整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

THA: 確実にカップを固定する方法

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人工股関節全置換術(THA)のハイライトはカップ設置ではないでしょうか。特に臼蓋形成不全の強い症例では、カップ設置がワンチャンスな時もあるため緊張する瞬間です。


さて、絶対に外せないカップ設置において、確実にカップを臼蓋に固定するためにはいくつかのコツがあると思います。


そのうちのひとつはスクリュー挿入です。最初のスクリューを挿入する際に、術者的には
ドリリングしている間にカップが動いてしまうことを危惧します。



「確実」「迅速」にスクリューを挿入するために、私は下記の工夫をしています。

  1. フレキシブルではなくストレートドリルでドリリングする
  2. ドリリングする部位は前上方の穴
  3. スクリューは最短のものを決め打ちする

①ですが、フレキシブルドリルでは力が伝わりにくいため時間がかかります。一方、ストレートドリルでは、力がダイレクトに伝わるので一瞬でドリリングが完了します。


②③ですが、後外側アプローチでは最もドリリングしやすいのは前上方の穴です。しかし、前上方は、内板を貫通するとやや危険な部位です。


このため、内板を貫通する確率が最も低い最短のスクリューで決め打ちします。1本目は仮固定が目的なので、最短のスクリューでも問題ありません。


このようにして、最短時間で「確実」「迅速」にスクリューを前上方に挿入してカップを仮固定することで、落ち着いて残りのスクリューを挿入することが可能となります。








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TKAはTHAよりも減少している?!

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新型コロナウイルス感染症による受診抑制は、まだまだ続いています。整形外科分野では、不要不急と思われる人工関節手術や麻痺以外の脊椎手術で顕著です。


日赤、医療センター、市立・都道府県立病院といった公的基幹病院であっても、これらの予定手術が減少しているため患者数減少に苦しむ医療機関が多いです。


このため、これまであまり対応してこなかった大腿骨近位部骨折等の外傷まで積極的に扱っているようです。そのしわ寄せは、周辺の場末病院にまで及びます。


そんな中、同じ人工関節でも膝関節と股関節では減少具合が異なるようです。具体的にはTHAの減少は軽微であるものの、TKAの減少が大きい施設が多いです。


理由は定かではありませんが、膝関節は装具などで何とか我慢できる人が多いことが要因かもしれません。股関節では装具といっても杖ぐらいしかありませんから...。


膝関節と股関節では、日常生活の不便さの度合いが異なるのでしょう。このため、膝関節外科医は、股関節外科医と比較して苦戦している人が多いことが予想されます。


このような状況を観察していると、今回のコロナ禍は医療業界の状況も大きく変化させるのかもしれません。関節外科医も将来のことを考えなければいけませんね...。





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術後の弾性ストッキングは意味が無い?!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
術後の血栓予防に弾性ストッキングは不要か です。



英・Imperial College LondonのJoseph Shalhoub氏らは、待機的手術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防策として抗血栓薬に弾性ストッキング装着を併用することのベネフィットを検討。その結果、抗血栓薬単独による予防が弾性ストッキング併用に対して非劣性であることをBMJ(2020; 369: m1309)に報告した。待機的手術を受ける患者のほとんどで術後血栓予防目的の弾性ストッキングは不要である可能性が示唆された。



本研究では、低分子ヘパリン(
LMWH)のみ投与群:LMWH+弾性ストッキング併用群=1:1として、弾性ストッキング併用に対するLMWH単独の非劣性を検証しています。



この研究の結果、LMWH単独は弾性ストッキング併用に対して非劣性であることが確認されました。つまり、弾性ストッキングを併用してもしなくても結果は同じだったようです。


もちろん、弾性ストッキングの有用性を評価するには、VTE予防処置無群と弾性ストッキングのみ着用群の比較がベストですが、さすがにLMWH無しだと倫理面で厳しいでしょう。


このあたりのフレームワーク設定の限界を考えると、本研究の nはそこそこ大きいので、術後弾性ストッキングは不要であるという結論はある程度信頼できると思います。






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HD頚部骨折はセメントステム一択!

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またまた血液透析ネタで恐縮です。
先日、大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭置換術を施行しました。


血液透析患者に対する人工骨頭では、セメント派とセメントレス派の論争が続いています。両者とも正常より looseningを併発しやすいのですが、報告によって優劣はまちまちです。


長期成績が良好なセメントレスステムとして Spongiosa Metalが有名ですが、感染併発予防の観点も含めると、抗生剤含有セメント使用のセメントステムに軍配が上がる印象です。


先日の症例では70歳にもかかわらず骨質が極めて不良で、展開した大腿骨頚部をまじまじと観察しましたが、とてもセメントレスステムを設置できる自信が湧きませんでした...。


私が勤めている施設でセメントを愛用しているのは私だけなのですが、しつこくセメントを使い続けるので、手術室スタッフや前立医師もずいぶん慣れてきたようです(笑)。


健常者の THAはセメントレスを基本としていますが、血液透析の大腿骨頚部骨折に限っては、迷うことなくセメントステムを第一選択にし続けようと思います。





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セメント人工骨頭に軍配あがる?!

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ケアネットで人工骨頭置換術で興味深い論文がありました。人工骨頭置換術、セメントレスは再置換のリスクが高い です。




大腿骨近位部骨折患者の人工骨頭置換術では、非セメント固定はセメント固定に比べ、無菌性再置換のリスクが高く、この差の主な原因は非セメント固定で人工関節周囲骨折の頻度が高いためであることが、米国・カイザーパーマネンテ(Hawaii Permanente Medical Group)のKanu Okike氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年3月17日号に掲載された。




整形外科医であれば避けては通れない人工骨頭置換術。実は私もセメント愛用派です。 primary THAはセメントレスですが、人工骨頭置換術はセメント派という両刀使いです。


私が高齢者の大腿骨頚部骨折でセメントステムを愛用する理由は、① 高度の骨粗鬆症の人でもしっかりした初期固定を得るため、および② 術後感染対策です。


感染対策では、当然のごとく抗生剤入り骨セメントを選択しています。手術時間が 10~15分延長しますが、仕方ないと割り切っています。


一方、今回の研究でセメントレスがセメントに劣後したのは、人工股関節周囲骨折の頻度が高いためという意外な(?)結果でした。


そんなに人工骨頭置換術後の人工股関節周囲骨折の頻度が高い印象はないのですが、nが12400もあるので真実に近いところにいるのでしょう。


使用理由は今回の研究とは異なりますが、この研究結果に勇気を得て、これからも高齢者の大腿骨頚部骨折ではセメントステムを継続使用したいと思います。






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