整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA

セメント充填の安定化を目指して

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先日の骨セメントの種類変更は慎重に!のつづきです。
安定したセメント充填を再確立するために奮戦中です(笑)


さて、第3世代セメント充填法を用いることは当然ですが、セメントそのものの管理も安定したセメント充填を行うためには重要です。セメントの硬化速度に影響を及ぼす因子は下記です。

  1. セメントの種類
  2. セメントの保存温度
  3. 室温
  4. 撹拌スピード


このうち、今回のケースでは②~④が問題となります。これらの3つの因子を一定化することが、安定したセメント充填につながると思います。


まず、セメント保存を冷蔵庫で行うか、室温で行うかに大別されます。できるだけ条件を一定化するには冷蔵庫での保管が推奨されます。では、冷蔵庫の温度を何度に設定するのか?


セメント専用の冷蔵庫であれば、15~20度ぐらいが望ましいのではないかと思います。しかし、一般の施設で「セメント専用冷蔵庫」を準備するのは、スペース的にも難しいと思います。


こうなると、他の物品との混蔵になりますが、この場合には5~10度ぐらいの設定温度が多いです。これぐらい低温では、なかなかセメントが硬化しないことが難点です。


安定したセメント温度を採るか、硬化時間の短縮を採るのかは難しい判断ですね。次に②の室温ですが、私が勤務している施設では、おおむね21度に設定されています。


基本的には、術者に快適な温度設定で良いのではないでしょうか。極端に暑い・寒いとなると、術者にストレスがかかって手術成績に悪影響を及ぼす可能性もあります。


④の撹拌スピードは、リーマーを使用することで一定化しやすくなります。ただし、調子に乗ってウィンウィンしていると、あっという間に硬化するのでご用心を(笑)。


主に②④を一定化することで、安定したセメント充填が達成できるのではないかと思っています。私は、もともとセメントレス派の人間なので、もう少し試行錯誤が必要そうです。






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骨セメントの種類変更は慎重に!

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最近、私の勤務する病院では、人工関節で使用する骨セメントの種類が変更になりました。このことは、セメントをよく使用する者にとって由々しき事態です。


何故なら、骨セメントは製品によって使用感が大きく異なるからです。私は長年にわたってVacu-Mix Plus エンデュランスボーンセメントを使用していました。


しかし、2月からサージカルシンプレックス骨セメントに変更になりました。私にとって、初めて使用する骨セメントです。


病院としての変更なので致し方ないのですが、予想以上に骨セメントの使用感の差異が大きいため、非常に苦慮しています。例えてみると、全くの初心者に戻った感覚です。


今までは室温とミキシングの感覚から、無意識のうちに最適化していましたが、その経験則が全く通用しないのです。先日、骨脆弱性が著明な症例で、hybride THAを施行しました。


通常では骨脆弱性のために、セメントレス・カップ設置が手術のヤマ場となりますが、今回は大腿骨のセメンティングが最も緊張する場面でした。


何とか納得できる手術ができましたが、安定性を確保するには程遠い状況です。骨セメントの種類変更は、想像以上に難しいです。インプラントの種類変更と同等程度の感覚です。


私の勤める病院の場合、大人の事情での変更だったので仕方ないですが、今後骨セメントの種類を変更する予定のある方は、慎重にその是非を検討する必要があると思います。




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骨切り術は賞味期限切れかも・・・

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先日、寛骨臼回転骨切術(RAO)後のTHAがありました。RAOに限らず、骨切り術後のTHAは難しいです。今日は、重鎮の先生から怒られるかもしれないことを書きます。


私が教育を受けた頃は、まだ股関節外科の分野でも骨切り術が全盛期でした。九州大学の杉岡先生がご健在で、AROやRAOを股関節治療の第一選択にするべしという風潮がありました。


確かに、整形外科医としては、骨切り術の方が達成感があります。私は名古屋大学主催のRAOセミナーに参加させてもらったことがありますが、骨切り術の醍醐味を感じました。


しかし、HXLPE(ハイリークロスリンク)の登場で情勢が変化しました。人工関節の耐用性が大幅に向上したため、骨切り術でタイムセービングすることの意義が小さくなったのです。


そして、骨切り術に伴う社会的・経済的損失に耐えうる人の数が少なくなりました。社会や患者さんのニーズと、骨切り術のベネフィットが一致しなくなってきました。


むしろ、骨切り術による弊害が拡大している印象です。それは、大家と呼ばれる医師による骨切り術であっても、人工関節置換術の10年成績に劣ることが端的に示しています。


中には素晴らしい成績の骨切り症例もありますが、疼痛や関節拘縮を我慢している人も少なくありません。人工関節手術をend point とするsurvival rateは、アテにならないと思うのです。


そして、疼痛や拘縮によるADL低下に我慢できずに人工関節へのコンバートが必要になる時には、人工関節手術が難しくなります。これはHTOのような膝関節骨切り術でも同様です。


このように考えると、大関節の骨切り術は、治療手段としての賞味期限が切れつつあるのではないか? という疑念を抱くようになりました。ちょっと過激な意見かもしれません・・・




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THAやTKAの両側同時手術

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私が勤めている病院では、同一患者さんに対する両THAや両TKAなどの両側同時手術が多いですが、最近では同一患者さんのTHA+TKAというパターンも増えてきました。


コンスタントに両側同時手術を施行している施設はあまり無いと思われるので、メリット・デメリットについて考察してみました。


まず、両THAや両TKAなどの両側同時手術のメリットですが、やはり患者さんの経済的・時間的負担の軽減が最も大きいです。単純に1回分の入院費と治療時間が削減されます。


あと、両側手術施行例では、術後リハビリテーションが難しいのではないかと思われがちですが、意外なほど片側手術症例と比べて差がありません。むしろ、早い印象さえあります。


主治医の業務負担は、1/2~2/3程度に減ります。手術時には疲労が溜まりますが、それ以上にその患者さんに対する「慣れ」が発生するので、手術時間は短縮することが多いです。


一方、デメリットとしては、1回分の入院費用(約100万円)が無くなるので、長期的にみると医療機関の収益が減ることになります。



あと、片側手術症例と比べて手術侵襲が大きくなるので、術後感染リスクや深部静脈血栓症の併発リスクが上昇するのではないかと危惧されます(幸い、術後感染はゼロです)。


最後に、両側同時手術ではなく、同一患者さんのTHA+TKAというパターンですが、これに関しては、解剖学的な類似性に起因する「慣れ」は発生しません。


もちろん、経済的・時間的負担の軽減という患者さんのメリットは健在です。そして、特に術後リハビリテーションが遅れるという印象もありません。



以上から、両THAや両TKAなどの両側同時手術や、同一患者さんのTHA+TKAというパターンのメリットは大きいものの、それなりのデメリットがあるので慎重に判断するべきでしょう。





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TKA: サイズが大きい症例は難しい?

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






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