今日の午前は外来でした。土曜日なので学生さんがたくさん受診されます。中学生や高校生はまだまだ社会に慣れていないためか、診察時に要領を得ないことが多いです。
今日も四肢の「しびれ」を主訴に高校生が受診しました。ここ2週間ほど1日のうちで5分~30分程度四肢先端が「しびれ」るとのことでした。問診の段階で整形外科医であれば、骨関節・末梢神経系の症状ではないと判断できると思います。
しかし、私の勤める病院では事務方が症状をヒアリングして科を振り分けるアドバイスをするため、整形外科に回されてきました。まあ、ここまでは仕方無いのですが、診察室で問診してももうひとつ要領を得ないのです。
よくよく訊くと彼の言う「しびれ」とは脱力感のようなもので、いわゆるnumbnessでも知覚低下でもないようでした。おそらく夏季なので発汗過多でミネラルバランスが崩れているのでしょう。
それにしても使う人によっていろいろな意味を含む「しびれ」は、なかなか一筋縄にはいかない言葉だなと思いました。日本語は難しいですね。
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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
この方は大腿骨頚部前捻角が”後捻”しており、非常に苦労しました。
大腿骨近位の調整がchangable neckの方がより細かく対応しやすいため、今回はS-ROM-Aではなくてkinectivでの対応としました。
しかし、kinectivでは前捻角の調整に限界があるので、寛骨臼側のカップ設置前に大腿骨側の処置を行いました。そして大腿骨に前捻角10度程度でステムが設置できることを確認してからカップを設置しました。
もちろん、カップの前方開角は大き目(30度程度)で設置しています。このような工夫で安定した股関節となりましたが、もともと後捻している大腿骨にラスピングするためカルカー内側の皮質骨が早い段階から露出しました。
頚部骨切り部には海綿骨がまだ残っていましたがカルカー内側部は完全に皮質骨のみになってしまったため、予定よりも2サイズダウンのステムとなりました。無理をして予定サイズのステム挿入にこだわると骨折を併発した可能性があります。
大腿骨後捻の症例は普段あまり経験しないですが、やはりS-ROM-Aで対応する方がどのような状況にも対応できるため、よりお勧めかもしれません。
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人工股関節全置換術
昨日の午前に行った筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(muscle-preserving interlaminar decompression: MILD法)のつづきです。
MILD法はいわゆる低侵襲手術なので、皮膚切開は1椎間なら約3cm程度となります。そして椎弓切除はトランペット型に必要最小限のみ掘削します。
私は、3mmと5mmの2種類のdiamond burrを主に使用しています。棘突起から椎弓の内板までは5mmのdiamond burrを使用し、lateral recessをトランペット型に掘削する際には3mmのdiamond burrを使用するのです。
このように掘削をワンパターン化することで、脊柱管を掘削する幅も一定化します。ほとんどの症例で掘削する幅は15mm(5mmのdiamond burr3個分)になります。diamond burrはそれ自体がメジャーの役割も果たすのです。
また、いちいちスパーテルに持ち替えるのが面倒なので、回転を止めた状態でdiamond burrで軽く掘削面を押してみて黄色靭帯が露出しているかを確認します。つまりdiamond burrはスパーテルの役割もある程度果たすのです。
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