今日は書評です。
整形外科領域において、腫瘍はマイナーですか重要な分野です。
特に悪性腫瘍は患者数が少なく、基幹病院以外ではめったに遭遇することはありません。
しかし見逃すと重大な結果をまねいてしまうため、常に頭の片隅においておく必要があります。
一般の整形外科医師は、系統的に骨・軟部腫瘍を学ぶことは少ないと思います。
したがって、平易でかつ分かりやすく記載された辞書的な書籍が有用です。
”骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患”は、そんな一般整形外科医師のニーズにぴったりの書籍です。
骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)
概論が最初の30ページ程度なので、これはあらかじめ通読するとよいでしょう。
各論は原発性骨腫瘍、腫瘍類似疾患、転移性骨腫瘍、軟部腫瘍、骨系統疾患、代謝性骨疾患の6章に分かれています。各章とも疾患ごとに、豊富な写真でわかりやすく解説されています。
全体的にガイドラインに準拠してわかりやすくコンパクトにまとまった良書といえます。
注意点は、特に軟部腫瘍において良性・悪性が同じセクションで記載されていることです。
良性・悪性軟部腫瘍を分けた書籍に慣れた方は少し戸惑うかもしれません。
今日の午前中は外来をしていました。
土曜日は学生が押し寄せてくるので、普段と異なる疾患が多いです。
第2ケーラー病(Freiberg病)も学生にときどき発生する骨疾患のひとつです。
思春期の女性の第2中足骨頭に好発し、原因は不明です。
現在では外傷説が有力で、中足骨頭骨折が見逃されたものである可能性を指摘されています。
思春期の女性の明らかな外傷の無い前足部痛では、疲労骨折と並んで鑑別診断のひとつに挙げる必要があります。治療はX線所見のステージによりますが、まずは足底板での保存治療を行います。
今日の午前の手術は人工股関節全置換術(THA)でした。
THAのカップ設置角度は、外方傾斜角40度・前方開角20度ぐらいが理想といわれています。
ただ、この設置角度を実際の手術で常に再現することは意外と難しいです。
これをクリアする方法の一つとしてナビゲーションがあります。
しかし、大きな設備投資が必要なことや、レジストレーションの頻雑さを考えると全ての医療機関で導入することは難しいと思います。
私達は、単純X線の両股関節立位正面像に外方傾斜角40度・前方開角20度でのカップ設置することを目指しています。ナビゲーション無しで正確なカップ設置角度を得るために、麻酔導入後にイメージ下に両股関節立位正面像と同じように透視できるように手術台の傾きを調整します。
具体的には透視を使用して下記の調整を行っています。
①骨盤の傾きが床に対して90度になるよう手術台の傾きを調整する
②次に骨盤の前倒れ・後倒れの調整をする
③骨盤の傾斜角(前傾や後傾)を確認して、床にテープを貼付してインプランテーションの際の指標にする
この方法により、ナビゲーションを用いることなく、常に正確なTHAのカップ設置角度を得ることが可能となります。
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