整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

CDS

Crowned dens syndrome を見た!

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Crowned dens syndrome(CDS)をご存知でしょうか? CDS は、頚椎歯突起周囲に発生した結晶性関節炎(偽痛風発作)です。


発熱、炎症反応の高値、頚部痛が主な症状なので、髄膜炎との鑑別診断が必要です。先日、90歳女性の CDS を経験しました。



1 - コピー




CT の冠状断では、上記のように軸椎歯突起後方に淡い石灰沈着をみとめました。なかなか派手な石灰沈着です。




2 - コピー



矢状断では歯突起を取り囲むように石灰沈着していることが分かります。血液生化学検査では炎症反応が亢進していますが、その割には全身状態が良くて重篤感はありませんでした。


項部硬直やケルニッヒ徴候は認めず、悪心・嘔吐もありません。環軸関節が炎症の主体なので、頚椎の回旋制限が強かったです。


高齢者に突然発症する後頚部痛は比較的多い印象です。CDS を疑っても比較的軽度な症状の場合には、わざわざ CTまで撮像しないことが多いです。


しかし、今回は頚椎回旋時痛が高度なので思い切って撮像してみました。トラムセットで様子をみていると、数日で症状が軽快しました。







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王冠をかぶった歯突起

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
"王冠をかぶった歯突起"を見逃すな  です。




Crowned dens syndrome(CDS)は軸椎歯突起周囲の環椎横靱帯にピロリン酸カルシウム(CPPD)などが沈着し,発熱,頸部痛を呈する結晶誘発性関節炎である。頸部CT所見において,軸椎歯突起を取り囲むような,冠状の石灰化沈着が認められることが名称の由来となっている。


市立豊中病院(大阪府)糖尿病センターの竹之下優氏は,第49回日本痛風・核酸代謝学会総会において,頸部痛を主訴に来院したCDSの症例を報告した。




別名は「頸部偽痛風」  


CPPDが関節軟骨や周囲組織に沈着し,関節炎,関節破壊を引き起こす疾患をCPPD結晶沈着症といい,CDSはその1つに位置付けられる。同症の症状は痛風と似ているため偽痛風と呼ばれるが,痛風が中年男性に多いのに対し,同症は高齢女性でよく見られる。


また,痛風発作は第一中足趾節や足関節に好発するが,同症では膝,肩,肘,手の関節,軸椎歯突起周囲環椎横靱帯など,さまざまな部位に痛みが起こる。副甲状腺機能亢進症が併存する例がある点も特徴的である。  


竹之下氏は,頸背部痛を主訴に受診し,CDSと診断した76歳女性の症例を紹介した。以前から,膝関節痛のため近所の整形外科に通っていたが,ある日突然,頸背部痛,呼吸困難感が発生。MRIで胸水貯留が疑われ,市立豊中病院に紹介入院した。


なお,患者は橋本病の既往があることや,プラバスタチン,アムロジピン,リマプロストアルファデクス,シメチジンなどを服用していることが確認された。  



初診時の体温は37.6℃と軽度上昇が認められ,疼痛のため頭頸部の回旋が困難な状態であった。また,白血球数(WBC)1万5,800/μL,C反応性蛋白(CRP)16.5mg/dLと,炎症マーカーの上昇が見られた。


頭頸部CT所見(図)で軸椎歯突起周囲の環椎横靱帯に石灰沈着像が認められたため,CDSと診断。コルヒチン0.5mg/日,ロキソプロフェン180mg/日の経口投与を開始したところ,翌日から解熱し,疼痛が改善。炎症マーカーも低下し,第7病日に軽快退院となった。 






図.CDS患者(76歳女性)の頭頸部CT所見 (竹之下優氏提供)  



「石灰沈着性肩関節周囲炎にシメチジンが著効したという日本の報告例があり(Reg Anesth Pain Med 2003; 28: 248-252),偽痛風発作予防薬への臨床応用の可能性が示されている。しかし,同患者はもともとシメチジンを内服していたにもかかわらず,発作を予防できなかった」と同氏は考察を加えた。 




まれな疾患ではない  


竹之下氏によると,2009〜15年の間,同院には上述の症例を含め12例のCDS患者が入院した。同氏らはCDSの臨床的特徴を明らかにするため,後方視的検討を行った。


平均年齢は82.6歳(男性2例,女性10例)で,全例に非ステロイド抗炎症薬が使用され,約半数にプレドニゾロンまたはコルヒチンが併用されていた。


12例中9例で初診時に発熱が認められたが,ほとんどが10日以内に解熱した。WBC最高値は全例が1万/μLを超え,CRP最高値も10mg/dL以上を示す例が半数以上を占めたことが分かった。  


同氏は「CDSは救急診療においてまれな疾患ではなく,高齢化に伴い増加している。同疾患を念頭に鑑別診断を行い,適切に治療することが重要」と結んだ。








Crowned dens syndrome(CDS)は、画像的にインパクトがあるので記憶に残りやすい疾患です。日常診療をしていると、高齢者の頚部痛患者さんにときどき遭遇します。


若年患者さんではいわゆる”寝違え”で片付けることが多いですが、高齢者ではむしろCDSなどのCPPD結晶沈着症を第一に考えるべきだと思います。


もちろん、髄膜炎などの除外診断は必須ですが、髄膜刺激症状の無い患者さんでは
CPPD結晶沈着症であることが多い印象です。


しかし、
CPPD結晶沈着症といっても症状がさほど高度で無い症例もあります。この場合、状況判断的にCPPD結晶沈着症を疑っても、頚椎CTまで施行するか否か迷うことが多いです。


周知のように
CPPD結晶沈着症は自然軽快するので、診断を確定するメリットがあまり無いからです。髄膜炎などの重篤な疾患は、診察の段階である程度除外できますから・・・


先日も
CPPD結晶沈着症を強く疑い70歳の患者さんが受診されましたが、CTを撮影しても治療に関係無いのならお金のかかる検査は止めて欲しいと言われました。もっともなことです。


今回発表されたのは内科医師なのでこってり検査・治療されていますが、我々整形外科医はある程度身体所見で判断できるので、どこまで検査するのかは迷うところですね。





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