整形外科に限らず高齢者の診療をしていると、住所が「サ高住」である方が増えています。一昔前までは賃貸で高齢者の終の住まいを探すのは非常に難しかったのですが、サ高住の登場で状況が激変しました。
サ高住とは、サービス付き高齢者向け住宅の略称で、安否確認と生活相談サービスが最低限備わったバリアフリーの賃貸住宅です。政府が補助金や税制優遇を打ち出して新規参入を誘導しているため、現在すごい勢いでサ高住の数は増えています。
このような介護が中心の領域は医療と直接関係が無いため、私の中では従来の老人ホームとの違いが分かりませんでした。そこで、サ高住について要点を簡単にまとめてみました。
サ高住は賃貸住宅なので、介護は外部のサービスを利用します。代表的なサ高住のブランドに学研が運営するココファンやメッセージが運営するCアミーユなどがあります。サ高住を知らなくても、ココファンやCアミーユは聞いたことがあるのではないでしょうか。
サ高住と良く似ている施設に、介護付き有料老人ホームがあります。有料老人ホームは老人福祉施設であり、契約形態がサ高住と違って利用権契約が一般的です(サ高住は賃貸借契約です)。
介護付き有料老人ホームでは基本的に介護は内部でパッケージ化されており、介護費用は定額になります。一方のサ高住は介護費が従量制のため重度の認知症対応は難しい場合が多いようです。
介護付き有料老人ホームとサ高住を比較しました につづく
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以前、血液透析施行例での関節リウマチ治療という記事を書きました。この中で、血液透析施行例でも使用可能な薬剤について検討しました。当時の私は血液透析と血漿交換を混同していたのですが、その後コメントで生物学的製剤の透析性について指摘を受けました。
そこで、文献を渉猟した結果、血液透析中であっても生物学的製剤はほぼ通常通りの使用方法で問題無いことが判明しました。もちろん、血液透析症例ではMTXが禁忌のため、使用できる生物学的製剤は制限されます。
具体的には埼玉医科大学リウマチ膠原病内科の秋山雄次先生の論文に詳述されています。
維持透析中の関節リウマチ患者における抗リウマチ薬の使用法
485-492, 日本臨床免疫学会会誌 Vol.34 No. 6, 2011
要約すると、下記の如くとなります。
・ DMARDsではSASP、TACを中心に治療を進める
・ 生物学的製剤では①TCZ ②ETN、ADA、ABA の順番で推奨される
・ 生物学的製剤の導入に際しては、通常例以上に感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底する
・ AAアミロイドーシス合併RAは予後が悪いので、積極的に生物学的製剤導入を検討する
関節リウマチで血液透析施行例の方は、AAアミロイドーシスのために腎不全に移行した症例も多いようです。したがって感染のスクリーニングおよびモニタリングを徹底しながら、生物学的製剤の導入を推奨されています。
血液透析施行例での関節リウマチ治療を行う際には、秋山先生の論文を一読することをお勧めします。
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今日の午前は、反復性膝蓋骨脱臼に対するMPFL再建術でした。
ご存知のように、MPFLとは(Medial Patell-Femoral Ligament; 内側膝蓋大腿靭帯)の略称です。
一昔前まで反復性膝蓋骨脱臼に対してdistal realingment surgery 等が行われることが多かったですが、定番となるような手術がありませんでした。様々な術式が考案されているのは、どれも成績がイマイチなことが理由です。そんな中でMPFL再建術は、反復性膝蓋骨脱臼に対する手術としてはメジャーな地位を確立しつつあります。
今回のMPFLの再建靭帯は、半腱様筋腱を使用しました。必要な長さは約20cmです。通常のACL再建術と同じ要領で半腱様筋腱を採取します。再建靭帯の固定方法はエンドボタンを使用しますが、本日の使用ボタンはバイオメット社のトグルロックでした。
このボタンは可変式で術中に任意のテンションで再建靭帯を固定することが可能です。まだまだ改良の余地のあるボタンですが、現時点では一番お勧めではないでしょうか。
膝蓋骨・大腿骨とも側面でのイメージコントロール下にガイドワイヤーを挿入します。膝蓋骨は側面像で中央に1.5 K-wireをガイドワイヤーとして挿入し、これを指標にして上下1/3の部位に2.4 K-wireをそれぞれ平行に挿入します。
大腿骨骨側については議論の的になっています。下記論文が最もメジャーなので、参考にしていただければ幸いです。
Schöttle PB, Schmeling A, Rosenstiel N, Weiler A.
Radiographic landmarks for femoral tunnel placement in medial patellofemoral ligament reconstruction. Am J Sports Med. 2007 May;35(5):801-4. Epub 2007 Jan 31.
最後のエンドボタンを固定する際には、膝関節を屈曲60度にしてmanual maxでテンションを掛けます。テンションが強すぎるとPF関節の関節症性変化が出現するので、これぐらいの角度が最も良いようです。
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