整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA

BMI>40でもTKAはまだマシ?!

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。今回の症例は普通とは少し異なり、BMI>40 の患者さんでした。


BMIが40を超える症例はなかなかお目にかかる機会はありません。世界保健機関(WHO)の基準でも、日本肥満学会の基準でも、最も重症度の高い肥満のようです。


ここまでくると、肥満は疾病であるということが実感として理解できます。BMIが40を超えるということは、それほど強烈なのです。


さて、実臨床において、BMI>40がどの程度手術の難易度に影響するのか? TKAの手術終了時の感想としては、危惧していたほどのモノではなかったというのが正直なところです。


以前にも一度BMI>40の症例のTKAを経験していますが、多少やりにくいかな?と思う程度で、決定的に手術操作が難しいわけではありません。


しかし、これがTHAになると話は別です。BMI>35になってくると、大腿骨を浮上させることも一苦労となります(※)。


※ あくまで数少ない経験則です


いわんや、BMI>40の症例では、相当手術が難航することが予想されます。このように、BMI>40といっても部位や術式によって、ずいぶん難易度が変わってくるのが実情です。


やはり、いくらやり慣れた手術であってもBMI>40等の高度肥満に対峙するときには、それ相応の覚悟が必要なのではないでしょうか。特にTHAの場合には・・・







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やはり患肢マーキングは最後の砦

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先日の人工股関節全置換術(THA)で、ちょっとした失態を演じました。両変形性股関節症の患者さんなのですが、左右間違えて作図していたのです。


前日の患肢マーキングの際には、きっちり患側にマーキングしています。また、診療録の記載も間違っておらず、作図だけが左右間違いでした。


当日朝のイメージトレーニングの際にも、患側で行っていたため、どうやら作図の時だけ左右勘違いしていたようです。


私は業務効率化のために、毎週木曜日の夜にまとめて作図をするようにしています。このため、他の症例との勘違いが起こったのかもしれません。


そして最大の問題は、作図の左右間違いに気付いたのは麻酔導入後であったことです。このため、この時点では患者さんに直接確認することはできません。


しかし、前日に自ら行った患肢マーキングのおかげで、自信を持って「こちら側の手術で間違い無い」と言うことができました。


私は習慣的に、THAなら股関節を、TKAなら膝関節を軽く屈伸させながら、「痛いのはこちら側でいいですね」と患者さんに確認しています。


患者さんは「痛たた、こっちです」とおっしゃられるので、間違いようがありません。この時のマーキングの記憶が、患側間違いの防波堤になっていたようです。


手術当日のイメージトレーニングを患側で行っていたので、全く問題なく手術は終了しました。少し後味が悪いですが、リスク管理が有効であったことを確認できたと思っています。


ちなみの左右間違いに気付かず最後まで手術を施行した場合には、過去の判例で1500万円の賠償金額が命じられたことがあったそうです。こわいこわい、十分に注意しよう。。。




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ツブシが利きすぎる科もしんどい。。。

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最近、私が勤めている医療機関では、人工膝関節全置換術(TKA)の際に、ほぼ全例でKneeAlign2を使用しています。以前に、こちらで使用経験をご報告しました。


dd - コピー



KneeAlign2の骨切り精度はかなり素晴らしく、もうちょっと外反にした方が良いのでは? と思う症例であっても、術後単純X線像ではKneeAlign2に軍配が上がることがほとんどです。


そんな素晴らしいKneeAlign2ですが、なかなか細かい術中操作を覚えることができません。私のアタマが悪いことが原因なのでしょうが、トリセツもイマイチです。


未だに、ZIMMER-BIOMETの方に教えてもらいながら、泥縄式にナビゲーションの設定をしています。泥縄式でも、しっかりナビゲーションできていればOKでは?


しかし、コトはそれほど単純ではありません。ナビゲーション自体は完璧に近いのですが、デバイスの取り扱いに不慣れであると、他の微妙な手技に良くない影響を及ぼします。


ひと手間が面倒なためにはしょってしまうと、そのひと手間の手技ために骨切りの結果が少し変わってしまうことが起こりうるのです。やはり、業者さん任せはいけません。


自分だけで完璧に施行できるようになるまで、しっかり習熟する努力をするべきだと思います。しかし、整形外科医が扱うデバイスは数は膨大です。守備範囲が広すぎるのです。


例えば、毎日TKAやTHAだけをしていればよいという医師は、基幹病院のごく上澄み医師を除いて、ほとんど存在しないのが現実です。


このハンディを埋めるには、取り合えず努力して手術で使用するデバイスを完璧にマスターしていくしか方法はなさそうです。いや~、ツブシが利きすぎる科もしんどいですね。。。





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TKA: 外反膝症例のポイント

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先日、外反膝の人工膝関節全置換術(TKA)がありました。FTA 160度ほどあり、外反膝のTKAとしては、ちょっと難しい可能性がある症例でした。


TKAのなかでも、外反膝は難易度の高い手術のひとつです。特に、FTA160°を越える外反膝症例では、術前に内反ストレスを掛けてどれくらい外側の緊張が強いか確認します。


内反ストレスをかけても矯正されないFixed-Valgus Deformityは、かなり難症例であることを覚悟しましょう。ある程度外反が矯正されるnon Fixed-Valgus Deformityなら、まだ芽があります。


実際に、外反膝症例に対してTKAを行う際の注意点は下記のごとくです。全体を通じてのポイントは、できるだけ骨切り量をセーブすることです。 

 

  1. 脛骨内側の剥離は骨切り量(2-3mm程度)にとどめる
  2. 大腿骨外反骨切り角は計測より1度程度少なくする



大腿骨のエントリーポイントは大腿骨外顆の低形成のため、内顆に掛かってしまうことが多いです。つまりエントリーポイントは、大腿骨顆部のwhite side lineより5mm内側となります。

 
大腿骨遠位骨切りが終了した時点で(大腿骨内顆は9mm骨切り)、下肢を牽引して大腿骨遠位骨切り面に10mmのスペーサーを当てて、脛骨骨切り量のおおよその指標とします。


内側がゆるいので脛骨骨切りは通常2-3mm程度となります。MCLがゆるんでいるため、内反膝のように9mm切除すると、高度の不安定性をきたして拘束型TKAを選択せざるえなくなります。


下肢を牽引して大腿骨遠位骨切り面に10mmのスペーサーを当てて脛骨骨切り量が5mmに近いようなら、まず大腿骨遠位の骨切りを最大4mm程度まで追加します。


それでもタイトなら脛骨を切除せざるえない場合もありますが、屈曲時に不安定性が出現することを覚悟しましょう。


外反膝では大腿骨外顆の低形成のため外旋角が強いですが、インプラントをやや前めに設置するかワンサイズアップしないと前方外側にノッチを形成することがあります。


また、通常のsurgical axisは、clinical axis-3°ですが、つけすぎると屈曲時に内側がゆるむので、やや控えめに留めておくほうが無難です。最後に、外側の緊張乖離は下記の手順です。


  1. iliotibial bandの切離、release (Gerdy結節で骨膜下に剥離、筋膜の連続性は残す) 
  2. LCLの切離、releaseを行う
  3. これでだめなら、popliteal tendonのreleaseや切離を行う



特に膝の屈曲拘縮がある症例では、腓骨神経の剥離を行う必要があります。 よくいわれるようにTKAは、soft tissue surgeryです。ゆめゆめ外反膝症例を甘く見ないようにしましょう。





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骨切り術は賞味期限切れかも・・・

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先日、寛骨臼回転骨切術(RAO)後のTHAがありました。RAOに限らず、骨切り術後のTHAは難しいです。今日は、重鎮の先生から怒られるかもしれないことを書きます。


私が教育を受けた頃は、まだ股関節外科の分野でも骨切り術が全盛期でした。九州大学の杉岡先生がご健在で、AROやRAOを股関節治療の第一選択にするべしという風潮がありました。


確かに、整形外科医としては、骨切り術の方が達成感があります。私は名古屋大学主催のRAOセミナーに参加させてもらったことがありますが、骨切り術の醍醐味を感じました。


しかし、HXLPE(ハイリークロスリンク)の登場で情勢が変化しました。人工関節の耐用性が大幅に向上したため、骨切り術でタイムセービングすることの意義が小さくなったのです。


そして、骨切り術に伴う社会的・経済的損失に耐えうる人の数が少なくなりました。社会や患者さんのニーズと、骨切り術のベネフィットが一致しなくなってきました。


むしろ、骨切り術による弊害が拡大している印象です。それは、大家と呼ばれる医師による骨切り術であっても、人工関節置換術の10年成績に劣ることが端的に示しています。


中には素晴らしい成績の骨切り症例もありますが、疼痛や関節拘縮を我慢している人も少なくありません。人工関節手術をend point とするsurvival rateは、アテにならないと思うのです。


そして、疼痛や拘縮によるADL低下に我慢できずに人工関節へのコンバートが必要になる時には、人工関節手術が難しくなります。これはHTOのような膝関節骨切り術でも同様です。


このように考えると、大関節の骨切り術は、治療手段としての賞味期限が切れつつあるのではないか? という疑念を抱くようになりました。ちょっと過激な意見かもしれません・・・




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初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


         




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