先日、外来で右胸鎖関節腫脹の患者さんが受診しました。単純X線やCTでは右胸鎖関節症(SAPHO症候群)のようでした。


もちろん、これ自体は特に珍しいわけではありません。しかし、だからと言って安易に考えるのは禁物だと思っています。


なぜなら、つい先日診察した患者さんは乳がんの骨転移だったからです。この患者さんも右胸鎖関節の腫脹を主訴に受診されました。特筆すべきはそこそこの疼痛もあったことです。


単純X線では鎖骨近位の一部に骨融解像を疑う所見がありました。驚いてCTを施行したところ、比較的境界明瞭ではあるものの背側皮質の一部が欠損している所見がありました。


MRIでも転移性骨腫瘍疑いです。乳がんの既往があったため外科に紹介したところ、やはり乳がんの骨転移とのことでした。


単なる胸鎖関節症だと思っていたら痛い目に会うところでした。臨床には本当にさまざまな落とし穴があります。気を付けなければ、、、と改めて思いました。






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