昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
高齢発症の関節リウマチ(RA)の方で、屈曲拘縮を併発している症例でした。
麻酔導入後の可動域は90-40-0でした。このような方には大きな皮膚切開で進入して、medial parapatellar approachでしっかり術野を確保しています。
脛骨結節上縁に停止するG, STのレベルまで内側から脛骨背側の中央部まで一気にリリースしました。屈曲拘縮に関しては、最初から大腿骨を通常より2mm切り上げています。
まず、脛骨側は通常の9mmの骨切りでトライしました。やはり伸展ギャップはタイトではあるものの、OAの同程度の屈曲拘縮例と比べてやや”弾性がある”印象でした。
そこで、大腿骨側のみ更に2mm切り上げたことろ、10mmのインサートをなんとか挿入できたので先の工程に進むことにしました。インプラントは、許容できる最小サイズを選択しています。
高齢発症の関節リウマチ症例だったので骨質は不良でしたが、屈曲拘縮への対応難易度に関しては軟部組織が緩かったので比較的ましだった印象です。
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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
40歳台の特発性大腿骨頭壊死症(ION)で、両側ともtotal necrosisに近いType C-2でした。
壊死範囲が広すぎて大腿骨頭前方回転骨切術(ARO)の適応はありません。痛みの強い左股関節は stage 3b だったので、若年者ではありますが左THAを施行しました。
特発性大腿骨頭壊死症に対するTHAは、通常の変形性股関節症(OA)のTHAよりもかなり難しいと感じています。今日の方も変形は少ないにも関わらず、脱臼させることが一苦労でした。
おそらく円靭帯が温存されていたため大腿骨頭を脱臼できなかったのだと思いますが、頚部のラフカット → 本番の頚部骨切 というダブルカットをせざるを得ませんでした。
更に寛骨臼の骨質が良過ぎて、1mmアンダーリーミングではカップが全く寛骨臼内にインパクションできませんでした。やむを得ず同サイズリーミングを追加しています。
更に、若年者の特発性大腿骨頭壊死症では可動域が良いため、ちょっとでもインプラントの設置角度が悪いと易脱臼性を併発しやすいというピットフォールがあります。
このようなことから私の中では、OAよりもIONの方が注意が必要で難しいという認識を抱いています。単純X線像だけで判断すると、IONの場合には痛い目に会うかもしれません。
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股関節学
昨日の夕方は、アルバイト先で夜診をしていました。
このアルバイト先の医療期間は、病院なのですがMRIがありません。
そして、整形外科の常勤医師も居ないので、入院患者さんの対診も受けなければなりません。地域柄のためか高齢者が多く、昨日も圧迫骨折を疑う方の診察をしました。
単純X線像を確認すると多発性脊椎圧迫骨折がありました。しかし、ほとんどの椎体骨折は陳旧性に見えます。身体所見からは新鮮圧迫骨折がありそうなのですが・・・。
そこで、やむを得ずCTを施行しました。CTを撮影するときは必ず矢状断で再構成をしてもらいます。やはり骨折を判断する上で、矢状断は最も診断価値があると思います。
昨日の方は第4腰椎の新鮮椎体骨折でした。矢状断でみると椎体中央の終板直下がはっきりと陥没しています。しかし、単純X線像を見直しても椎体骨折を全く確認できませんでした。
MRIのある施設ではあっさりMRIを施行すると思いますが、意外とCTの矢状断でも新鮮骨折の有無をよく判断できます。むしろ費用対効果や診断の迅速度ではCTの方が上かもしれせん。
限られた医療資源の中でやむを得ずCTで診断していましたが、脊椎椎体骨折に関しては意外とCTは使えると感じています。ただし大腿骨近位部骨折に関してはイマイチな気はしますが・・・。
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