整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

FAI

変股症の原因についてのトリビア

このエントリーをはてなブックマークに追加


変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイント-病態-を読んでいて気付きがあったのでシェアさせていただきます。


日本人的な感覚では、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が挙げられます。日本の二次性股関節症の80%以上は、寛骨臼形成不全に続発するものです。


しかし、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が多いというのは、日本を含めた東アジアに限局した特徴でもあります。


欧米を中心とした海外からの報告では、寛骨臼形成不全よりも大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に関連したものの方が多いそうです。


つまり、変形性股関節症の原因となる骨形態異常は、欧米においては FAI がメインということになります。


ご存知のように、FAI はインピンジメントが病態なので、寛骨臼形成不全による不安定性とは対極的な病態とも言えます。


少なくとも日本では寛骨臼形成不全による不安定性が変形性股関節症の原因ですが、欧米では FAI によるインピンジメントが原因となっているのです。


グローバルな視点で見ると変形性股関節症の原因 ≠ 寛骨臼形成不全である地域もある。。。今回の変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイントでのトリビアでした。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




大腿臼蓋インピンジメントの診断

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、20歳台後半の男性が、半年前から続く右股関節屈曲時の引っかかり感と違和感を主訴に初診されました。このような症例では、どのような疾患を想定するべきでしょうか?



T2WI - コピー



まず、T2WIの両股関節前額断像です。右大腿骨頚部前方に骨嚢胞形成を疑います。冠状断では、右大腿骨頚部前方の骨嚢胞形成ははっきり分かりませんでした。




STIR  coronal - コピー



次に、STIRの両股関節前額断像です。右大腿骨頚部前方に骨嚢胞を形成していることが、よりはっきりと分かります。ここまでくれば、主訴と併せてFAIであることが分かります。


FAIとはFemoroacetabular impingement の略で、日本語では大腿臼蓋インピンジメントと訳されています。FAIには下記の3つのタイプがあります。

  1.  cam type 
  2.  pincer type 
  3.  combined type(①と②を併せ持つタイプ)



①のcam typeは大腿骨頚部の形態異常で、ペルテス病や大腿骨頭辷り症の後遺症として発症するケースが多いです。


一方、②のpincer type は寛骨臼の前方開角不足が原因です。特に若年男性では寛骨臼の前方開角が小さい傾向にあるので、pincer type のFAIには注意が必要です。




T2WI axial - コピー



今回の症例では、上図のように寛骨臼前方開角がほぼゼロでした。このため、大腿骨頚部前方病変を認めるものの(=cam type)、pincer typeの要素もあり、③のcombined typeとなります。


この患者さんはアスリートではなく、症状は軽度の違和感のみなので、しばらく経過観察としました。尚、治療に関しては、こちらで紹介されているように鏡視下手術となります。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術

このエントリーをはてなブックマークに追加

昨日は、朝一番から日整会に参加していました。お目当てのセッションは、産業医大の内田宗志先生の「Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術」です。


内田先生は当ブログと
相互リンクをいただいています。いつもながら素晴らしい講演でした。下記に要点をまとめます。ちなみにFemoroacetabular impingement(以下、FAI)とは、Ganzが股関節痛を引き起こす病態として報告して以来、股関節鏡視下手術の技術が飛躍的に進歩しています。


・ FAIは、大腿骨骨頭から頚部オフセットの骨形態異常からインピンジメントを引き起こすCAM impingement、寛骨臼蓋の骨棘や形態異常によるPincer Impingementからなり、両者が合併していることが約86%と報告されている


・ 両者がインピンジすることにより、関節唇損傷を来たし、次第に軟骨損傷を惹起する


・ 保存療法に3ヶ月以上抵抗する場合、早期にスポーツ復帰を希望する患者には、股関節鏡視下手術の適応となる


・ 股関節鏡は以下のずべてを満たす場合に適応となる
  ① 単純X線像でFAIが疑われる 
  ② 3ヶ月以上の保存療法でも効果がない 
  ③ 関節造影MRで関節唇損傷が疑われる 
  ④ 患者の希望


・ 手術は、寛骨臼側のRIM Trimmingもしくは 関節唇縫合+大腿骨側のCAM osteochondroplastyを組み合わせる手術を行うことが多い


・ 新しい試みとして臼蓋形成不全のFAIに対応するため、タナ形成術の併用も行っている


タナ形成術は直視下で施行しても骨片の挿入角度や溝作成が難しいですが、あれだけの小皮切で施行されているのはすごいなと感じました。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

       
       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)



アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
ビジネスパートナー募集中
産婦人科
株式会社リコー様のインタビュー記事


管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

・医学博士
・整形外科専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。