急性期病院の多くはDPC対象病院だと思います。DPCは複雑な制度なので、大病院ではDPC専門の事務員が常駐しています。


しかし、中小規模の病院ではDPCを専門にしている事務員が居ないため、取り漏らしが多発している可能性が高いです。


例えば、人工関節をウリにしている専門病院の場合、ほとんどが股関節もしくは膝関節疾患を対象にしています。病名をつける際にICDコードしか入力できない場合は問題無いです。


しかし、フレキシブルな病名をつけることができる医療機関では注意が必要です。例えば両変形性股関節症などは私たちには一般的な病名です。


しかし、DPCにおいてはICDコードに当てはまらないため「詳細不明コード」に分類されてしまいます。正確には両側性形成不全性股関節症(M162)です。


単にICDコードに当てはまらないだけであれば実害はないのですが、病院全体として詳細不明コードが10%を超えると厄介なことが発生します。


医療機関別係数が 0.05も下げられてしまうのです。例えば、本来であれば1.1821であるものが詳細不明コードが10%を超えると、1.1321になってしまいます。


病院全体の医業収益に直接掛ける係数なので、0.05下がるだけで膨大な収入減少につながります。数千万円の減収など当たり前の世界なのです。


私たち臨床医にとっては
両側性形成不全性股関節症ときいても「はぁ~?」という感じですが、お国が決めた医療制度ではコチラの方が正解かつ正義なのです。


非常にバカげた話ではありますが、長い物には巻かれろです。心を無にして、このバカバカしい病名を受け入れようではありませんか!







★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。