敗血症を来たす重症感染症では抗生剤の選択や投与方法が最も重要なポイントとなります。整形外科領域では人工関節置換術後感染や化膿性脊椎炎などが該当します。


最もよく使用される抗生剤はセフェム系抗生剤などのβラクタム系抗生剤ですが、重症感染症や混合感染症ではセフェム系抗生剤のみでは治療が難しいケースも散見されます。


そのような時、アミノグリコシド系抗生剤と併用すると相乗効果を期待できます。アミノグリコシド系抗生剤はタンパク合成阻害薬で、濃度依存性に効果を発揮するのでTDMが望ましいです。


アミノグリコシド系はβラクタム系などの細胞壁作用型抗生剤との相乗効果を期待できますが、投与順序が重要で① アミノグリコシド系抗生剤 ② βラクタム系抗生剤 の投与順となります。


例)
 ① トブラシン(TOB) 240mg + 生食100ml  30分でdiv
 
  2時間後に
 
 ② パンスポリン(CTM) 1g + 生食100ml  1時間でdiv


尚、アミノグリコシド系とβラクタム系を混ぜると配合変化を起こして活性が低下するため、βラクタム系抗生剤を投与開始するまで2時間程度開けることが望ましいです。



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 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる