先日、またまた ARMD(adverse reaction to metal debris)が原因と思われるインプラント周囲の骨融解症例の人工股関節再置換術がありました。
ARMD は、メタル・オン・メタル人工股関節置換術(Metal-on-Metal THA, MoM THA)に併発する有害事象で、以前にこちらで術中所見を報告しています。
MoM THA では金属摩耗粉が発生しやすく、偽腫瘍や組織壊死などをきたします。 ARMD は金属摩耗粉が原因なので、黒い錆が股関節内に充満しているイメージです。
しかし、前回の症例では、股関節を展開すると関節内は黒い組織でいっぱいということはなく、むしろ淡黄色~白色の滑膜様組織に覆われていました。まるで雪原にいるようです。
たくさん ARMD による再置換術に立ち会っているメーカーの方も、ARMDでは錆色の組織ではなく淡黄色~白色の滑膜様組織が多いとおっしゃられているので得心しました。
ところが、今回の症例では黒い錆色の関節液が噴出して、関節内には黒い滑膜様組織が充満していました。ARMD のイメージ通りの金属摩耗粉による錆色の組織だったのです!
以前に見た淡黄色~白色の滑膜様組織がセンセーショナルだったので、むしろ錆色の方が驚きました。ちなみに ARMD による大腿骨近位の骨融解は高度でこちらも驚きました...