整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

ARMD は意外に白かった!

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先日、ARMD(adverse reaction to metal debris)が原因と思われるインプラント周囲の骨融解症例の人工股関節再置換術がありました。


ARMD は、メタル・オン・メタル人工股関節置換術(Metal-on-Metal THA, MoM THA)に併発する有害事象です。


MoM THA では金属摩耗粉が発生しやすく、局所的に組織毒性を有することが知られています。この金属摩耗粉が偽腫瘍や組織壊死などをきたします。 



ARMD は金属摩耗粉が原因なので、黒い錆のような金属摩耗粉が股関節内に充満しているようイメージを抱きがちです。


しかし、股関節を展開すると関節内は黒い組織でいっぱいということはなく、むしろ淡黄色~白色の滑膜様組織に覆われていました。まるで雪原にいるようにも見えます。


これって本当に ARMD なのかなあ? と半信半疑ながら関節内を観察すると、金属同士の摺動面では錆色の液体が固着しており、やはり ARMD であったことが分かりました。


おそらく、錆色の金属摩耗粉は貪食細胞に取り込まれて、その周囲の組織が淡黄色~白色の滑膜様組織となるのでしょう。


たくさん ARMD による再置換術に立ち会っているメーカーの方も、ARMDでは錆色の組織ではなく淡黄色~白色の滑膜様組織が多いとおっしゃられています。


ARMD = 金属摩耗粉による錆色の組織に覆われていると思いがちですが、展開して淡黄色~白色の滑膜様組織であっても驚く必要はないようです。







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前のめり患者さんへの迎合は危険!

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先日の外来で「左股関節が痛いから手術して欲しい!」という患者さんが初診されました。私が勤務している医療機関は、人工関節ではそこそこ名前が売れています。


このため、このような患者さんがときどき初診されるのですが、私の対応は「じゃ、手術日時を決めましょう!」ではありません。


このような患者さんと意気投合(?)して手術をしてしまうと、のちのちになってトラブルが発生することが多い印象です。


お互いの信頼関係が熟成していない段階で手術をしてしまうと、ちょっとしたトラブルが大きなトラブルに発展しがちです。


このため、焦って(がっついて)症例を掴みに行くのは自制するべきだと考えています。このような症例では、私はまず保存治療を勧めてみます。


画像所見的には「これは厳しい」という症例であっても、まずは保存治療を行うのです。数回外来で診させてもらって、同時に患者さんの人となりも見させてもらいます。


その上で、手術をしても問題なさそうな方+保存治療が奏功しない場合には、そろりと手術をお勧めするようにしています。


長らくそれなりの看板のある病院勤めをしていると、このあたりの脇が甘くなることがあります。病院の看板を自分の実力と勘違いしてしまうのです。


やはり医療の基本はお互いの信頼関係だと思います。前のめりの患者さんが受診されても、それに迎合しないことが大事かなと感じています。






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ハンソンピン後THAのうまい方法

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先日の 抜釘後THAのピットフォール のつづきです。
コメントでコロンブスの卵的な方法を教えていただきました。


まずは、s123 先生からのコメントです。



ハンソンピン後のTHAは通常のアプローチで大腿骨頭を脱臼させて,骨頭の 上1/3をノミやリュエル鉗子で削除するとハンソンピンの先端から容易に抜去できるので抜釘のための皮切を追加する必要はありません.もちろんハンソンピン以外のインプラントは抜釘のための追加皮切が必要です.



次にいっしー先生からのコメントです。



ハンソンピン術後で骨頭に圧壊をきたしている場合、まず、抜釘を行わずTHAのアプローチで骨頭を脱臼させた後にピンのフック周りの骨をリウエルで切除して、順行生にピンを抜去する方法もあります。THA、人工骨頭入れ替えで私はいつもこの方法でやっていました。参考までに。




う~ん、なんて頭の良いスマートな方法なのでしょう! ハンソンピンを愛用している医師には必須の知識だと思いました。


実施する機会が無いことを祈りつつも、次回からはこの方法でTHAを施行したいと思います。ご教示いただきありがとうございました!






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抜釘後THAのピットフォール

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先日、大腿骨頚部骨折後の大腿骨頭壊死症に対して、抜釘術及び 人工股関節全置換術(THA) を行いました。


大腿骨頚部骨折はGarden stage 3 だったのですが、若年者だったのでハンソンピンによる骨接合術を選択しました。


しかし、やはりGarden stage 3 だったので、Type C 2の 大腿骨頭壊死を併発して、関節面の圧壊がどんどん進行してしまいました。


歩くのも困難なほどの痛みになってきたので、やむを得ず抜釘術及び THA を行うことになりました。


私は側臥位で THA をしているのですが、まず抜釘をしようとして手が止まりました。前回手術の皮膚切開位置が、大腿骨のかなり前の方だったのです。


おそらく体位の問題だと思うのですが、前回皮膚切開を利用するとかなり抜釘に苦労することが予想されます。


ハンソンピンの骨内への刺入位置は、大転子無名結節よりやや抹消です。そこで少し考えたのですが、 大腿骨大転子部無名結節から末梢に新たな皮膚切開を加えることにしました。


ハンソンピン直上に皮膚切開を新たに加えることで、比較的容易にピンを抜釘することができました。 小切開での抜釘は難しいことが多いです。


その後は通常の THA に移行したのですが、今回新たに加えた皮膚切開を連結することで、手術自体も非常に楽に終えることができました。


術後に皮膚切開の長さを測ると13 cm でした。通常 8~9 cm 程度で手術を行っているのですが、4 cm 増えるだけで手術のしやすさが全く異なります。


今回の教訓として得たのは、小皮切で施行したハンソンピンをそのままの皮膚切開を利用して抜釘しようとすると、手術が難しくなる可能性があるということです。


その場合には躊躇せず、新しい皮膚切開を加えてTHAを施行する行うほうが、手術はスムーズに行くと思われます。従来の皮膚切開に拘泥しすぎるのは得策ではないでしょう。





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CRの下肢全長の精度は如何ほどか?

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THA術前や外傷後の脚短縮では、正確な脚長差の計測が重要です。脚長差を計測するためには単純X線像を撮影しますが、どれほどの精度なのかを調べてみました。


両下肢全長は、長尺カセッテにCR(computed radiography)を3枚挿入して撮影します。3枚のCR同士は自動で繋ぎ合わせられるため、拡大率を除けば正確な計測が可能です。


モニター上で計測する下肢長は拡大率分だけ長くなります。通常撮影では管球~カセッテ間=1m
なので、周知のように拡大率110%です。


一方、長尺カセッテでは管球~カセッテ間=2.3~2.5mなので、110%未満となります。計測値は実測にほぼ近似すると考えてよいレベルの拡大率だそうです。


フィルムで出力していた時代には、手でフィルムを貼り合わす必要があったため、脚長差の誤差が発生しましたが、モニター上で計測する場合には誤差はほぼ無いようです。


なかなか便利な世の中になったものですね。







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