整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

TKA: サイズが大きい症例は難しい?


先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






アウェーでの手術は何かが起こる?!


先日、アルバイト先の病院で人工股関節全置換術(THA)を施行しました。その病院では基本的には外来しかしていないので、手術室に入ることはほとんどありません。


しかし、外来フォローをしている患者さんで、手術を施行せざるを得ない方がときどき出てきます。地域柄、なかなか他院に振ることは難しいので、やむを得ず執刀することがあります。


普段勤務している病院以外で執刀する手術は、どれだけ手慣れた手術であっても、いつもどおりと言うわけにはいきません。予想外のことが発生しやすいのです。


私はかなり慎重派なので、たとえTHAと言えどもアウェーでの手術の際にはかなり入念に下準備をしていきます。それでも今回は3つも予想外のトラブル(?)が発生しました。




トラブル①


私は術前に透視下に体位の微調整を行っています。術前計画通りにカップを設置することが目的です。ナビゲーションを使用しなくてもかなり正確にカップを設置できるので重宝しています。


しかし、今回は手術台が壊れてしまいました・・・。電源を入れても全く動かないのです。どうも機械関係のトラブルに遭遇することが多いです。


30分ぐらいMEさんが格闘していましたが、うんともすんとも言いません。しかし、ふとした瞬間に動くようになりました。かなり不安定だったので、大急ぎで設定して事なきを得ました。




トラブル②


頭からすっぽり被る人工関節用のヘルメットを使用して手術を行いますが、開始から1時間ぐらいでバッテリーが切れました。今からセメントステムを入れるぞーというタイミングで・・・


経験した方は分かると思うのですが、ヘルメットを被っているときにバッテリーが切れると呼吸できなくなります。1分ぐらい経過するとこのまま死んでしまうのではないかと思うほどです(苦笑)。


騒ぐと酸素消費量が増えるので、バッテリーが交換されるまで ”忍” の字でした。それにしても何故1時間程度でバッテリーが切れるんだろう???




トラブル③


比較的若年男性だったのですが、骨質が異常に悪かったです。髄内洗浄すると、近位の海綿骨が無くなってしまいました・・・。このようなケースはときどきありますが、いずれも高齢女性です。


過大前捻対策でセメントステムを準備していたので事なきを得ました。しかし、ホームでの手術と同様にS-ROM-Aを選択していたら、結構アブなかったと思います。




上記のようにトラブル①②はほとんど予測不能です。②はバッテリーの寿命は大丈夫ですか? ということで回避できそうですが、手術室スタッフに喧嘩を売っていますね(笑)。


③はできるだけシンプルな手術を心掛けているので、THAに関しては少しでもアブナイと思ったらすぐにセメントを使用します。


このように、どんなに手慣れた手術であってもアウェーでの手術は気が抜けません。できるだけ入念に下準備して、退路を確保しながら手術に臨むようにしましょう。





★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




THA: 骨盤後傾症例は難しい


先日、急速破壊型股関節症(RDC)に対して人工股関節全置換術を施行しました。今回の患者さんは80歳を超える高齢者で、著明な腰椎後弯と骨盤後傾を認めました。


臥位 - コピー


上記は、臥位での単純X線像正面像です。カップの前方開角が小さく、0~5度ぐらいです。一方、この患者さんの立位での単純X線像正面像は下記です。




立位 - コピー


この画像では、骨盤が極端に後傾しているものの、カップの前方開角は20度ぐらいにみえます。私は臥位よりも立位の状態の方をより重視しています。


このため、カップの前方開角は、どちらかと言えば立位に合わせにいきます。仮にこの患者さんに対して臥位に合わせてカップを設置すると立位時に前方脱臼するリスクが高まります。


このため、術中のカップ設置の際には少し勇気が要りますが、できるだけ前方開角を減じてインパクションするようにしています。骨盤後傾症例は難しいですね。 






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




THAと脊椎手術の主治医的気持ち


外来で術後患者さんのフォローをしていると、自分の気持ちの変化が興味深いです。どういうことかと言うと、施行した手術の種類によって身構え方が異なるのです。


分かりやすく、THA・TKA・脊椎手術(除圧術)の3つのパターンを例示してみます。まず、THAですが、こちらの術後患者さんを診察室に迎え入れる時には緊張感はほとんどありません。


何故なら、術後経過が良好で愁訴がほとんどないことが分かっているからです。もちろん、それなりに可動域制限が残存している症例も多いですが術前よりは改善することがほとんどです。


このため、患者さんの満足度が高く、必然的に主治医としても嬉しい気持ちになります。次にTKAですが、こちらは術後にも疼痛を訴える方が居るのでTHAほど気楽には迎え入れません。


おそらく、股関節と比べて膝関節はより体表面に近いため、感覚が鋭敏であることが原因ではないかと推察しています。逆に股関節の感覚は、膝関節と比べてかなりニブイのでしょう。


最後に脊椎手術ですが、こちらは診察室に迎え入れる際にかなり身構えてしまいます。何故なら症状が100%すっきりすることは、THAやTKAと比べて明らかに少ないからです。


しかも、経過の途中で症状が再燃することもあります。関節リウマチの患者さんとは少し違う感覚ですが、主治医が感じる気持ちは相通じるモノがあります。


これは、私が固定術ではなく除圧術がメインであることが原因なのかもしれません。おそらく固定術ではもう少し手術の切れ味が良いと思います。上記から次のような関係が成り立ちます。


患者さんの満足度
THA>TKA>脊椎手術

症例数の多さ
脊椎手術>TKA>THA

主治医の気楽さ
THA>TKA>脊椎手術



かなり偏見とバイアスのある意見ですね(笑)。私は股関節外科医なのですが、脊椎外科医を尊敬してしまいます。何故なら、私はそこまで精神的にタフになれないからです。


THAでは、手術をすれば結果はだいたい予測できます。しかし、脊椎手術は愁訴が残ることも多々あります。TKAは両者の間ぐらいの感覚でしょうか。


しかし、進歩のスピードや症例数の豊富さを考えると明らかに脊椎手術の勢いが一番です。メインストリームに進むか、苦労を取るかで悩むところですね。






★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTKAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です






大腿骨転子部骨折後のTHA


以前施行した人工股関節全置換術(THA)のまとめをしました。
手術手技のピットフォールを備忘録として記載してみました。


この方はまだ60歳台ですが大腿骨転子部骨折を受傷されたため、近医でガンマネイルを用いた骨接合術を施行されました。


通常、大腿骨転子部骨折は大腿骨頚部骨折と異なり、大腿骨頭壊死症を併発することは稀です。しかしtype C2 の大腿骨頭壊死症を併発してしまい、疼痛のため歩行困難となりました。


大腿骨転子部骨折で大腿骨頭壊死症を併発する原因としては、梨状窩から髄内釘を挿入してしまったため大腿骨頭の栄養動脈を損傷してしまうことが挙げられます。


しかし最近の髄内釘は大腿骨大転子頂部から挿入するタイプがほとんどです。この方も単純X線像上で、ガンマネイルの刺入部位に関して全く問題ありませんでした。


大腿骨転子部骨折術後の大腿骨頭壊死症に対してTHAを施行する場合、大腿骨頚部前捻角が健側比でかなり減捻していることが多いです。


これは牽引手術台で手術を施行する際に患肢を内旋位で牽引することが原因です。また、骨折の転位で大腿骨近位の形状が変形するため、通常ステムでは対応できないことが多いです。


セメントレスTHAの場合、このような症例では旧Depuy社のS-ROM-Aの独断場です。手術の際の注意点は下記のごとくです。


  1. 大腿骨頚部が硬化していることが多く、リーミングが困難なことがある
  2. 大転子部が変形しているため、リーミングの際に術中骨折を併発する可能性がある
  3. 遠位スクリュー刺入部の髄内が硬化しており、リーミングが困難なことがある
  4. 外傷後なので軟部組織の弾性が低下している


寛骨臼側の変形は少ないですが、手術の難易度はTHAの中では高い方だと思います。もしこのような症例に遭遇した場合には、できるだけ股関節専門医に任せる方が無難でしょう。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

           管理人の著書
   勤務医のための資産形成マニュアル
      医師のための 資産形成講義
2015神戸セミナー

      築古木造戸建投資マニュアル
      医師のための 金融資産形成術
医師のための金融資産形成術

        タダで自宅を手に入よう!
   資産形成のコンサルテーション・サービス


SRI一橋大学消費者購買価格指数
.
配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール
QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。
  • ライブドアブログ