今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
今日の方は30歳台前半の若年者ですが、両側の末期変形性股関節症でした。
画像だけをみせられると、股関節外科医なら全員がTHAの適応と言うと思いますがやはり年齢がネックです。痛みが高度であり日常生活での支障が大きいので、何らかの手術は必要です。
10年前の私であれば、キアリ骨盤骨切り術(Chiari pelvic osteotomy)を選択したと思います(本症例は外反股なのでBombelli外反伸展骨切り術は不要です)。現在でも久留米大学の先生方であればキアリを選択されると思います。
また、名古屋大学の長谷川先生ならチャレンジングですが、寛骨臼回転骨切り術(RAO、名大ではERAO)を選択されるかもしれません。
しかし、タイムセービングと割り切っても骨切りでは、本症例に関しては10年程度しかもたない可能性が高いです。更に骨盤に一度侵襲を加えるとTHAの際に操作が難しくなります。
いろいろと検討しましたが、highly cross linked polyethyleneで安定した長期成績のでている
Durasul®を最終的に選択しました(つまり、ZIMMERのConverge cup+Kinectiv)。
20年後の50歳台で再置換、そのころの人工股関節全置換術の更なる発展を期待します。この方の人生において、一度の再置換術で済みますように・・・。
関節リウマチは、生物学的製剤の登場で、場合によっては”治す”ことも可能になりました。大学や基幹病院の患者さんは、それなりの覚悟をもって受診もしくは紹介されていることが多いため、生物学的製剤導入に対して経済的な障壁を乗り越えることが比較的容易に思えます。
しかし、市中病院では費用の問題から、生物学的製剤導入に対して躊躇されることが多いです。座して関節が破壊されていくのを眺めているわけにはいかないため、私も必死の説得工作をするのですが、なかなかスムーズに導入できないことが多いのが現状です。
そんな関節リウマチの日常診療の悩みを、私の関節リウマチの師匠の先生に相談したところ、生物学的製剤を導入するための口説き方を教えてくれました。とても興味深かったのでご紹介します。
通常、私達は血液生化学検査や身体所見、疾患活動性の評価などから、総合的に生物学的製剤導入の是非を判断します。しかし、患者さんの立場からはいずれも抽象的なことばかりで、今ひとつ実感として感じることができないそうです。
このような場合、単純X線像の経時変化を患者さんに見せると絶大な効果を発揮するようです。視覚的に骨・関節が破壊されていくことを理解してもらうことで、自分の体に大変なことが起こっていることを認識できるようになるそうです。
通常、半年に一度程度は手の単純X線像を撮影していると思いますが、この際にしっかりと画像所見を説明して現状を理解してもらうのがポイントだそうです。
五十肩 -その病態と診断・治療から予防まで- その2 のつづきです。
五十肩の病気別治療法
Freezing Phase(炎症期)
疼痛のコントロールを優先
肩関節の安静、肩甲上腕関節内へのステロイド注射
→夜間痛が完全に消失するまでの平均注射回数4.7回
胸郭・肩甲帯の運動(深呼吸)
Frozen Phase(拘縮期)
積極的な理学療法
Thawing Phase(寛解期)
積極的な理学療法
疼痛が強い時期の唯一かつ最も効果的な治療は、肩甲上腕関節内へのステロイド剤と局麻剤の注射である。五十肩の治療で最も重要なのは疼痛管理であり、疼痛さえ管理できれば可動域はむしろ自然に回復してくるし、理学療法にも良く反応する。
菅谷先生は、特に五十肩の治療で最も重要なのは疼痛管理であることを力説されています。
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