今日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。
特発性大腿骨頭壊死症の方で、かなりBMIの高い方でした。


私は前外側から股関節にアプローチするので、後外側アプローチと比べて皮切の位置を慎重に選定する必要があります。前方は軟部組織が厚いため皮切の位置を誤ると手術操作に大きな影響を及ぼすからです。


特に、肥満傾向のある方や股関節の変形が高度の方は、皮膚上からは正確な大転子の位置が分からない場合があります。このような方に対しても対応できるように、私は下記のごとくの工夫をしています。


まず、おおよそ大転子先端であろうと予測される部位を中心に5cm程度の皮切を加えます。大腿筋膜張筋を切開して大転子先端の部位を直視下に確認した後、そこを中心にして皮切を延長するのです。


2段階の皮切になりますが、時間的な差はほとんどありません。簡単な手技にも関わらず、ほぼ確実に皮切の位置を至適部位にもってくれるので重宝しています。もちろん、THAに限らずあらゆる手術で施行可能です。