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Ca

やはりサプリメントは無意味でしょ

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
Caサプリメントに骨折予防効果なし です。




食事やサプリメントでカルシウム(Ca)摂取量を増やしても骨折予防には結び付かず,骨密度の改善効果も期待できないことが,ニュージーランド・University of AucklandのMark J. Bolland氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)やコホート研究のシステマチックレビューと,メタ解析から明らかにされた(BMJ 2015;351:h4580, 351:h4183)。


骨折予防にはCaの摂取量を増やすことが有用だとしてサプリメントを使用する高齢者は多いが,同氏らは「摂取源が食事かサプリメントかにかかわらず,Ca摂取量を増やせば骨折を予防できるとのエビデンスは今のところない」と結論付けている。


高齢者の骨折予防にはCaの摂取量を増やすことが有効だとして,各国の複数のガイドライン(GL)でCa摂取量の推奨値が示されている。例えば,米国医学研究所(IOM)は51歳以上の女性に対して1日1,200mgのCa摂取を推奨。しかし,一般的な食事だけでは同量のCa摂取を満たすことは難しいため,欧米では高齢女性の30~50%がCaサプリメントを使用していると報告されている。 


Caサプリメントの使用をめぐっては,1992年にChapuyらが施設に入居する高齢女性を対象としたRCTでCaとビタミンDのサプリメントによりプラセボと比べ大腿骨近位部骨折リスクが43%低下したと報告(N Engl J Med 1992;327:1637-1642)し,注目された。


しかし2013年,米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は「地域在住の閉経後女性に対し,骨折予防を目的に1日400IU以上のビタミンDおよび1,000mg以上のCa摂取を推奨するにはエビデンス不十分」との勧告を公表(関連記事)。これに対し,米国骨代謝学会(ASBMR)が異議を唱えるなど(関連記事),専門家の間でも意見が分かれている。 


Bolland氏らは今回,2014年9月までの文献についてシステマチックレビューを実施。50歳超の男女を対象に,食事またはサプリメントからのCa摂取量を増やすことによる骨折リスクおよび骨密度への影響を検討したRCT(ビタミンD補充の併用を検討した試験を含む)のメタ解析を実施した。


まず,食事からのCa摂取による骨折リスクへの影響に関しては,Caの摂取源が「食事」「牛乳」「乳製品」のいずれにおいても,ほとんどの研究でCa摂取と骨折リスクに関連はなかった。 また,Caサプリメントの有用性に関しては,バイアスリスクが低い4件のRCTでは,いずれの部位についてもCaサプリメントによる有意な骨折リスクの低下は示されなかった。


なお,これらの結果はビタミンD併用の有無別の解析でも同様だった。 ただし,施設に入居するフレイルの高齢女性でCaとビタミンDのサプリメント併用により有意に骨折リスクが低下したとのRCTが1件あった。


Bolland氏らは,今回検討したRCTの中にはプラセボ群に比べCaサプリメント群で急性の消化器症状による入院や尿路結石などのリスクが高かったとする試験もあったと説明。また同氏らが以前,実施したRCTやメタ解析では,Caサプリメントによる骨折リスク予防の利益よりもサプリメント使用による心血管リスク上昇による害の方が大きかったことなどを指摘した上で,「骨折予防におけるCaサプリメント使用のベネフィットはわずかで,それを支持する結果も一貫しておらず,リスク/ベネフィットのプロファイルは好ましいものとは言えなさそうだ」と考察している。 


一方,食事あるいはサプリメントからのCa摂取による骨密度への影響についてBolland氏らが実施した 59件のRCTのメタ解析からは,Ca摂取によりわずかに骨密度が改善することが明らかになった。食事からの摂取では0.6~1.0%,サプリメント使用では0.7~1.8%の骨密度増加が示された。しかし,同氏らは「この程度の骨密度の増加では骨折予防には不十分」と結論付けている。 


スウェーデン・Uppsala UniversityのKarl Michaëlsson氏は,「Chapuyらが報告した試験結果の影響力は大きかったが,それ以降,同試験の対象となった施設に入居するCaやビタミンDの摂取量が少ない高齢女性以外の層にも広くCaやビタミンDのサプリメントが販売されるようになった」と指摘。


Ca摂取の推奨量に関しては,英国や北欧諸国のGLが推奨する700~800mg/日が適切ではないかとの見解を示している。その上で,「全ての高齢者に対し,一律にこれらのサプリメントを使用すべきではないとの説得力のあるエビデンスを踏まえると,今こそ議論の的になっている(Ca摂取量を1日1,200mgに増やすべきとの)推奨内容を見直す必要があるのではないか」と主張している。






整形外科医的には、「そりゃそうだろう」というシステマチックレビューの結果でした。単にCaを補給するだけで骨質が改善されて骨折が予防できれば苦労はしません。


それよりも、Caの過剰摂取によって尿路結石発症リスクや心血管リスクが上昇してしまうことの方が気になります。特にサプリメントによるCa大量摂取には注意が必要でしょう。


サプリメントは原材料がほとんどゼロに近いにも関わらず、高額な単価設定が可能なので製造・販売会社からすれば非常にボロい商売です。


何の効果も無いばかりか有害事象を併発すれば目もあてられません。しかし、強力な広告戦略の結果、世の中のほとんどの人が騙されているということが現実です。


かく言う私も、妻が親にサプリメントをプレゼントしているのを知って愕然とした記憶があります。まさか身内がお金をドブに捨てていたとは・・・。夫婦のコミュニケーション不足でしょうか(笑)。



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カルシウムサプリメントの高用量摂取が男性の心血管疾患死リスク上昇と関連

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Medical Tribune Vol.46, No.13で、Caサプリメントの高用量摂取が男性の心血管疾患死リスク上昇と関連 という記事がありました。

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カルシウムサプリメントの高用量摂取が男性の心血管疾患(CVD)死リスク上昇と関連するが、女性ではその関連は認められなかった
JAMA Internal medicine(2013; オンライン版)


・ 対象は1995-6年に6つの州と2つの大都市圏で行われた米国国立衛生研究所(NIH)のAARP食事と健康研究に参加した388229人(男性219059人、女性169170人、50~71歳)

・ サプリメント非使用者と比べて、1000mg/日を越えるCaサプリメントを摂取していた男性の心血管疾患死亡リスクと心疾患死リスクは有意に高かった。

・ 脳血管疾患死は有意ではなかった

・ 女性においてCaサプリメントの摂取は心血管疾患死、心疾患死、脳血管疾患死のいずれとも関連が認められなかった。

・ Caサプリメントの摂が心血管疾患の罹患率や死亡率に及ぼす潜在的なリスクやサプリメント摂取による便益を評価するために、更に多くの大規模研究が必要である

・ 当面は低脂肪の乳製品や豆類、緑黄色野菜といったCaを豊富に含む食品を摂取することが安全である


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多ければ、多いほど良いといった考え方はCaサプリメントに関する限り破綻しているようです。やはり、サプリメントに頼るよりも食品からの摂取を心掛けたいですね。




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