整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

骨切り術は賞味期限切れかも・・・

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先日、寛骨臼回転骨切術(RAO)後のTHAがありました。RAOに限らず、骨切り術後のTHAは難しいです。今日は、重鎮の先生から怒られるかもしれないことを書きます。


私が教育を受けた頃は、まだ股関節外科の分野でも骨切り術が全盛期でした。九州大学の杉岡先生がご健在で、AROやRAOを股関節治療の第一選択にするべしという風潮がありました。


確かに、整形外科医としては、骨切り術の方が達成感があります。私は名古屋大学主催のRAOセミナーに参加させてもらったことがありますが、骨切り術の醍醐味を感じました。


しかし、HXLPE(ハイリークロスリンク)の登場で情勢が変化しました。人工関節の耐用性が大幅に向上したため、骨切り術でタイムセービングすることの意義が小さくなったのです。


そして、骨切り術に伴う社会的・経済的損失に耐えうる人の数が少なくなりました。社会や患者さんのニーズと、骨切り術のベネフィットが一致しなくなってきました。


むしろ、骨切り術による弊害が拡大している印象です。それは、大家と呼ばれる医師による骨切り術であっても、人工関節置換術の10年成績に劣ることが端的に示しています。


中には素晴らしい成績の骨切り症例もありますが、疼痛や関節拘縮を我慢している人も少なくありません。人工関節手術をend point とするsurvival rateは、アテにならないと思うのです。


そして、疼痛や拘縮によるADL低下に我慢できずに人工関節へのコンバートが必要になる時には、人工関節手術が難しくなります。これはHTOのような膝関節骨切り術でも同様です。


このように考えると、大関節の骨切り術は、治療手段としての賞味期限が切れつつあるのではないか? という疑念を抱くようになりました。ちょっと過激な意見かもしれません・・・




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TKA: サイズが大きい症例は難しい?

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






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THAと脊椎手術の主治医的気持ち

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外来で術後患者さんのフォローをしていると、自分の気持ちの変化が興味深いです。どういうことかと言うと、施行した手術の種類によって身構え方が異なるのです。


分かりやすく、THA・TKA・脊椎手術(除圧術)の3つのパターンを例示してみます。まず、THAですが、こちらの術後患者さんを診察室に迎え入れる時には緊張感はほとんどありません。


何故なら、術後経過が良好で愁訴がほとんどないことが分かっているからです。もちろん、それなりに可動域制限が残存している症例も多いですが術前よりは改善することがほとんどです。


このため、患者さんの満足度が高く、必然的に主治医としても嬉しい気持ちになります。次にTKAですが、こちらは術後にも疼痛を訴える方が居るのでTHAほど気楽には迎え入れません。


おそらく、股関節と比べて膝関節はより体表面に近いため、感覚が鋭敏であることが原因ではないかと推察しています。逆に股関節の感覚は、膝関節と比べてかなりニブイのでしょう。


最後に脊椎手術ですが、こちらは診察室に迎え入れる際にかなり身構えてしまいます。何故なら症状が100%すっきりすることは、THAやTKAと比べて明らかに少ないからです。


しかも、経過の途中で症状が再燃することもあります。関節リウマチの患者さんとは少し違う感覚ですが、主治医が感じる気持ちは相通じるモノがあります。


これは、私が固定術ではなく除圧術がメインであることが原因なのかもしれません。おそらく固定術ではもう少し手術の切れ味が良いと思います。上記から次のような関係が成り立ちます。


患者さんの満足度
THA>TKA>脊椎手術

症例数の多さ
脊椎手術>TKA>THA

主治医の気楽さ
THA>TKA>脊椎手術



かなり偏見とバイアスのある意見ですね(笑)。私は股関節外科医なのですが、脊椎外科医を尊敬してしまいます。何故なら、私はそこまで精神的にタフになれないからです。


THAでは、手術をすれば結果はだいたい予測できます。しかし、脊椎手術は愁訴が残ることも多々あります。TKAは両者の間ぐらいの感覚でしょうか。


しかし、進歩のスピードや症例数の豊富さを考えると明らかに脊椎手術の勢いが一番です。メインストリームに進むか、苦労を取るかで悩むところですね。






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TKA: セメントに抗菌薬を混ぜる工夫

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)を施行しました。
手術自体は普通でしたが、今回はセメントに混入する抗菌薬でひとつの試みを行いました。


5555 - コピー



こちらの記事に対していただいたコメントを参考に事前にガス滅菌したのです。抗菌薬をセメントに混ぜるときに、私の施設では外回りの看護師さんが清潔に気をつけて開けています。


ニッパーもしくはコッヘルの先で抗菌薬バイアルの金属部分およびゴム部分を開けてます。そして、内部の抗菌薬(CEZ)はカチカチなので、清潔のコッヘルで崩してからセメントに混ぜます。


しかし、この方法では清潔度にやや難があります。私はいつも目を皿のようにして外回り看護師さんの一挙手一投足を監視しています(笑)。


それぐらい、術者にもプレッシャーのかかる嫌な場面なのですが、バイアルごとガス滅菌して術者や助手などの清潔な人が開けることで、この清潔度にやや難のある操作を回避できます。


もちろん、BIOMETのCobalt G‐HV ボーンセメントを使用すれば問題ないのですが、適応が人工関節置換術の術後感染に伴う二期的人工関節再置換術の第二段階のみです。


このため、通常の人工関節手術では使用することができません。非常に残念なことです。今回教えていただいた工夫で抗菌薬を取り扱う際の感染リスクを少しですが低減できると思います。


ガス滅菌は60度まで温度が上昇するようですが、60度程度では抗菌薬の活性は問題ないです。自己満足かもしれませんが、TKAの感染リスクを少しだけですが低くできた気がします。





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TKA: 膝蓋骨骨折を併発したら・・・

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人工膝関節全置換術(TKA)は、THAと比べてピットフォールが少ないです。
しかし、膝蓋骨低位や高度外反膝などの比較的難症例ではそれなりに注意が必要です。


例えば、膝蓋骨低位症例では展開が難しく、膝蓋骨の排除に苦労することが多いです。膝蓋骨の排除で無理をすると、膝蓋腱脛骨停止部が剥がれたり膝蓋骨下極骨折を併発します。


膝蓋骨非置換のTKAであっても、膝蓋骨周囲の損傷はリカバリーが難しいです。術者は常にこれらを念頭に手術に臨むべきですが、不幸にして併発した場合どうすればよいでしょうか?


膝蓋骨下極骨折や膝蓋腱脛骨停止部剥離を併発した場合には、膝蓋腱損傷として治療を行います。成書ではAOの4.5mm皮質骨スクリューと軟鋼線を用いる方法が記載されています。


しかし、Tibial compornentが脛骨に設置されている状況では、4.5mmの皮質骨スクリューを脛骨結節に挿入することは二次性骨折を併発する危険性を伴います。


この場合、4.5mmの皮質骨スクリューの代わりに2.4mm K-wire等で代用すると良いでしょう。そして膝蓋骨置換症例では、2.4mm K-wireを膝蓋骨に刺入することさえ危険を伴います。


この場合には14Gサーフロー針などを用いて膝蓋骨周囲に1.2mm軟鋼線を誘導します。14Gサーフロー針を膝蓋骨縁ぎりぎりに刺入することで、膝蓋骨縁に軟鋼線を誘導可能となります。


膝蓋骨中枢側縁と内外側縁に沿って、14Gサーフロー針を用いて3回「コ」の字状に軟鋼線を誘導します。こうすることで、軟鋼線が膝蓋骨縁の20時~4時部分に通ります。


膝蓋骨ぎりぎりに軟鋼線を半全周性に通すことで、2.4mm K-wire無しでも十分固定性を期待できる鋼線締結法を施行することが可能となります。


このようなプチ知識を頭の片隅に置いておくだけでも、万が一の事態に遭遇したときにも冷静に対応できると思います。





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