昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
両側変形性股関節症の方でしたが、たっての希望で両側同時手術となりました。
両側同時手術といってもTHAの場合は、体位変換するので一旦手を下ろします。したがって多発骨折のように特殊なシーツの掛け方等は無く、普通のTHA × 2 に過ぎません。
単純X線像では左側の方がやや変形がキツかったので、まず左側から手術を開始しました。骨棘形成が高度だったので寛骨臼の展開が苦しかったです。
大転子部裏側の骨棘を切除して何とかリーミングできるようになりました。次に一旦体位変換して右側の手術に取り掛かりました。ご存知のように人間の体は、左右が似通っています。
したがって、右側も大転子部裏側の骨棘を処理することで、寛骨臼の展開が可能となりました。左側に比べて、後から施行した右側の手術時間は30分ほど短縮されました。
しかし、右側の大腿骨側のステップぐらいから、かなり疲れていることを感じました。最後はマラソンランナーがゴールに飛び込むような感覚でした(笑)。
10時30分執刀開始で14時過ぎには両側とも手術が終了していましたが、片方だけのTHAと比べてやはりしんどかったです。最近、何故か体力を使うTHAが多い気がします・・・。
両側同時手術のメリットは患者さんの経済面での負担軽減です。しかし片側手術と比べて患者さんに対する侵襲が大きくなるため、感染などの種々のリスクが高まる可能性があります。
両側同時手術をウリにしている医療機関もあるようですが、真に患者さんの利益を考えると片側手術の方が推奨されるのではないかと思いました。
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股関節学
昨日は勤務先の病院で夜診のあと、そのまま当直に入りました。
夜診は19時30分に受付終了なのですが、受付終了間際に事務から電話がかかってきました。
午前中に交通事故に遭った方から、仕事が終わるのが21時ごろになるから22時ごろに受診してもよいか?という問い合わせでした。事務が受けたイメージでは、診断書希望のようです。
これはまさに”コンビニ受診”の典型例です。翌日に受診するように返答しました。夜間は平和だったのですが、6時30分ごろに事務から電話がありました。
今度は、創傷処置後のガーゼが出血してきたので、今から受診してもよいか?という問い合せでした。外来開始まで3時間を切っているため、9時以降に外来受診するように返答しました。
2名とも、その後に押しかけてくることはありませんでした。しかし強行された場合、法的には医師は応召義務があるため診察せざるを得ません。
時間外診療へのスタンスは、医療機関毎に大きく異なります。以前勤めていた日赤では24時間受け入れ可というスタンスだったため、コンビニ受診を行う輩が後を絶ちませんでした。
このため医療スタッフの疲弊度は大きく、私も永く勤める職場ではないと思ったものです。今の職場では常識的な対応が可能なので、常識外れの要求には毅然とした対応を心掛けています。
医療資源という限られたリソースを社会で大事に守っていくという考え方が、世間に充分に浸透すればいいですね。
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昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
KL grade 4で、ちょうど手術をやり頃な患者さんでした。
最近になって思うのですが、TKAではある程度思い切って多めに骨切りしていった方が、術野の展開が楽で、いろいろな術中ピットフォールに陥りにくいのではないでしょうか?
昔は骨切りを最小限に留めて、軟部組織の靭帯バランスでギャップの調整を行っていました。しかし、あまりタイトな術野で手術していると、膝蓋骨周囲のトラブルをきたすケースを散見します。
逆にある程度大胆に骨切りや骨切除を施行していくと、術野の展開が楽なので膝蓋骨周囲や軟部組織に対する侵襲は少なくて済みます。更に手術時間の短縮にもつながります。
一度、骨切りしてしまうと取り返しがつかなくなるので、できれば軟部組織で調整を!と思っていましたが、よく考えたら軟部組織も一度剥離したら取り返しがつません。
もちろん、骨切りや骨切除と比べて軟部組織の剥離の方が、手技施行時間単位の効果が小さいので靭帯バランスの微調整が利くという利点があります。
このため初心者のうちは、軟部組織剥離をメインにする方が時間は掛かりますが安全です。しかしある程度の経験を積めば、許容範囲内で多めに骨切りする方がよりスマートかなと思います。
実際、術中にかなり大胆に骨切りした!と思っても、最終のインサートの厚みが通常よりも2mmぐらいしか厚くならないケースがほとんどだと思います。私の意見はいかがでしょうか?
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