昨日は当直でした。平均台から転落して手をついた中学生が肘の痛みで来院しました。肘関節内側側副靭帯損傷(MCL損傷)だったのですが、体操選手なので本当に保存治療でよいのかを判断するために、MCL損傷のおさらいをしました。


肘関節脱臼や肘関節内側側副靭帯損傷(MCL損傷)は日常診療でよくみかける外傷です。

肘関節の解剖ですが内側側副靭帯は、前斜走靭帯(anterior oblique ligament; AOL)、後斜走靭帯(posterior oblique ligament; POL)、横走靭帯(transverse ligament; TL)、の三つの部分に分けられます。

 

 

AOL単独損傷である場合がほとんどで、治療は2週間のギプスシーネ固定の後、可動域訓練を開始します。一方、AOLに加えてPOLやTLも損傷している場合には肘関節の不安定性が増悪するので、靭帯修復術の適応となります。


尚、MCL損傷には肘関節脱臼の自然整復例が含まれていることがあります。この場合には、肘関節脱臼の治療に準じて治療を進める必要があります。

 

 

靭帯損傷の程度の鑑別は、下図のように外反ストレス撮影もしくはGravity testで行います。

 

肘ストレス撮影



Monthly Book Orthopaedics Vol.8 No.9 P32

広島大学の村上恒二先生の著書から引用



肘関節内側側副靭帯損傷と肘関節脱臼 その2 につづく