みましたが、骨片がかみ合わず整復不能でした。やむを得ず全身麻酔下に手術を施行することにしました。


まだ小柄な中学生なので手術方法はプレート固定ではなく、経皮的骨接合術+ギプス固定を選択しました。


この手の経皮的骨接合術は定型的手術ではないため、思わぬところで苦戦することがあります。今回の症例は橈骨骨幹部の横骨折のため、うまくクロスピニングできませんでした。


2.0 K-wireで皮質骨に刺入しようとしましたが、刺入角度を浅くすると皮質骨表面を滑ってしまい、うまく骨内に入りません。


もちろん角度をつければ刺入できますが、これではクロスピニングになりません。このような場合には、クロスピニングにこだわらずに髄内釘でも構わないと思います。


今回は2.0 K-wireで大きめに刺入部を開窓して、先端を少し曲げたK-wireを開窓部から挿入しました。本物の髄内釘を挿入する要領で近位骨幹部髄内にK-wireを叩打・挿入しました。


当初はクロスピニングしようとして往生しましたが、髄内釘に切り替えたところあっさり手術は終了しました。


橈骨遠位端骨折などの骨幹端骨折であればクロスピニングは容易ですが、骨幹部骨折の場合には刺入角度の問題で難しいことがあります。


このような症例ではクロスピニングにこだわらず、髄内釘でもよいと割り切ると、スムーズに手術が進むと思います。






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大腿骨転子部骨折後偽関節の手術

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先日、大腿骨転子部骨折後偽関節の手術がありました。他院で大腿骨転子部骨折に対して髄内釘で骨接合術を施行されましたが偽関節化したため紹介を受けました。


小転子下に及ぶ粉砕した大腿骨転子部骨折で、ラグスクリューがカットアウトしています。まだ比較的新鮮例なので小転子・転子部とも全く骨癒合していません...。


う~ん、往生しそうな雰囲気満載です。この手の手術は、revision THA と primary THA の中間ぐらいの難易度と認識しています。


前回手術の皮切の一部を利用して髄内釘を抜去した後、慎重に股関節を展開しました。大腿骨近位部は、骨折の影響で正常な形態をほとんど留めていませんでした。


初回手術から1ヵ月しか経過していませんが、大腿骨周囲の瘢痕組織形成が高度でした。しかもやたらと出血します。骨膜下に瘢痕組織の切除を施行しました。


多量の瘢痕組織を切除すると何とか大腿骨近位部の形状を確認できました。ステム固定性の役に立たない粉砕した骨片は全て切除しました。想定通りですが巨大な骨欠損です。


大腿骨近位部の骨欠損が大きく骨脆弱性が高度なので充分なトライアルができません。したがって、大腿骨頚部前捻角を通常よりもやや大きめにつけてラスピングしました。


あと、飛び道具としてチェンジャブルネックを利用できるセメントステムを選択しました。これならかなりの前捻角および脚長の補正が可能です。


何とか、無事手術を終了しましたが、やはりこのような症例での人工骨頭置換術は難しいと思いました。もう一度、自らの備忘録として手術の際に気付いた点をまとめておきます。


  • 新鮮例では骨癒合していないので巨大な骨欠損となるが骨片は全て切除する
  • 新鮮例では大転子以外の偽関節部を術中にすべて切除する必要あるので恐れずにリウエルでどんどん切除する(術前の画像で検討必要)
  • 陳旧例では大腿骨近位部が硬化しており、リーミングのエントリーポイントの位置決めが難しい
  • 陳旧例では大腿骨髄内のネイル周囲硬化骨の外は脆弱なので容易に大腿骨を穿孔する
  • 大転子が偽関節もしくは術中骨折しても表層の軟部組織が保たれているなら温存する。
  • 大転子は梨状窩を覆うように内側に転位していることが多いので、髄腔延長線上にある部分は恐れずにリウエルで切除する。
  • 外傷後なので軟部組織の弾性が低下している
  • ステムはチェンジャブルネックを選択する方が無難
  • Surface Replacement の選択肢を残すためTHAにコンバージョンできる体制で臨む





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お手製のラジオルーセントスリーブ

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先日、上腕骨骨幹部骨折の手術がありました。
長斜骨折だったので、髄内釘を使用しました。


髄内釘の遠位スクリューはラジオルーセント・ドリルを使用する機種がほとんどだと思います。しかし、肘関節近位の屈側にドリリングする際には、上腕動脈や正中神経が心配です。


上腕骨まで展開することは容易ですが、ラジオルーセント・ドリルを使用する段階で、これらの神経血管束を巻き込んでしまい損傷する危険性があるからです。



キャプチャ - コピー



そこで登場するのが上記のお手製のラジオルーセント・スリーブです(笑)。単に1ccや2.5ccのシリンジを直剪で切断しただけのシロモノです。先輩医師に教えていただきました。


しかし、プラスチック製であるためX線透過性です。このスリーブがあれば、ラジオルーセントドリル使用中に、神経血管束を巻き込んでしまう危険性を大幅に軽減できます。


上腕髄内釘のように、気を遣う部位でのラジオルーセントドリルの使用の際には、簡単にできるお手製ラジオルーセント・スリーブの使用をお勧めします。





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上腕骨髄内釘で目から鱗の皮膚切開

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先日、上腕骨近位端骨折に対する髄内釘がありました。
新しく来た同僚医師の執刀ですが、普段私が行っているアプローチと少し異なりました。


私は肩峰外側からの皮膚切開ですが、同僚医師は肩峰前方の皮膚切開でした。皮膚切開の中心は肩峰前縁で、肩鎖関節前縁から肩峰外側1cmぐらいまでの皮膚切開です。


このアプローチによって、上腕骨頭の直上へ到達することが非常に容易になります。私は、2.4 K-wireを
肩峰外側から2本刺入して髄内釘のエントリーポイントを確保していました。


しかし、今回のアプローチでは肩関節を伸展位(ビーチチェアポジションなので上肢を下垂するだけ)にするだけでダイレクトに至適なエントリーポイントに到達できました。


上腕骨近位端骨折に対する髄内釘の最も重要なポイントは、至適なエントリーポイントだと思います。肩峰前縁の皮膚切開は、このポイントを非常に容易にクリアできました。


同じ大学医局に属しているとは言え、異なる環境で働いていた医師の手術は勉強になります。医師の世界でも異文化(笑)との交流が大事ですね。



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大腿骨転子下骨折のピットフォール

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昨日は、大腿骨転子下骨折に対する骨折観血的手術でした。
大腿骨転子下骨折は、不安定性が強いので髄内釘の良い適応です。


しかし、通常の大腿骨転子部骨折や大腿骨骨幹部骨折と異なり、下記のようないくつかのピットフォールがあるので注意を要します。


まず、髄内釘のエントリーポイントですが、通常よりも前方から刺入することを心掛けます。これは大腿骨が前弯してことに起因する jamming を防ぐためです。


大腿骨転子部骨折ではショートネイルのため、大腿骨骨幹部骨折では中央で骨折しているので、髄内釘を挿入する際にも大腿骨前弯は問題になりません。


しかし、大腿骨転子下骨折ではストレートに大腿骨前弯が髄内釘に影響を与えるので、エントリーポイントが重要となるのです。


もう一点は遠位の横裸子の刺入です。通常、ラジオ・ルーセントドリルでドリリングしますが、大腿骨顆部と異なり、イスムスに近い部位は高齢者であっても皮質骨がしっかりしています。


したがって、キリで取っ掛かりを作ることも一苦労で、大腿骨顆部に横裸子を挿入する安易な感覚でいると、少し苦労するかもしれません。



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