昨日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。中~高等度の臼蓋形成不全がある股関節だったので、リーミングを慎重に施行する必要がありました。


セメントレスTHAは、セメントTHAよりはカップのhigh hip centerを許容しますが、それでもバイオメカニカルな観点からは、できるだけ原臼位に近いところにカップを設置する方が望ましいです。


しかし、日本人に多い二次性股関節症では完全な原臼位にカップを設置することは、技術的に困難なことが少なくありません。このような「絶壁」のような寛骨臼でのリーミングは、まさに彫刻で作品を造り出す感覚です(笑)。


冗談はさておき、リーミング部位の決定は寛骨臼上縁からの距離を一つの基準としています。船橋整形外科病院の老沼先生は、寛骨臼のカップの上縁がくる部位に電気メスで直接マーキングされていました。


例えば寛骨臼上縁から10mmがカップの端になる場合には、10mmの平ノミをメジャー代わりにして寛骨臼内に電気メスで球状にマーキングします。


骨に直接マーキングする発想を初めて拝見したときは新鮮な驚きでしたが、今では私もTHA・TKAに関わらずどんどん骨の上に電気メスや皮膚ペンでマーキングしています。


寛骨臼もカップ設置位置の上縁をマーキングすることで、それ以上中枢にリーミングしないように注意できるのでお勧めの方法です。



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    初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


                   
    
                                    人工股関節全置換術