今日の午前の手術は、人工膝関節全置換術(TKA)でした。
1ヶ月前にもありましたが、膝蓋骨低位の症例であったため展開が難しかったです。
もちろん膝蓋骨低位は、術前から予見できます。
したがって術前計画で周到に対策を練ることが可能です。
私なら下記のごとくの対策を講じます。
・アプローチは、medial parapatellar approachとする。
・大腿四頭筋腱の切離を中枢まで延長する
・大腿骨外顆の骨棘切除
・膝蓋骨関節面のラフカット
・大腿骨を切り上げすぎるとjoint lineが上るので、スペースがタイトな場合は脛骨の切り下げを優先する
高齢者の不定愁訴の鑑別診断のひとつに、リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica; PMR)があります。近位筋主体のこわばり感や痛みを訴える場合は、PMRを考える必要があります。
診断基準
1. 両側の肩甲骨の痛み、またはこわばり感
2. 発症後2週間以内で症状が完成
3. 発症時の赤沈値が40mm/hr以上
4. 朝のこわばりが1時間以上
5. 年齢が65歳以上
6. 抑うつ状態あるいはさらに体重減少
7. 両側上腕筋の圧痛
上記のうち3項目以上を満たすもの、もしくは1項目以上を満たし臨床的にあるいは病理的に側頭動脈に異常を伴うものをprobable PMRとします。ステロイドの有効性の確認は診断の確定に役立ちます。
抗CCP抗体や抗ガラクトース欠損IgG抗体(CARF)が陰性なので、関節リウマチの除外診断は比較的容易です。ただし、高齢者に多いといわれるRF陰性のseronegative RAとの鑑別は経過観察が必要となります。
あと個人的には、多発性筋炎/皮膚炎(PM/DM)との臨床症状からの鑑別は結構難しいと思います。疑ったら採血でCKの異常値が無いかの確認が必要です(PMRではCKは正常範囲内)。異常値であればCKアイソザイム(MM型かどうか)や抗Jo-1抗体、抗SRP抗体も追加オーダーすればよいでしょう。
リウマチ性多発筋痛症(PMR) その2 へつづく
今日の午後の手術は、大腿骨顆上骨折でした。
大腿骨顆上骨折は大腿骨頚部骨折と比べて症例も少なく、術後の免荷期間が長いため難易度が高い骨折です。
ロッキングプレートが出てくるまでは、逆行性の髄内釘ぐらいしかなかったため、良い成績はあまり見込めませんでした。そういう意味では、シンセスのロッキングプレートは革命的な内固定材料といえます。ただ、いくらロッキングプレートが比較的強固な固定性を得ることができるとはいえ、膝関節拘縮はほぼ併発します。
実際の手術手技ですが、牽引手術台を使用する方法としない方法に分けることができます。
牽引手術台を使用する場合は、顆部が過伸展位になりがちです。まず側面像で大腿骨骨幹部のやや後方にプレートが位置するようにし、顆部にロッキングスクリューを7本挿入します。次に、ローマン等でプレートの中枢側を大腿骨の長軸に合わすことで過伸展を矯正することが可能です。
顆部の整復を要する場合は、牽引手術台を使用しないで手術を行います。この場合、側面のアライメントは問題無く整復できますが、正面のアライメントが不良となりやすいです。したがって特に最初のスクリューを顆部に刺入する際に正面像で顆部と骨幹部のアライメントを確認することが重要です。
牽引手術台を用いると手術が楽なので、私は基本的には牽引手術台を使用します。
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