整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

PTH

圧迫骨折の偽関節化予防にPTH投与

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高齢者の脊椎圧迫骨折で骨粗鬆症の強い症例では、ときどき初診時から圧潰した椎体内にintravertebral vacuum phenomenonを認めることがあります。


この所見をみとめると高率に椎体骨折は偽関節化します。このような症例では早期からかなり厳密な安静と仰臥位禁止を指示しますが、残念ながら偽関節化する症例が後を絶ちません。


偽関節化すると慢性疼痛や遅発性麻痺の原因となるので、何とか偽関節化を阻止したいです。最近、このような症例に受傷早期からPTH製剤(フォルテオ)を投与してみました。


すると、intravertebral vacuum phenomenonは椎体前方にのみ部分的に残存するものの、椎体中央から後方にかけてはしっかり骨癒合する症例を何名か経験しました!


今のところ、完全に偽関節化する症例は幸い経験していません。私の肌感覚では受傷早期からのPTH製剤投与は脊椎圧迫骨折の偽関節化の予防に役立っていると思います。


PTH製剤に関してはTHA後のステム周囲骨折でもかなりの効果を発揮してくれました。高価な薬剤なので乱用はいけませんが、難しい症例では心強い味方になってくれる存在だと思います。


私の場合、初診時~受傷後1ヵ月以内に椎体内にintravertebral vacuum phenomenonを認めた症例では、骨癒合するまでの間は3ヶ月程度を目安にしてPTH製剤を投与します。


椎体の骨癒合が完成すれば基本的にはPTH製剤の投与は不要ですが、そのまま2年間の投与を継続する方も多いです。


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 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



人工関節置換術後周囲骨折の治療

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先日、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の方が入院されました。
最近では骨粗鬆症人口の増加のため、治療にあたる機会が増えていると思います。


今回の方は、他院での再置換術後15年の方です。大転子が偽関節になっていることに加えて、大腿骨近位のbone stockが極端に少なく極めて骨質が不良でした。


人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の分類はバンクーバー分類(The Vancouver Classification for Periprosthetic Fractures)が有名です。


バンクーバー分類

  ・ type A  転子部
  ・ type B1 ステム周囲 人工関節が安定
  ・ type B2 ステム周囲 人工関節が不安定            
  ・ type B3 ステム周囲 骨質が不良で骨片が粉砕している
  ・ type C  ステムよりも遠位



今回はバンクーバー分類 type B1でした。側面像でようやく骨折を確認できる程度であったこと、骨質が極めて不良であったこと、および80歳台後半だったことから保存治療を選択しました。


治療は、① 股関節外転装具(30度に固定) ② PTH投与 ③ 電気刺激 の3本立てです。何とか保存治療で治癒してくれることを祈りたいと思います。



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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


                 
         
                       股関節学



PTH製剤→BP製剤の方が骨質改善効果が高いそうです

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先日、東京大学整形外科 川口准教授の骨粗鬆症治療薬選択に関する講演を拝聴してきました。海外の骨粗鬆症関係の文献のレビューが講演の題材となっています。川口先生の視点から、骨粗鬆症治療のアルゴリズムを提示されていました。


実は1年ほど前に私の義母(70歳台前半)が第1腰椎圧迫骨折を受傷しました。受傷機転は重量物を持つという軽微な外傷でした。脆弱性骨折であり問答無用で薬物治療開始の適応となります。


椎体骨折の既往が無く、今回が初めての骨折でした。椎体骨折の場合には、最初の骨折をいかに脊椎アライメントを整えて治療するかが再発を防止する上で重要なポイントになります。


費用負担を考えないのであれば、フォルテオのようなPTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後ビスフォスフォ製剤(BP製剤)で改善した骨質を維持するという治療戦略がベストであると考えています。


ただ、明白なエビデンスを持っていなかったので、「常識的に考えたらこれが現時点でベスト」と言って治療するよう仕向けていました。しかし、川口先生はBP製剤→PTH製剤よりも、PTH製剤→BP製剤の方が骨質改善効果が高いというデータを示されました。


エビデンスとしても、PTH製剤で最初の2年間で骨質の改善をはかり、その後BP製剤で改善した骨質を維持するという治療戦略が有効であるというデータを見て安心しました。




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骨粗鬆症と高尿酸血症のガイドラインです。エビデンスに基づいた治療指針を学べます。


                                          

           骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン〈2011年版〉



                      

           高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

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