手術という医療行為において、完全に感染を防ぐことは不可能です。
したがって、感染リスクを低コストで最小限に抑えることが必要とされます。
特に、整形外科ではTHAやTKAなどの人工関節全置換術が行われるため、SSI対策が非常に重要です。
私達の施設では、数百例の人工関節手術をおこなってきましたが、幸いにも初回手術の感染例はありません。さまざまな対策を行っていますが、浜松医療センターの岩瀬先生が股関節学会で発表された方法も導入しています。
手術グローブのピンホールは、骨を操作する整形外科領域では頻回に発生します。
放置すると感染源となるのですが、なかなかグローブに穴があいていることに気付きません。
通常、人工関節手術は2重手袋で行う施設が多いと思います。
深層の手袋をカラーグローブ(グリーン等)・表層のグローブを通常のホワイトにすると、ピンホールが非常によく分かります。
カラーグローブは、通常のホワイトのグローブよりも100円程度割高です。
しかし、一度感染すると社会的な損失が巨大なので、この価格差にも妥協しています。