整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

Tritanium

THA: 急速破壊型股関節症(RDC)の手術は気を使います・・・

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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
骨盤後傾の強い高齢女性で、術前から急速破壊型股関節症(RDC)を疑っていました。


術野を展開すると股関節内は易出血性の滑膜に覆われていました。このため、術中出血量は通常の2倍近くありました。


骨質が悪くて寛骨臼の破壊が高度だったので、今回はStrykerのTritaniumを選択しました。このような症例では、リーミングを慎重に行う必要があります。


基本的には軟骨下骨を温存するようにリーミングの深さを調整しています。一旦、軟骨下骨を貫通すると脆弱な粗鬆骨しかないのでカップの固定性が極めて不良になるからです。


骨盤の異常な傾き・骨質の悪さ・易出血性が高率にあるので、RDCに対するTHAは本当に気を使います・・・。やはりRDCは、プライマリーTHAとしては難しい部類に入ると思います。


それでも10年ほど前と比べれば、骨盤の異常な傾きや骨質の悪さへの対処方法は格段に進歩しているので、以前ほどRDCに対するTHAはストレスではなくなってきているのも事実です。



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                                    人工股関節全置換術



THA: 高度臼蓋形成不全+骨粗鬆症で骨質が不良な症例

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今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
かなりBMIが高く、おまけに高度の臼蓋形成不全+骨粗鬆症で骨質が不良だったのでカップの設置が難しい症例でした。


臼蓋形成不全が高度の場合、カップ上方に骨移植術を行う必要があります。しかし、ブロック+スクリューで骨移植しても吸収されてしまう確率が高いため、一般的には海綿骨をチップ状にして骨移植することが多いです。


では、カップの被覆度はどの程度まで許容されるのでしょうか?セメントレスカップは日進月歩なので、高度臼蓋形成不全股でのTritaniumやTrabecular metalの長期成績はまだ出ていないと記憶していますが、一般的にはカップの頂点を越えて寛骨臼に被覆されているのであれば固定性に問題が無いケースが多いです。


セメントレスTHAに関してはカップ・ポリエチレンとも進歩が著しく、一昔前であれば相当苦慮したであろう高度臼蓋形成不全+粗鬆骨の症例でも安全に手術できるようになってきたことを実感します。




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急速破壊型股関節症に対するTHA  その1

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今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。急速破壊型股関節症(RDC)の方で、術前CTから寛骨臼側の骨質が不良であることが予想できました。


RDCでは骨破壊が高度なことが多く、本日の方も前壁がペラペラの薄い膜にようになっていました。内板までの距離も短いため前後壁で十分にカップを被覆できません。かなり思案した結果、後壁に合わせてリーミングを行い、前壁はほとんど無いものと考えてトライタニウム(Tritanium)でお茶を濁すという術前計画を立案しました。


ちなみにトライタニウムとはストライカー社製のカップで、高い摩擦係数と多孔率によって固定性が高いことがウリのカップです。ジンマー社も、トラベキュラーメタル(trabecular metal)という同様のカップを販売しています。
両者を比較した記事があるので参考にしてください。


さて術中所見ですが、予想に違わずひどい状態でした。寛骨臼内は易出血性の滑膜に覆われており、寛骨臼は最初から内板が半分以上露出していました。リーミングすること約5秒で、ほぼ海綿骨が無くなってしまいました・・・。合計でも最終サイズまでのリーミング時間は10秒程度しかありませんでした。


RDCや関節リウマチ等の寛骨臼の骨質が不良の症例では、間違っても最初から全力でリーミングしてはいけません。ファーストコンタクトの段階では、だいたい50%程度の力でリーミングして様子をみることを強くお勧めします。


急速破壊型股関節症に対するTHA  その2 につづく


THAの機種を比較する ~ トラベキュラーメタルとトライタニウム ~

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今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
やや臼蓋形成不全の強い症例だったので、ストライカー(Stryker)のトライタニウム(Tritanium)を選択しました。


ジンマー(Zimmer)のトラベキュラーメタル(trabecular metal)と同様に、強固な初期固定がウリのカップです。カップの表面の感触は、トラベキュラーメタルほど軟らかくないですが、寛骨臼への噛み込みは大差無い印象です。


トライタニウムは、下記の注意点があります。
・ カップサイズは44mmから
・ 44-50mmではクラスターホールしかない(穴が3つしかない)
・ trident X3 polyethylene linerを使用しても、44mmではインナーボールが28mmしか使用できない
・ 46mmでは32mmを使用可能だが、ポリエチレンの厚みが3.9mmしかない
・ 50mmから36mmを使用可能だが、ポリエチレンの厚みが3.9mmしかない
・ カップのホール越しに挿入するスクリューの振り角0度(ほとんど遊びがない)


一方、トラベキュラーメタルは下記の特徴があります。
・ カップサイズは38mmから(36mmはオプション)
・ 38-46mmでも6ホールある。
・ 48mmから32mmを使用可能(厚み5.3mm)
・ カップのホール越しに挿入するスクリューの振り角8度


使用できるインナーボールを基準に比較すると下記のごとくです。
38-44mm ⇒ トラベキュラー
46mm ⇒ トライタニウム(ポリエチレンの厚みが3.9mmを許容するなら)
48mm ⇒ どちらも
50mm ⇒ トライタニウム(ポリエチレンの厚みが3.9mmを許容するなら)


よくあるカップサイズの46-50mmでは、さほど両者に大きな差はないです。
あとはステムのチョイスしだいですね。


それにしても日本人に多い、臼蓋形成不全股に対する選択肢が増えたのは喜ばしいことです。


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