整形外科医のブログ

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THA: 経皮的股関節内転筋腱切離術

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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
関節リウマチのため高度の骨欠損のある患者さんでした。


術前から股関節の屈曲・内転拘縮が高度で、手術が終了した時点でも約10度しか股関節が外転しませんでした。私の内転筋腱切離術の手術適応は、術後も10度以上外転しない症例です。


そこで、やむを得ず内転筋腱切離術を追加することにしました。内転筋切離術は、股関節外転時に鼠径部に索状に触れる拘縮した内転筋を切離する手術です。


昔は内転筋腱直上に皮膚切開を加えて直視下に切離していました。しかし、最近ではばね指の経皮的腱鞘切開術に準じて経皮的に施行するようにしています。手順は下記のとおりです。


 ① 患肢を股関節伸展0度、膝関節屈曲90度にして手術台から垂らします
 ② 内転筋腱を触知(皮膚上に索状物として見えることが多い)して位置確認
 ③ 消毒後、滅菌手袋を履いて18G針で切離します
 ④ 具体的な手技は、手指の
経皮的腱鞘切開術に準じます
 ⑤ ポイントは、可能なかぎり恥骨側で切離することです
 ⑥ 助手に股関節を外転してもらい、20度まで外転できるようになった時点で終了します


ばね指の経皮的腱鞘切開術よりも簡単に施行できるため、術後にも関わらず麻酔下で股関節外転10度未満の方は、内転筋切離術の併用を躊躇しない方が良いと思います。


また、K-025で4410点取れるので、病院経営的にも適応があれば推奨できると思います。私の場合、20例に1例ぐらいの頻度で経皮的股関節内転筋腱切離術を施行している印象です。



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                                    人工股関節全置換術



THA: 困った時は冷静に!

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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
関節リウマチのため、寛骨臼側に高度の骨破壊を伴う症例でした。


荷重部の骨欠損が著明で健側との脚長差は約3cmでした。単純X線像で荷重部にやや硬化している像をみとめたため、意外と骨質はしっかりしているのでは?と淡い期待を抱いていました。


しかし、実際に展開すると関節内は関節リウマチにありがちな悲惨な状況でした・・・。慎重に、しかし数秒のみ数回リーミングした上で、Tritaniumをインパクションしました。


荷重部にカップを接触させることは不可能でしたが、寛骨臼前後縁でしっかりカップを固定できたので本日の最大の難所は無事に通過できたと思いました。


しかし、大腿骨側の処理を終了してステムを挿入するときに事件が起こりました。ファイナルインパクターに交換するときに手元が滑ってインパクターが床に落ちてしまったのです!


通常、インパクターは1本しかセットに入っていません。虎の子のインパクターが不潔になるとステムを挿入することができなくなるのです。このまま滅菌されるまで30分ほど待つか悩みました。


すると、ふと妙案を思いついたのです。私の勤務する病院には人工骨頭の器械一式が長期貸し出しされています。そのインパクターを流用させてもらうことにしたのです。


ステムの種類は違うのですが、幸い問題なく挿入することができました。滅菌済みの人工骨頭の器械セットがあったのは偶然でしたが、冷静に解決策を模索できたのが奏効しました。


手術中に何かトラブルが起きたときも、ワンクッション置いて冷静に考えると意外と解決策が見つかるケースが多いと思います。「困った時は冷静に!」ですね。



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                                    人工股関節全置換術



痛風ではソフトドリンクも制限を!

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Medical Tribune 2014年3月6日号に興味深い記事がありました。
「ソフトドリンクは高尿酸血症の危険因子」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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高尿酸血症・痛風は日々の生活習慣が大きく関係する疾患で,特に飲酒や肥満が主な危険因子であることは広く知られている。近年,果糖の摂取と尿酸値上昇との関連性が指摘されている。聖路加国際病院クリニック予防医療センター管理栄養士の小倉祐紀子氏は「ソフトドリンクの摂取は高尿酸血症の危険因子である」と報告した。


果糖は肝臓の酵素(フルクトキナーゼ)によって代謝され,フルクトース-1-リン酸になるが,その際,ATPからリン酸を奪うためATPの分解が進み,その結果最終代謝産物として尿酸値が上昇する。一般にソフトドリンクに含まれる純粋な果汁は少ないが,果糖ブドウ糖液糖という異性化液糖(ブドウ糖の5割以上を果糖に変えたブドウ糖と果糖の混合液糖)として含まれている。  


例えば,ある果実色飲料500mLには果糖が32〜57.6g含まれており,一方果物ではりんご1個(250g)当たり20.2g,みかん1個(100g)当たり4.2gである。ソフトドリンクの摂取は,異性化液糖として大量の果糖を一気に摂取することとなり,尿酸値上昇につながると考えられる。  


小倉氏らは,同院の人間ドック受診者のうち,高血圧,脂質異常症,糖代謝異常,高尿酸血症・痛風の薬剤加療中の者を除く3万2,170人〔男性1万4,027人(平均年齢49.5±11.6歳),女性1万8,143人(同48.7±10.8歳)〕を対象として,血液生化学・尿検査値および生活習慣問診から得られた結果を基に,ソフトドリンク摂取量と尿酸値との関係について横断研究を行った。  


スポーツ飲料を含むジュース,果汁・野菜ジュース・炭酸飲料の合計を1日のソフトドリンク摂取量として計算した。ソフトドリンク摂取量と尿酸値の間には正の相関が認められ,重回帰分析では性(男性),年齢,体重,血清クレアチニン,尿pH,アルコール摂取量に加えソフトドリンク摂取量が尿酸値上昇に関わる独立した危険因子であることが示された。


同氏は「今回の研究から,果糖を含むソフトドリンクは高尿酸血症に関する独立した危険因子であることが示された」と結論付けた。

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外来で高尿酸血症の患者さんの治療を行う機会は非常に多いですが、現実的な食事療法の柱はカロリー制限および飲酒制限だと考えていました。


高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは「1日のプリン体摂取量が400mgを超えないように高プリン食を控える」とありますが、現実的には実行困難なことが多いからです。


しかし、カロリー制限および飲酒制限だけではなく、果糖を含むソフトドリンクも制限するべきであることは勉強になりました。明日からの外来で活用したいと思います。



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 一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。


                      

 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



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