先週にも足関節脱臼骨折(SE stage 4)の手術がありました。
以前にブログで書いたように、SE stage 4では後果骨片は整復することが比較的難しいです。
徒手的に踵部~足部を引っ張っても整復されないようなら、外果を展開するのも一法です。また、内果骨片を整復する必要がある場合には、私は後下方凸の皮膚切開で展開しています。
通常、内側もしくは外側のどちらかで後果周囲を剥離すれば後果骨片を整復することが可能になります。今回は内果骨片を整復ついでに内側から展開して後果骨片周囲を剥離しました。
しかし、後果骨片の整復状況が80点ぐらいの出来だと思ったので、外側からも後果骨片周囲を剥離しました。つまり内外側の両方から後果骨片周囲を剥離したのです。
この結果、後果骨片の整復は更に容易になったのですが、足関節の不安定性が出現しました。具体的にはちょっと前方引き出しするだけで距骨が容易に前方脱臼するようになったのです。
このため、足関節に後方引き出しストレスをかけて整復位を保ちながら、後果骨片を前方からスクリューで固定するという少し手のかかる手技が必要になりました。
関節適合性の出来栄えとしては90点ぐらいになったのですが、軟部組織への侵襲を考えると内側もしくは外側の片方のみから後果骨片周囲を剥離する方が良いのでは? と感じました。
もちろん、内側もしくは外側の片方からの後果骨片周囲の剥離のみで充分な整復位を得ることができなければ両側から後果骨片周囲を展開するべきでしょう。
しかし、80点ぐらいの整復位なら、侵襲の大きさを考えて内側もしくは外側の片方だけの剥離に留めておくのもひとつの考え方ではないでしょうか。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。
AO法骨折治療