先日、高所から飛び降りてから膝が痛いという小学生の診察を行いました。
診察すると大腿骨内顆部に軽度の腫脹およびかなりの圧痛を認めます。
関節内血腫は無さそうで、単純X線像でも明らかな骨折を認めません。一応、MRIを施行することにしましたが、総合的に考えると膝関節内側側副靭帯損傷(MCL損傷)だと思います。
MRI撮像予定まで1週間近くあったので、とりあえず外固定を施行することになりました。
MCL損傷単独損傷では膝関節軽度屈曲位として大腿部から下腿遠位までのシーネ固定で十分です。
しかし、実臨床において下肢シーネをしっかりと作成することは意外と難しいです。
大腿部をしっかり固定するためにはそれなりの幅のあるシーネを作成する必要があるからです。
成人の大腿部を十分に被覆できる幅の既製品のシーネが無いことはもちろん、少し大きめの小学生であっても既製品のシーネでは充分に固定できないケースが多いです。
理想を言えば大腿周径の半分の幅のシーネが必要です。しかし、最も大型のシーネでも成人の大腿周径の1/3程度しか幅がありません。
このような場合、面倒なのですが私は下肢ギプスを巻くようにしています。一旦ギプスを巻いてから、その場でギプスをカットしてシャーレにします。
こうすることで成人の大腿であっても周径の半分の幅を確保できるため、十分な固定性のある下肢シーネを作成することが可能となります。
コストはギプスもシーネも同じ点数なので、患者さんの医療費負担は変わりません。私の手間は増えますが、既製品による中途半端な下肢シーネよりも数段治療効果が期待できます。
今回は、小学生なのでぎりぎり既製品のシーネでも対応可能でしたが、未成年の膝はできるだけしっかり治してあげたいという思いで、面倒ですがギプスをカットしたシャーレを作成しました。
ちょっとギプスを巻いてから切るのは少し面倒なのですが、将来有望(?)な未成年には可能なかぎり本格的な膝関節固定を心掛けたいものです。