昨日のアルバイト夜診で、腱性マレットの方が受診されました。3週間前に他の医師にスプリントを処方されたのですが、予約日の都合が悪くなったため私の外来を受診したようです。


一応、スプリントは装着した状態で受診されましたが、よくよく御伺いすると一日のうち何回も着脱していました。そして、スプリントを外した時にDIP関節を動かしていたそうです・・・。


以前、腱性マレットの保存治療についてまとめましたが、これでは何のためにスプリントをしているのか分からないため、もう一度スプリントを装着する期間・目的・注意点を説明しました。


そして注意点に関しては、最初の8週間ほどは一度でもDIP関節を曲げると、その瞬間に腱が剥離するので、もう一度最初から固定期間がリセットされてしまうことを強調しました。


大学の手の外科医師とも話しをしたのですが、やはり腱性マレットに関してはシーネの着脱を患者さんに絶対にさせてはいけないとの結論に到達しました。


この理由は、患者さんだけでDIP関節を伸展位に保ったままシーネを着脱することは不可能だからです。少しでもDIP関節を屈曲すると腱が切れてしまい、一からやり直しとなります。


したがって外来受診の際、医師の監視下にDIP関節を伸展位に保ったまま、アルコール綿花等で患指を清拭するのが最も確実性が高くて理想的だと思います。


なかなかそこまで気が回らないですが、腱性マレットの保存治療ではシーネの着脱を患者さんに絶対にさせてはいけないということが最も大事なポイントだと思います。



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