整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

高尿酸血症

痛風発作ではdouble contour signが有用!

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痛風なのかその他の炎症性疾患なのかの診断が難しいケースにときどき遭遇します。痛風発作の際には尿酸値が低下していることがあるため、尿酸値も参考にしかなりません。


そのような際にエコーを用いて関節内を観察すると、痛風か否かの診断が可能なことが多いです。痛風発作の際には、関節内に尿酸ナトリウム塩結晶が沈着します。


無エコー像の硝子軟骨の深層に軟骨下骨皮質が高エコー線状像として観察され、硝子軟骨表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶も高エコー線状像として観察されます。


硝子軟骨を挟んで深層に軟骨下骨皮質・表層に沈着した尿酸ナトリウム塩結晶がそれぞれ高エコー線状像を形成する所見をdouble contour signと言います(下図の矢印)。


double contour sign



( 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 瀬戸洋平先生の リウマチ科外来における関節超音波検査の有用性 から抜粋 )



double contour signは、尿酸ナトリウム塩結晶が沈着する痛風発作に特異的な所見です。そして、痛風の診断で有用なだけではなく、高尿酸血症の治療効果の判定にも有用です。


関節内の尿酸ナトリウム塩結晶は、血清尿酸値を6mg/dl以下に抑えることで徐々に消失します。血清尿酸値では結晶消失を直接確認できませんが、エコーを用いることで観察可能です。


経時的に関節内尿酸ナトリウム塩結晶沈着を示すdouble contour signを観察することにより、安定期における高尿酸血症の治療効果の判定にも有用なのです。



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高尿酸血症はCKDのリスク因子

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
高尿酸血症はCKDのリスク因子に です。




従来、高尿酸血症と高血圧,メタボリックシンドロームには密接な関連が観察されていたが、最近、慢性腎臓病(CKD)との関連が注目されつつある。


琉球大学の井関邦敏氏は疫学研究から、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つであり高尿酸血症の治療は生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨されることを報告した。


井関氏らは、血清尿酸値が高いほど腎機能の悪化や末期腎不全発症の割合が多いことを、またメタボリックシンドロームを有する者はCKD発症率が高いことが報告している。  


尿酸値の増加がeGFR低下の独立したリスク因子であった。これらの結果を基に同氏らはCKD診療ガイドライン2012の重症度分類を日本人用に改変してガイドラインを作成した。


高尿酸血症の治療は、痛風合併例では尿酸降下薬の使用量を腎機能に応じて減量して投与し、痛風非合併例は尿酸降下薬を使用する前にリスクとベネフィットを勘案する。


同氏は「CKDは心血管障害のリスクであり、高尿酸血症はCKDのリスク因子の1つである。痛風・高尿酸血症の治療には生活習慣の改善に加えて尿酸降下薬が推奨される。


新規高尿酸血症治療薬の登場により中等度の腎機能低下例でも腎機能の改善が期待できるようになったが、前向き介入研究が必要である」とまとめた。


                                 




先日、尿酸には酸化ストレスに対する保護作用があり、認知症を予防する効果が見込めるという報告がありましたが、今回は尿酸はCKDのリスク因子であり、尿酸=悪玉 という報告です。


暴飲暴食の生活習慣を送っている多くの高尿酸血症患者さんを外来で治療している身としては、高尿酸血症の治療は”臭い物に蓋をする”的な印象を抱いていました。


つまり、いくらこちらががんばって高尿酸血症の治療をして痛風発作を予防しても、暴飲暴食による肝機能障害や耐糖能低下は避けることはできないという半ば投げやりな心境です。


しかし、高尿酸血症の治療がCKDの予防につながるのなら、高尿酸血症の治療のやりがいも少し出てくるような気がします。



       
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 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





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痛風ではソフトドリンクも制限を!

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Medical Tribune 2014年3月6日号に興味深い記事がありました。
「ソフトドリンクは高尿酸血症の危険因子」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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高尿酸血症・痛風は日々の生活習慣が大きく関係する疾患で,特に飲酒や肥満が主な危険因子であることは広く知られている。近年,果糖の摂取と尿酸値上昇との関連性が指摘されている。聖路加国際病院クリニック予防医療センター管理栄養士の小倉祐紀子氏は「ソフトドリンクの摂取は高尿酸血症の危険因子である」と報告した。


果糖は肝臓の酵素(フルクトキナーゼ)によって代謝され,フルクトース-1-リン酸になるが,その際,ATPからリン酸を奪うためATPの分解が進み,その結果最終代謝産物として尿酸値が上昇する。一般にソフトドリンクに含まれる純粋な果汁は少ないが,果糖ブドウ糖液糖という異性化液糖(ブドウ糖の5割以上を果糖に変えたブドウ糖と果糖の混合液糖)として含まれている。  


例えば,ある果実色飲料500mLには果糖が32〜57.6g含まれており,一方果物ではりんご1個(250g)当たり20.2g,みかん1個(100g)当たり4.2gである。ソフトドリンクの摂取は,異性化液糖として大量の果糖を一気に摂取することとなり,尿酸値上昇につながると考えられる。  


小倉氏らは,同院の人間ドック受診者のうち,高血圧,脂質異常症,糖代謝異常,高尿酸血症・痛風の薬剤加療中の者を除く3万2,170人〔男性1万4,027人(平均年齢49.5±11.6歳),女性1万8,143人(同48.7±10.8歳)〕を対象として,血液生化学・尿検査値および生活習慣問診から得られた結果を基に,ソフトドリンク摂取量と尿酸値との関係について横断研究を行った。  


スポーツ飲料を含むジュース,果汁・野菜ジュース・炭酸飲料の合計を1日のソフトドリンク摂取量として計算した。ソフトドリンク摂取量と尿酸値の間には正の相関が認められ,重回帰分析では性(男性),年齢,体重,血清クレアチニン,尿pH,アルコール摂取量に加えソフトドリンク摂取量が尿酸値上昇に関わる独立した危険因子であることが示された。


同氏は「今回の研究から,果糖を含むソフトドリンクは高尿酸血症に関する独立した危険因子であることが示された」と結論付けた。

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外来で高尿酸血症の患者さんの治療を行う機会は非常に多いですが、現実的な食事療法の柱はカロリー制限および飲酒制限だと考えていました。


高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは「1日のプリン体摂取量が400mgを超えないように高プリン食を控える」とありますが、現実的には実行困難なことが多いからです。


しかし、カロリー制限および飲酒制限だけではなく、果糖を含むソフトドリンクも制限するべきであることは勉強になりました。明日からの外来で活用したいと思います。



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大腿四頭筋停止部の痛風発作

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今日の午前は外来でした。
2週間前から誘因なく膝前面の痛みが出現して、痛みが続くという40歳台男性が受診されました。


大腿四頭筋の膝蓋骨停止部に一致して軽度の腫脹・熱感・圧痛・発赤を認めました。単純X線像では石灰化等の異常所見を認めませんでした。


発症時に他院の整形外科を受診したところ、蜂窩織炎を疑われて抗生剤を3日分投与されたそうです。その時の採血結果を持参されており、WBC/CRP 11000/5.1mg/dlでした。


しかし興味深いことに尿酸値(UA)も高値で8.2mg/dlありました。念のため本日も採血して血液生化学データを確認するとWBC/CRP 8000/1.1mg/dlと軽快していましたがUA 9.3mg/dlでした。


経過や検査結果からは痛風発作である可能性が濃厚となりました。一般的には下肢の関節に発症するケースがほとんどですが、ときどき今回のように腱の骨停止部に発症することがあります。


私自身も大腿四頭筋の膝蓋骨停止部の痛風発作は初めて診ましたが、アキレス腱停止部の痛風発作があるくらいなので大腿四頭筋に起こっても不思議ではないと思います。


痛風といえども個人差が大きく、診断するだけでも難しいケースがあることを痛感しました。



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骨粗鬆症と高尿酸血症のガイドラインです。エビデンスに基づいた治療指針を学べます。


                                          

           骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン〈2011年版〉



                      

           高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

痛風発作時の血清尿酸値が正常の方の診断・治療をどうするか?

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昨日の夕方は、近くのクリニックで夜診をしていました。
ちょうど60歳台の男性が左母趾基部の痛みで受診されました。


身体所見から痛風発作の可能性が濃厚なのですが、血清尿酸値が6.0mg/dLしかありませんでした。この方は半年前にも同様の発作を発症しており、その際も7.0mg/dL未満だったようです。


このような発作時に血清尿酸値が正常範囲内の方は意外と散見します。高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版の治療のフローチャートを見ると、血清尿酸値が7.0mg/dL以上がスタートラインなので、入口の段階で薬物治療の適応外となってしまいます。


しかし、発作を繰り返すので何とかして欲しいとのことだったので、今回の炎症が鎮静化した時点で、再度血液生化学検査を施行することにしました。


痛風発作の最中には、サイトカインの影響で腎臓からの尿酸排泄が亢進していることがあります。つまり、普段は高尿酸血症なのに、痛風発作時のみ血清尿酸値が正常化するのです。


このような方は非発作時の血液生化学データを調べて、本当に高尿酸血症ではないのかを確認する必要があります。そして高尿酸血症なら迷わず治療開始となります。高尿酸血症の診断・治療も意外と奥が深いですね(笑)。




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