整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

FAI

変股症の原因についてのトリビア

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変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイント-病態-を読んでいて気付きがあったのでシェアさせていただきます。


日本人的な感覚では、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が挙げられます。日本の二次性股関節症の80%以上は、寛骨臼形成不全に続発するものです。


しかし、変形性股関節症の原因として寛骨臼形成不全が多いというのは、日本を含めた東アジアに限局した特徴でもあります。


欧米を中心とした海外からの報告では、寛骨臼形成不全よりも大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に関連したものの方が多いそうです。


つまり、変形性股関節症の原因となる骨形態異常は、欧米においては FAI がメインということになります。


ご存知のように、FAI はインピンジメントが病態なので、寛骨臼形成不全による不安定性とは対極的な病態とも言えます。


少なくとも日本では寛骨臼形成不全による不安定性が変形性股関節症の原因ですが、欧米では FAI によるインピンジメントが原因となっているのです。


グローバルな視点で見ると変形性股関節症の原因 ≠ 寛骨臼形成不全である地域もある。。。今回の変形性股関節症診療ガイドラインの改訂ポイントでのトリビアでした。






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大腿臼蓋インピンジメントの診断

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先日、20歳台後半の男性が、半年前から続く右股関節屈曲時の引っかかり感と違和感を主訴に初診されました。このような症例では、どのような疾患を想定するべきでしょうか?



T2WI - コピー



まず、T2WIの両股関節前額断像です。右大腿骨頚部前方に骨嚢胞形成を疑います。冠状断では、右大腿骨頚部前方の骨嚢胞形成ははっきり分かりませんでした。




STIR  coronal - コピー



次に、STIRの両股関節前額断像です。右大腿骨頚部前方に骨嚢胞を形成していることが、よりはっきりと分かります。ここまでくれば、主訴と併せてFAIであることが分かります。


FAIとはFemoroacetabular impingement の略で、日本語では大腿臼蓋インピンジメントと訳されています。FAIには下記の3つのタイプがあります。

  1.  cam type 
  2.  pincer type 
  3.  combined type(①と②を併せ持つタイプ)



①のcam typeは大腿骨頚部の形態異常で、ペルテス病や大腿骨頭辷り症の後遺症として発症するケースが多いです。


一方、②のpincer type は寛骨臼の前方開角不足が原因です。特に若年男性では寛骨臼の前方開角が小さい傾向にあるので、pincer type のFAIには注意が必要です。




T2WI axial - コピー



今回の症例では、上図のように寛骨臼前方開角がほぼゼロでした。このため、大腿骨頚部前方病変を認めるものの(=cam type)、pincer typeの要素もあり、③のcombined typeとなります。


この患者さんはアスリートではなく、症状は軽度の違和感のみなので、しばらく経過観察としました。尚、治療に関しては、こちらで紹介されているように鏡視下手術となります。






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Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術

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昨日は、朝一番から日整会に参加していました。お目当てのセッションは、産業医大の内田宗志先生の「Femoroacetabular impingementおよび臼蓋形成不全に対する股関節鏡視下手術」です。


内田先生は当ブログと
相互リンクをいただいています。いつもながら素晴らしい講演でした。下記に要点をまとめます。ちなみにFemoroacetabular impingement(以下、FAI)とは、Ganzが股関節痛を引き起こす病態として報告して以来、股関節鏡視下手術の技術が飛躍的に進歩しています。


・ FAIは、大腿骨骨頭から頚部オフセットの骨形態異常からインピンジメントを引き起こすCAM impingement、寛骨臼蓋の骨棘や形態異常によるPincer Impingementからなり、両者が合併していることが約86%と報告されている


・ 両者がインピンジすることにより、関節唇損傷を来たし、次第に軟骨損傷を惹起する


・ 保存療法に3ヶ月以上抵抗する場合、早期にスポーツ復帰を希望する患者には、股関節鏡視下手術の適応となる


・ 股関節鏡は以下のずべてを満たす場合に適応となる
  ① 単純X線像でFAIが疑われる 
  ② 3ヶ月以上の保存療法でも効果がない 
  ③ 関節造影MRで関節唇損傷が疑われる 
  ④ 患者の希望


・ 手術は、寛骨臼側のRIM Trimmingもしくは 関節唇縫合+大腿骨側のCAM osteochondroplastyを組み合わせる手術を行うことが多い


・ 新しい試みとして臼蓋形成不全のFAIに対応するため、タナ形成術の併用も行っている


タナ形成術は直視下で施行しても骨片の挿入角度や溝作成が難しいですが、あれだけの小皮切で施行されているのはすごいなと感じました。



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       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)



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