整形外科医のブログ

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TKA

身体障害者 7級は意外とハードルが低い?!

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先日、両TKA術後の患者さんから身体障害者診断書・意見書への記載を求められました。この患者さんは私の前任者の引継ぎで、今回初めてお会いしました。


ご存知のように、今では TKAやTHAをしてもほとんど身体障害者認定基準を満たしません。このため、この数年は身体障害者診断書の記載件数はゼロでした。


カルテを見ると、前任者はかなり無理矢理診断書を作成したようです...。う~ん、客観的にみてかなりビミョーな感じの記載内容です。


前任者は執刀医なので診断書を引き受けたのは分かりますが、私にはそこまでの義理は無いというのが本音です。取りあえずウソは書けないという前提で受領しました。


TKAの術後は、非該当もしくは7級がほとんどです。そこで改めて認定基準を確認すると、以下のとおりでした。


  1. 関節可動域90度以下のもの
  2. 徒手筋力テストで4に相当するもの
  3. 筋力低下で2km以上の歩行ができないもの


①の可動域は歴然としているので該当しません。一方、MMT 4というのはビミョーです。一応定義はあるものの、検者の主観が入る余地があります。


どうやら前任者もMMT 4で通しているようです。MMT 4の基準は「抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる」なので、ちょっと弱いかな? ぐらいなら嘘ではありません。


7級だけならほとんど役に立ちませんが、6級になると公共交通機関の割引を受けられるようです。患者さんがかなり鬼気迫る勢いだったのは、このことが理由でしょう。


今回の件で学んだのは、7級であれば意外と認定される可能性があるかもしれないという点です。本来なら前任者が毅然とした態度を取るべきだったのでしょうが...。





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TKA後のひざまずき動作で問題となる伏在神経膝蓋下肢損傷

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TKAでは高率に伏在神経膝蓋下肢を損傷する


伏在神経膝蓋下肢は、膝蓋腱前面の皮下を内側から外側に向かって斜め下方に走行しています。このため、TKAの侵入時に高率に伏在神経膝蓋下肢を損傷してしまいます。


伏在神経膝蓋下肢損傷の症状は、膝前面から外側にかけての鈍痛です。皮膚切開の部位に一致して、そこから外側にかけての疼痛が残存します。


【参考】
伏在神経膝蓋下肢損傷で膝外側しびれ?!



神経損傷なので、しつこい疼痛でなかなか軽快しません。もちろん術前の膝関節そのものの疼痛と比較すると軽度です。しかし跪き動作の際に、やっかいな疼痛を惹起しがちです。



伏在神経膝蓋下肢損傷の対策


伏在神経膝蓋下肢損傷を確実に防ぐ方法はありません。しかし、障害をできるだけ軽くする方法は存在します。その方法は、手術時の工夫と術後の薬物療法に分けられます。


まず手術療法ですが、伏在神経膝蓋下肢を切離する部位をできるだけ外側にする工夫があります。それはずばり皮膚切開の部位を外側寄りにすることです。


【参考】
TKAの膝蓋前外側皮切は成績良さそう!
膝蓋前外側皮切で伏在神経膝蓋下枝損傷を回避する



皮膚切開部位を外側にすることで、膝関節前面の疼痛を訴える患者さんが減少した印象を抱いています。しかし、よく聞いてみると膝関節外側の痛みを感じている人が多い...。


たしかに皮膚切開部位は外側に移動したため、正中は正常解剖です。このため跪き動作での疼痛はかなり緩和されました。しかし、外側痛に関しては解決できていないです。


この疼痛を軽快させるのがプレガバリン製剤です。自験例では、伏在神経膝蓋下肢損傷に対してプレガバリンが著効する印象を抱いています。


膝関節外側痛の疼痛で困っている患者さんにタリージェなどを処方すると、低用量でもとても喜ばれるケースが多いです。


なるほど、TKA術後の正体不明の疼痛だと思っていたのは、実は伏在神経膝蓋下肢損傷による神経痛が多く含まれていたようです。



まとめ


TKA術後には手術に起因する伏在神経膝蓋下肢損傷による膝関節前面痛を併発しがちです。これを避けるには手術の皮膚切開位置の工夫とプレガバリン製剤処方が望ましいでしょう。







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人工関節の術後フォローは何年毎が望ましい?

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人工関節の術後フォローって、結構めんどうですよね。その理由は、患者さんの自然減はあまりないため、その病院で働き続ける限り雪だるま式に増加するからです。


最近までマジメに年1回の術後フォローを継続してきましたが、人工関節患者さんの数が多くなり過ぎてかなり困るようになりました。


術後フォローで主に確認するべき項目は、もちろんポリエチレンの摩耗です。しかし今はハイリークロスリンクポリエチレン(HXLPE)の時代。


従来のポリエチレンと比較して、ほとんど摩耗が無いと言っても過言ではありません。外来で術後フォローしている人工関節患者さんも、ほとんど全員が HXLPEになりました。


こうなってくると、臨床的にはほぼ摩耗しないと言っても過言ではありません。実際、10年前の THAでも、インナーボールが偏心している症例をほとんどみかけなくなりました。


HXLPEの患者さんの術後フォローを毎年実施するのはナンセンスではないのか? という疑問が沸々と湧きます。


患者さん数が増加したこともあり、思い切って2年に一度のフォローへ舵を切りました。しかし意外なことに患者さんが結構抵抗するのです。


「毎年診てもらいたい」「2年後だと忘れてしまう」等々の否定的意見の嵐です...。希望患者さんのみ 2年に1回フォローにていますが、比率は低いと言わざるを得ません。


実際の患者さんの摩耗度合いを見ていると、2年と言わず 5年でもいいのではないのかと思ってしまうぐらいですが、いろいろな意味で実施するハードルは高そうです。





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人工股関節全置換術



両側するなら反対側のTKAを急げ!

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THAや TKAでは両側とも手術が必要な症例は多いです。THAでは脚長をそろえにいく難しさがありますが、TKAではどうでしょうか。


TKAは、THAほど脚長差をシビアに考えませんが、それでもひとつの注意点があります。それは片側の手術を施行すると、下肢アライメントの影響で手術側が長くなることです。


もちろん反対側を手術すれば脚長はそろうため、さほど問題にならないと思う人が多いでしょう。しかし手術までの待機期間に長くなると手術側の膝に屈曲拘束が発生します。


その理由は歩行のしにくさのためです。下肢アライメントの正常化によって手術側が脚延長したワケですが、非手術側に脚長を合わせるために屈曲しながら歩行します。


この期間が長いと、膝の伸展制限が残存してしまうのです。このため手術側の膝関節拘縮が発生する前に反対側の TKAも施行した方が良いようです。


今まであまり深く考えてこなかったですが、特に膝関節内反の強い症例では、術後に相対的な脚長差が発生しやすいです。


片方の膝関節に TKAを施行したのであれば、反対側も比較的早期に手術する方が、ご本人の ADLを考えると望ましいでしょう。






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Pes下までの MCL浅層リリースは恐怖でない?!

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先日の人工膝関節全置換術(TKA)は、FTAが200度を超える高度内反膝でした。外側の靭帯緊張度に内側を合わせますが、どこまで内側のリリースを施行するかがポイントです。


難症例なので大学の膝班の先生にお越しいただいたのですが、さすが膝関節のプロだけあって非常に手際良い手術手技でした。


高度内反膝では
どこまで内側のリリースを施行するかがポイントと記載しましたが、私のような素人が手術すると、恐る恐る MCLを剥離していきます。


しかし、この先生は一瞬で MCL浅層を鵞足の下まで剥離しました。まさに電光石火...。さすが大学の看板を背負っている膝関節外科医です。


もちろん手技だけなら私でも可能です。しかし数多くの経験が無ければ、
MCL浅層をリリースするという大胆な手技は実行できません。


豊富な経験に裏付けられた手技であることは論を俟ちませんが、もうひとつの要因として拘束型人工膝関節全置換術に慣れていることが挙げられます。


私はほとんど
拘束型人工膝関節全置換術の経験が無いため、一応バックアップで準備することはあるものの、いつも「お守り」代わりです。


もちろんこの先生にとっても「お守り」であることに変わりありませんが、私とはお守りの意味合いが全く異なります。


私の場合は、
拘束型人工膝関節全置換術はほとんどあり得ない選択肢ですが、この先生にとっては「まぁ、しょうがないか」的な実践的バックアップなのです。



綺麗な手術ですが、到底真似することはできないと感じました。ちなみに MCL浅層までリリースしてもダメな場合は鵞足を少しずつ切離するそうです...。


考えただけで鬱になりそうなとてもコワい手技です
(笑)。自分でやることはまずないだろうなぁ。






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