今日の午前の手術は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
20年前の脛骨高位骨切術(HTO)後の症例で、外反膝をきたしていました。
TKAのなかでも外反膝は難易度の高い手術のひとつです。
外反膝のTKAでは下記のような注意点があります
・ FTA160°を越える症例は特に難しい。術前に内反ストレスを掛けてどれくらい外側の緊張が強いか確認しておく(Fixedかnon-fixedか)
・ 脛骨内側の剥離は骨切り量(2-3mm程度)にとどめる。
・ 大腿骨外反骨切り角は計測より1度程度少なくする。
・ 大腿骨のエントリーポイントは大腿骨外顆の低形成のため、内顆に掛かってしまうことが多い。つまり顆部のwhite side lineより5mm内側となる。
・ 大腿骨遠位骨切りが終了した時点で(大腿骨内顆は9mm骨切り)、下肢を牽引して大腿骨遠位骨切り面に10mmのスペーサーを当てて脛骨骨切り量のおおよその指標とする。内側がゆるいので脛骨骨切りは通常2-3mm程度となる。MCLがゆるんでいるため内反膝のように9mm切除すると高度の不安定性をきたしてLCCKを選択せざるえなくなる。
・ 下肢を牽引して大腿骨遠位骨切り面に10mmのスペーサーを当てて脛骨骨切り量が5mmに近いようなら、まず大腿骨遠位の骨切りを最大4mm程度まで追加する。
・ それでもタイトなら脛骨を切除せざるえない場合もあるが、屈曲時に不安定性が出現することを覚悟する。
・ 外反膝では大腿骨外顆の低形成のため外旋角が強いが、インプラントをやや前めに設置するかワンサイズアップしないと前方外側にノッチを形成することがある。
・ 通常、surgical axis= clinical axis- 3°であるが、つけすぎると屈曲時に内側がゆるむのでやや控えめにする。
・ 外側の緊張は①iliotibial bandの切離、release (Gerdy結節で骨膜下に剥離、筋膜の連続性は残す) ②LCLの切離、releaseを行う。これでだめなら③popliteal tendonのrelease、切離を行うがこれは最終手段である。
・ 特に膝の屈曲拘縮がある症例では腓骨神経の広範囲の剥離を行う必要がある。
よくいわれるようにTKAは、soft tissue surgeryですね。
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