整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

MRI

STIRで腸脛靭帯炎を可視できた!

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3月から、ランニング時の右膝外側部痛が主訴の40歳台前半の男性を経過観察しています。
初診時の身体所見から腸脛靭帯炎と判断して経過観察していました。


しかし、しばらく安静にしても症状が軽快しないため、患者さんの希望にしたがって右膝関節のMRIを施行することにしました。



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上記の画像は、この患者さんのMRIです。コントラストがはっきりし過ぎて分かりにくいですが、外側の腸脛靭帯の大腿骨外顆部直下にSTIRで高信号領域を認めます。


矢状断でみると膝関節内に関節液の貯留はほとんどないので、腸脛靭帯の大腿骨外顆部直下の高信号領域は腸脛靭帯炎の所見と矛盾しません。


今まで、腸脛靭帯炎に対してMRIを施行したことは無かったのですが、STIRのように炎症に対して感度の良い撮像法では僅かな炎症であっても鋭敏に検出できるようです。


もちろん、医療費の問題から腸脛靭帯炎の全例にMRIを施行するなどもってのほかですが、診断に困ることが万が一にもあるようであれば、MRI(特にSTIR)は有用かもしれません。






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意外と有用! 化膿性屈筋腱炎のMRI

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先日、化膿性屈筋腱炎の手術がありました。
術前MRIで感染範囲を評価すると下記のごとくでした。


AP - コピー


MP関節を中心にして中指屈筋腱周囲が高輝度領域となっています。この画像を見る限りでは、MP関節を中心した皮膚切開で対応可能な印象です。


しかし、化膿性屈筋腱炎では屈筋腱に沿って感染が波及しやすいため、化膿性関節炎と違ってMRIでの所見をあまり信用していませんでした。


実際の術中所見では、術前MRIにほぼ合致する範囲での感染に収まっていました。意外と化膿性屈筋腱炎でも、化膿性関節炎と同様に術前MRIが切除範囲の決定に有用そうです。


提示していないですが、腱の走行に沿った矢状断の画像も感染範囲の評価に有用でした。腱の走行に沿った撮像は放射線技師さんの技量に左右されますが試みる価値はあると思います。



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重症例以外は特殊対応しない

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先日の外来での出来事です。
私は、
MRIの当日説明は見逃しの温床だと思っているので可能なかぎり避けています。


患者さんには「放射線科とのダブルチェックによって見逃しの確率を下げることができるので、撮像当日はMRIの結果を説明せず、後日に結果説明させてもらいます」と説明しています。


ほとんどの患者さんは理解してくれるのですが、ときどきどうしても同じ日に説明して欲しいという方が居ます。骨折などでやむを得ない場合はある程度仕方無いと思います。


しかし、その日の方は80歳台の方で時間は有り余るほど有るのですが、どういうわけか検査の日時を勝手に再診予約の当日の朝一番に変更して、MRIの当日説明を求めてきました。


マイルドな腰部脊柱管狭窄症なので緊急性はありません。患者さんの強引さに辟易した私は、放射線科医師の読影ができていないので、MRIの結果説明はできないことを再度説明しました。


患者さんはやや不満そうでしたが、「軽い脊柱管狭窄症なので、このまま様子を見ましょう」と言って帰した場合、私がMRIの見落をしたとしていたとしてもチェック機構が働きません。


私にとって後腹膜腔はブラックボックスなので、脊椎だけ診ればよいというわけではありません。もちろん、患者さんの読影結果を後日に確認すればよいのでは? という意見もあります。


しかし、優先度の低い症例で特殊対応を始めると収集がつかなくなります。私は重症度の高い方以外は、仕組み化してルーチンワークにしておく方が医療ミスが減ると考えています。


このあたりは、さまざまな意見があると思いますが、患者さんの安全を第一に考えるのなら、多少診察回数が増えてもダブルチェック機能を利かした方がより望ましいと考えます。



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腰椎の手術―ベーシックからアドバンストまで必須テクニック (OS NOW Instruction)



石灰沈着性頸長筋腱炎では造影CTも

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先日、開業医のアルバイト先で夜診をしていた際に30歳台後半の方が受診されました。
この方は、昨日からの急激な後頚部痛を主訴に、当日の午前に外来受診されていました。


午前中はクリニックの院長先生が診察されたようですが、あまりに急激かつ症状が激烈なので緊急の頚椎MRIを外注されました。その結果説明で再診されたのです。


午前中のCRP/WBCは0.8/7000程度で、発熱はありませんでした。頚椎MRIでは脂肪抑制画像で
C2~4の頚椎椎体前方に高輝度領域認めました。


単純X線像では明らかな石灰化を認めませんでしたが、熱発が無いことやCRP,WBCなどの炎症反応の上昇が軽度であることから急性石灰沈着性頸長筋腱炎と診断しました。


急性石灰沈着性頸長筋腱炎の鑑別診断には咽後膿瘍があります。咽後膿瘍は緊急性のある疾患で、放置すると気道閉鎖を併発することがあります。


この方に嚥下障害や嚥下時痛はなく、呼吸状態も正常でした。後で調べてみると、急性石灰沈着性頸長筋腱炎と咽後膿瘍の鑑別診断には造影CTが必要だそうです。


咽後膿瘍では、椎体前面の低吸収域の周囲に明瞭な造影効果を認めます。基本的には造影CTの画像診断で、咽後膿瘍に対するドレナージの適応を判断します。


今回、初めて急性石灰沈着性頸長筋腱炎を診ましたが、疼痛の訴えが半端ではありませんでした。一度診たら忘れられませんが、次は咽後膿瘍との鑑別診断もしっかり診たいと思います。



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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科



                        

骨髄炎範囲の把握はMRIが有効

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
骨髄炎が疑われる糖尿病にはMRIが有用」です。




北播磨総合医療センター形成外科の藤井美樹氏は,骨髄炎診断にはMRIが有用との知見を,第44回日本創傷治癒学会で報告した。


神経障害と感染症が主病因の場合,局在まで予測可能なケースも多いという。 糖尿病性足潰瘍にとって骨髄炎は,下肢切断率や抗生剤の投与期間に関わる重要な因子となる。


また,外科的治療,保存的治療のいずれで対処するにしても,壊死や感染組織などの範囲は大切な情報となるため,骨髄炎は有無だけでなく,局在の把握が求められている。  


現状では骨髄炎が疑われる糖尿病患者に対しては単純X線を行い,確認できないときにMRIを撮影することが推奨されている。


しかし、藤井氏は「X線は感染により破壊された骨を見ることしかできず,どこまで感染しているかを見ることができない」と指摘した。  


一方,MRIではT1強調像が高信号/脂肪抑制T2強調像が低信号ならば正常骨髄,
反対にT1強調像が低信号/脂肪抑制T2強調像が高信号ならば骨髄炎,
両画像がはっきりしない部分を骨髄浮腫と診断することができる。


同氏らは,術前のMRI診断と骨の病理標本の比較が可能だった糖尿病性足潰瘍28例(39趾,149骨)を神戸分類に基づき4つの病態に分類し(タイプⅠ神経障害性潰瘍,同Ⅱ重症下肢虚血,同Ⅲ感染症,同Ⅳ虚血+感染合併例),病態ごとのMRIの有用性を見た。  


その結果,虚血が関与しないタイプⅠとⅢは軟部組織感染症を含めて全55骨で術前MRIと病理所見が局在まで一致していた一方で,虚血メインのタイプⅡの症例では血行再建前後のMRIともに全例の診断ができなかった。


同氏は「虚血のみのタイプⅡはMRI撮影の意味は少ないが,タイプⅠおよびⅢは術前のMRIで骨髄炎の局在まで診断が可能であり,診断結果に基づいて軟部組織感染を制御しながら治療を行うことができる」と述べた。





整形外科医にとっては何となく常識的な気がするのですが、改めて指摘されると確かに骨髄炎症例の感染範囲の把握にはMRIが有効です。


ただし、足部の糖尿病性壊疽に関しては局所を掻破するというよりも、現実的には「どの高位で切断するか」が問題となってきます。


そして、解剖学的な特徴から、切断高位は ① 足趾切断 ② 前側部切断 ③ 下腿切断 ④ 大腿切断 のいずれかになると思います。


したがって足部の壊疽でMRIを撮像する臨床的意味はあまり高くないと思われます。しかし、形成外科では血行再建も治療の選択枝となるため、このような発想が出てきたのだと思います。


私は、足部糖尿病性壊疽でMRIを施行するつもりは無いですが、脛骨骨髄炎などでは掻破範囲の把握にMRIは有用だと考えています。過剰医療にならない範囲でMRIを利用しようと思います。




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