今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
やや臼蓋形成不全の強い症例だったので、ストライカー(Stryker)のトライタニウム(Tritanium)を選択しました。


ジンマー(Zimmer)のトラベキュラーメタル(trabecular metal)と同様に、強固な初期固定がウリのカップです。カップの表面の感触は、トラベキュラーメタルほど軟らかくないですが、寛骨臼への噛み込みは大差無い印象です。


トライタニウムは、下記の注意点があります。
・ カップサイズは44mmから
・ 44-50mmではクラスターホールしかない(穴が3つしかない)
・ trident X3 polyethylene linerを使用しても、44mmではインナーボールが28mmしか使用できない
・ 46mmでは32mmを使用可能だが、ポリエチレンの厚みが3.9mmしかない
・ 50mmから36mmを使用可能だが、ポリエチレンの厚みが3.9mmしかない
・ カップのホール越しに挿入するスクリューの振り角0度(ほとんど遊びがない)


一方、トラベキュラーメタルは下記の特徴があります。
・ カップサイズは38mmから(36mmはオプション)
・ 38-46mmでも6ホールある。
・ 48mmから32mmを使用可能(厚み5.3mm)
・ カップのホール越しに挿入するスクリューの振り角8度


使用できるインナーボールを基準に比較すると下記のごとくです。
38-44mm ⇒ トラベキュラー
46mm ⇒ トライタニウム(ポリエチレンの厚みが3.9mmを許容するなら)
48mm ⇒ どちらも
50mm ⇒ トライタニウム(ポリエチレンの厚みが3.9mmを許容するなら)


よくあるカップサイズの46-50mmでは、さほど両者に大きな差はないです。
あとはステムのチョイスしだいですね。


それにしても日本人に多い、臼蓋形成不全股に対する選択肢が増えたのは喜ばしいことです。